JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

150.潜伏先へ

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周囲の人外を殲滅したらしい[護衛隊]と[ホテルスタッフ]が、屋内へと戻ってきます。

そのタイミングで、誰かしらの電話が鳴ったのです。

「ん?」
「あぁ、私や。」

黒髪ボブの女性が、スーツ(上着)の左ポッケからスマホを取り出しました。

「はい、もしもし??」
「…うん、……うん、………うん、…………うん、そっか、分かった。」
「これから合流するさかい、もう少し待っといて。」
「連絡、ありがとう。」

電話を切ったナガハマさんが、

「あの少年らの居所いどころが判明しました。」
「今は廃墟同然になってしまっとる大きな病院を、拠点にしとるみたいです。」
「詳しいことは、あとで仲間に聞くとしましょう。」

このように説明したのです。

彼女の右隣で、

「あそこか…。」
「こっからやと歩きで40分ぐらい掛かるやろな。」
「全員ぶんのタクシーを手配してもええんやけど……。」
「幾つかのグループに分かれて、“転移の宝玉”を使おうか。」
「そっちのほうが早よ済むし。」

サカイダさんが提案しました。

そこから、我々は、2~3分ほど話し合ったのです。

この結果、アケミさん達を、ナガハマさんが受け持つ事になりました。

[神里町かみさとちょう自警団]は、オシャレ坊主さんが担当します。

私・琴音ことね壱紀かずきくんは、ヒデさん&マサさんと共に、眼鏡のツボイさんと“テレポーテーション”する運びになりました。

勿論、残り7名の護衛隊の方々も付いて来ます。

なお、[一般職]は、お留守番です。

「ほな…、病院からしもにさがったとこに在る“コンビニの駐車場”に移動しよか。」

隊長である黒髪ボブさんが、隊員の皆さんに伝えました……。


目的地にて――。

1人の女性が待機していました。

「ごめん、遅くなった。」

謝るナガハマさんに対して、

「ううん。」
「そんなに経ってないから、平気。」

その人が首を横に振ります。

彼女は、背丈が155㎝くらいの、“茶髪ショートゆるふわパーマ”です。

(どこかで見たことがあるような…。)

〝ムムムムムッ〟と記憶を辿った私が、

「あ!」
「夕方に、“東大路通ひがしおおじどおり”で、お会いした方ですよね?」

こう尋ねてみたところ、

「……、ああー、〝神社に行く〟うとった人らかいな。」

相手も思い出してくれました。

それはさて置き。

「ところで。」
「これから乗り込む廃病院には、“結界”は張られているのかい??」
「その場合は“ネクロマンサー”とやらに敵意や悪意を抱いているボクらは入れないらね。」

勇者さんの質問に、

「いや。」
「こっそり近づいて、小石を投げつけてみたら、外壁に当たったさかい、建物自体はノーガード・・・・・やな。」

ゆるふわパーマさんが返します。

「それだと、エネミーの侵入を簡単に許してしまうんじゃない?」

このように訊ねたのは紗凪さなさんです。

「ま、通常は。」
「そやけど…、正面や裏に東側の入り口から、10人ぐらいずつ出てきて、全て倒しとったさかい、問題ないんとちゃうんかな??」

ゆるふわパーマさんが見解を示したら、

「合計で30人か。」
「……、ひょっとしたら、もっと存在していて、ローテーションを用いているのかもしれないが…。」
「にしても、子供だけで生活してるとは、感心できねぇな。」

団長さんが眉間にシワを寄せました。

「あー、いや、〝大人もった〟との報告があります。」

補足した女性に、

「そうなんですか?」

私が伺ったところ、〝うん〟と頷いたのです。

「なんにせよ、ひとり残らず捕まえればいいだけだろ。」

日焼けマッチョのサトシさんが意見したら、

「そやな。」

サカイダさんが賛成した流れで、

「とりあえず、パーティーを組み直しとこか。」

そのように述べました。

これによって、[護衛隊]と[シンオウ神横連合隊]が、それぞれ再結成されたのです。

「準備は整ったかい??」
「良ければ、赴くとしよう!!」

何故だか嬉々とするアケミさんに促され、かたきのアジトへと向かう私たちでした―。
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