JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

130.準決勝

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[旧・ミツル派]が去った後は、順調に試合が進んでいきました。

8番のクジを引いていた【勇者】ことアケミさんの所も、危なげなく勝ち残っています。

負けたチームが、順次、帰っていったなかで、我ら[シンオウ神横連合隊]は、二回戦目を迎えたのです…。


団長さん達が整列していきます。

対するは、あの“ヤンキー”の方々です。

団体名は[強虎嵐武きょうこらんぶ]との事でした。

私が、

「“狂喜乱舞きょうきらんぶ”の間違いではないんでしょうか??」
「四文字熟語の。」

〝はて?〟と首を傾げたら、

「多分、“阪神タイ○ース”のファンなんだと思うよ。」

マサさんが述べたのです。

更には、真守まもるさんが、

「間違いないだろうね。」
「彼らの言葉は“大阪弁”みたいだし……、女性陣が着ている服の背中には“虎超乱こちょうらん”って刺繍してあるから。」

との見解を示しました。

「あー、確かに。」
「男性陣は、“強虎嵐武”って縫われていますね。」

私が頷いたところ、

「どっちも〝暴走族の名称〟なんだろう。」

カナさんが推測したのです。


一方、出場する人たちが並び終えたところで、

「戦う前に確認しておきたいんだが…、そっちのメンバーは、先程の試合で防具を装備していなかったよな。」
「今回も、そうするつもりなのか??」

光沖みつおきさんが訊ねます。

これに、あちらのリーダーであろう“金髪リーゼント”さんが、

「せやで。」
「なんせ、うちらにとっての鎧は、この“マトイ”やからなッ!!」

と、告げたのです。

琴音ことねが、

「マトイって、なぁに?」

誰ともなく質問し、

「連中が着ている“特攻服”のことだよ。」
「“とっぷく”て呼ばれてたりもするけど。」

カナさんが教えてくれました。

“元ヤン”であるカナさんは、ジャンル的に詳しいようです。

その頃、向こうでは、

「じゃあ、俺達も、同じ条件にしよう。」
「でないと、フェアじゃないからな。」

団長さんが[戦闘モード]を解除しました。

すると、穂積ほづみさんも、

「“心意気”ってやつか……、ま、嫌いじゃないな。」

私服へとチェンジしたのです。

目を合わせたヒデさんと壱紀かずきくんが、続いて、防具を解きます。

軽く〝はぁ〟と溜息をき、

「男って、ほんと、バカよね。」
「私服、汚したくないんだけど…、しょうがないか。」

諦めた紗凪さなさんも“モードチェンジ”したのです。

一連の流れに、

「なんや??」
「自分ら……。」
「めっちゃ、ええヤツらやん!」

満面の笑みを浮かべる“金髪リーゼント”でした。


各自、ポジションに着いていきます。

[シンオウ連合隊]は…、

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

               騎士の光沖さん

      武闘家の紗凪さん         戦士の壱紀くん

        アサシンの穂積さん    シーフのヒデさん

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

このような配置です。

さて。

「始めえッ!!」

 審判さんが合図を出すなり、[強虎嵐武]がダッシュしました。

ちなみに、あちらの5人は〝男性のみ〟です。

木槍の団長さんと、木剣の金髪リーゼントが、激しく打ち合っていきます。

紗凪さんは、“赤髪オールバック襟足えりあし”が振るう木槍を、〝ひらりひらり〟と躱していました。

壱紀くんは、“黒髪リーゼント”と、互いに木斧を繰り出しています。

光沖さんと金髪リーゼントが闘っている両脇を、二人の男性が駆け抜けていきました。

“茶髪ロン毛”を後頭部で束ねている人が、木刀で、穂積さんを攻撃していったのです。

“黒髪セミロングのソバージュ”は、ヒデさんに、薙刀を払います。

穂積さんとヒデさんは、それらをけたり、木短剣で受け流していました。

ほぼ互角みたいですが、[シンオウ連合隊]には余裕が感じられます。

全員、落ち着いて、反撃の隙を窺っているようでした―。
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