JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

151.突入です。

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コンビニから北東に向かって、徒歩で約5分。

[廃病院]の駐場前に到着しました。

「来たか。」

〝ボソッ〟と呟いた男性が、

「お??」
「あんたら…、確か、“東大路通ひがしおおじどおり”でうたよな?」

そう声を掛けてきたのです。

穂乃歌ほのかさん以外の[シンオウ神横連合隊]のなかで、あのとき“和風の槍”にて【白炎びゃくえん】を放った人と一致しました。

各々に会釈した流れで、光沖みつおきさんが、

「四人だけかい??」

首を軽く傾げます。

「あー、他の仲間たちは、東と裏の扉あたりで、それぞれに見張っとりますんで。」

男性が説明したところ、

「君達も戦闘に参加するという訳かな?」

勇者さんが疑問を呈しました。

「いや、俺たちは、もし、建物から逃げ出してくる奴がいた場合、すぐに捕獲できるよう、待機しとく。」

このように述べて〝ふぅー〟と息を吐いた侍さんが、

「本当は、俺らも病院の中に入りたいとこなんやけど……、事前にスマホで“護衛隊”と話し合った結果、納得しさかい…、頼んだで!」

目に力を込めたのです。

「ああ、分かった。」
「任せておけ!!」

相手の気持ちを汲んで答えたアケミさんの後ろで、

「病院から薄っすらと灯りが漏れているようですが……、ライフラインは止まっていないんでしょうか??」

青髪ウィッグのカズヒコさんが、誰ともなく訊ねます。

それに対して、私達を案内してくれた女性が、

「あっこが移転したのは、つい最近で…、荷物の忘れ物がないかなどを最終チェックしてた頃に、世界が様変わりしてしまったさかい、作業を中断したそうです。」
「更には、あやさんを殺害した連中が、アジトにしてしもうた所為で、放置されたままになっとるとか。」
「そやさかい、電気、水道、ガスは、まだ使えるみたいです。」

と、教えてくれました。

あれら・・・は“非常灯”みたいだね。」

真守まもるさんの発言に続き、

「大々的に電気を点けるとネクロマンサーにとって不利になるやろうから、殆ど消しとるんかも。」

推測したのは、オシャレ坊主のサカイダさんです。

「それで?」
「正面と東に裏、どのチームが何処から乗り込む??」

日焼けマッチョであるサトシさんの質問によって、相談する我々でした……。


正面は、[護衛隊]が担当することになりました。

茶髪ショートゆるふわパーマの女性に引率してもらい、私たちと、アケミさん達は、反時計回りに進んでいったのです。


東側にて、

「それじゃ、手筈どおりに。」

「はい。」

勇者さんと挨拶を交わした私は、シンオウ連合隊と共に、裏へと足を運んだのでした…。


到着したところ、男性と女性が一人ずつ佇んでいました。

どうやら、[新・京都見廻組みまわりぐみ]のメンバーみたいです。

ゆるふわパーマさんが、

「いろいろと渡しておくもんがあるんで、リーダーの方は、イベントリを。」

このように催促してきます。

「では……。」

私が団長さんに視線を送ると、

「いや、俺の役目は、もう終わっているから、ここは嬢ちゃんが適任だろう。」

そう断られてしまいました。

「え?!」
「私ですか?」

少なからず戸惑ったところ、

「それが一番いいかもね。」

紗凪さなさんが同意し、誰もが頷いたので、引き受けざるを得なくなったのです。

[画面]をオープンして、ゆるふわパーマさんが送ってきた幾つかの道具を確認した私が、

「これらは??」

尋ねてみたら、

「犯人らを拘束するんに利用してください。」

との事でした。


全員が[戦闘モード]に装備をチェンジしていきます。

どこからともなく吹いてくる生暖かい風を肌で感じつつ、

(これから、廃墟で、お化けと戦うかもしれないのか…。)

〝フ〟と想像した私は、途端に緊張してしまったのです。

これを察したらしい穂乃歌さんに、

琴晴ことはちゃ~ん。」
「ビビッてる?」

すかさず指摘されました。

「べ、べべ、別に。」
「〝幽霊の全てが、超平和バ○ターズの、め○まちゃんみたいに可愛ければ、怖くないのに〟とか思ってませんけど??」

なんとか誤魔化そうとするも、

「本音が漏れ出してるよ。」

壱紀かずきくんにツッコまれてしまったのです。

ご自身の腕時計を見た穂積ほづみさんが、

「時間だ。」
「行こう。」

率先してドアを開けます。

時刻はPM20:40になっておりました。


割と幅が広い廊下を歩いていきます。

それぞれのポジションは……、

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             ヒデさん     穂積さん

                             マサさん    琴音    紗凪さん

                                    真守さん      琴晴

                            壱紀くん    穂乃歌さん    光沖さん

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

このようになっていました。

暗がりのなか、向こうから〝ゾロゾロ〟と10人くらいの集団が近づいて来ます。

互いに〝ピタッ〟とストップしたところ、あちらの先頭に居る男性が、

「おッ!」
「お前たちか…。」
「こいつぁ感謝しねぇとな。」
「アイツに。」

〝ニヤァ~〟と口元を緩めたのです―。


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病院は架空のものとなりますので、あしからず。
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