JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

156.一件落着

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後方に弾き飛ばされた少年が、ソファに背中をブツけ、そのまま座る形となりました。

右手で胸を押さえ、

「が、あッ!!」

ネクロマンサーが痛がったところ、残っていた二体の幽霊の全身が揺れて、消えかけたのです。

「確かに、本体・・がダメージをくらうと、霊どもに影響を及ぼすみたいだな。」

分析したのは、光沖みつおきさんであります。

琴音ことねちゃん、“魔法使い”を、お願い!」
「私は、“機工士”を!!」

そう促した穂乃歌ほのかさんが、

「ホーリー・ウォーター!」

幅5㎝×長さ15㎝といった【水の弾丸】を発射しました。

「うん!!」

応じた我が妹は、

「ライト・ボール!」

直径25㎝の【光の玉】を放ったのです。

一方、骨にひびが入ったのか? 或いは折れたのか?? はたまた打撲程度なのか??? どれにせよ、【死霊使い】が苦しんでいます。

[ダガー短剣]を鞘に納めた穂積ほづみさんが、ネクロマンサーを床に引きずり倒しました。

この流れで[アイテムBOX]から“超強力粘着テープ”を取り出し、少年を後ろ手にさせて〝グルグル巻き〟にしていきます。

更には、両足首も同様に拘束し、口にテープを貼り付けました。

近づいていった団長さんが、

「罪を償ってもらうぞ。」

 [死霊使い]を右肩に担いで、

「地下2階の駐車場から、外に向かおう。」

そう周囲に伝えたのです…。


敷地の西側にて。

「よッ、と。」

少年を地面に仰向けで寝かせた光沖さんに、

「嬢ちゃん、他の二班の連絡先は、分かるよな?」

このように訊ねられました。

「あ、はい。」
「アケミさんとナガハマさんであれば、事前に交換しておきましたので。」

私が答えたら、

「じゃあ、メッセージを、一斉送信してくれ。」
「〝ネクロマンサーを捕まえた〟ことや、〝うちらは、現在、病院の外、西で待機している〟ことに、〝まだ建物内に潜んでいる連中の事は頼んだ〟と、な。」

そう述べたのです。

「では…。」

私がスマホを操作したところ、勇者さんから〝先を越されたのは残念だが、分かった〟〝あとは任せておきたまえ!!〟と、[護衛隊]の隊長さんからは〝了解しました〟〝見廻組には私から説明しておきます〟〝ありがとうございました〟と、返ってきました……。


病院内から、微かではありますが、幾つもの悲鳴が聞こえてきております。

およそ5分後――。

駐車場から走ってくる複数の人影が見受けられました。

高校生とおぼしき“男性6:女性4”の集団が、私たちに気付き、

「げ?!」

驚いて足を止めます。

「やっぱり、こっちから逃げて来たか。」

呟いた団長さんに、

「嬢ちゃん、指示を。」

こう声を掛けられた私は、

「…、それでは、マサさん。」
「あの人達の動きを封じてください。」

と、お願いしたのです。

危険を察知したらしい“高校生10人組”が反転して、戻って行こうとするも、

「フィクス!」

マサさんが道路を〝ボコボコボコボコッ!!〟と隆起させ、彼らの膝あたりまでを固定して、阻みます。

「今です!」
「皆さん!!」

私の合図によって、[シンオウ神横連合隊]が総攻撃を開始したのでした。


彼らもまた、〝粘着テープ巻き巻きの刑〟に処されています。

我々が一息ついていたら、辺りからパトカーのサイレンが鳴り響いてきました。

後で知ったのですが、私とメッセージを交わしたナガハマさんが〝警察を呼んでおくように〟と[新・京都見廻組みまわりぐみ]に伝えておいたそうです。

何はともあれ。

「これで、今回の事件は、片が付いたわね。」

紗凪さなさんが微笑みます。

どこからともなく吹いてきた穏やかな風に、なんだか優しさを感じる私でした―。
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