JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

145.京都のホテルにて・ぜんぺん

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“ツボイ”と呼ばれた女性が、あやさんに[体力回復ポーション]を飲ませようとしていたものの、逆流してしまい、一命を取り留める事は叶いませんでした。

少年少女の追跡を断念した方々が、こちらに戻ってきます。

状況を知った黒髪ボブさんが、

「嘘…。」

膝から崩れ落ちました。

「こんなん、護衛隊“失格”や。」

右手で、自身の額を掴んだのは、ベリーショートで黒髪の男性です。

茶髪ロングの女性は絶句して、微動だにしていません。

オシャレ坊主さんが、

「……、とりあえず、お堂に遺体を運んで、“新・京都見廻組みまわりぐみ”らに連絡しよう。」
「この件を伝えると共に、犯人を捜索してもらうんや。」
「仇ぃ討つために!」

蘇生術士さんを横向きに抱えながら、立ち上がって、

「ツボイ、すまんが、皆さんをホテルに案内してくれ。」
「頼むわ。」

そのように伝えました。

「はい、了解しました。」

メガネの三つ編みさんが会釈したところ、

「ボクらも力になるから、あとで情報を提供してくれ。」
「〝必ず〟だ!!」

アケミさんが意思表示したのです。

更には、

「同感だが、殺すのはよくねぇ。」
「俺達…、いや……、“護衛隊”と“見廻組”が罪人になっちまうのは、蘇生術士の嬢ちゃんも望んじゃいねぇだろう。」
「生かしたまま捕らえて、警察に突き出すべきだ。」
「そういう意味では、お前たちより冷静な俺らのほうが適任だろうな。」
「〝嫌だ〟つっても参加させてもらうぜ。」
「じゃなきゃ、このまま付きまとう!!」

団長さんも主張します。

これに、

「…………。」
「確かに、そやな。」
「〝協力を仰ぐ〟と約束するさかい、一旦、ホテルで待機しといてくれへんか?」
「今は、そっとしといてもらいたい。」

そう答える坊主頭さんでした…。


受付で、やり取りを済ませたツボイさんが、

「それでは、ごゆっくり。」

私達に挨拶し、外にて、[転移の宝玉]で清水寺に“テレポート”します。


〝もともとは小学校だった〟という豪華な造りのホテルにて。

各自、ロビーのソファや椅子に座りました。

あまりの出来事だったので、誰もが口を閉ざしています。

暫く重苦しい空気が漂っていましたが、

「こんな時になんだが……、君のを明かしてはくれないだろうか??」

勇者さんが沈黙を破って、私の側まで足を運んできたのです。

これに反応した他の方々も集まってきます。

ちなみに、私・琴音ことね穂乃歌ほのかさん・紗凪さなさんは4人がけソファに並んで腰掛けていました。

テーブルを挟んだ対面には、一人がけ用のソファが二脚あり、それぞれ、ミサさんとカナさんが座っています。

その周りを完全に囲まれたなかで、

「実はですね…。」

私は、[時空のネックレス]と[譲渡のブレスレット]に関して、語っていったのです―。
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