JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

129.ブレイクタイムに。

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 [新・京都見廻組みまわりぐみ]が、長テーブルの方へと戻っていきました。

その流れで、“3番”の暴走族がブルーシートから[木製の武器]を選び始めています。

どうやら、周囲は、こちらの出来事に気付いていなかった模様です。

〝スッ〟と見上げた私が、

「えー、本日は、天候にも恵まれ……。」
「〝青き空 そよぐ風にて 舞う桜〟といったところですねぇ。」

ド素人感満載の俳句を詠んで、話題を逸らそうとするも、

琴晴ことはりぃ~ん。」
「トボケないで、説明してくれるッ!?」

ミサさんに詰め寄られてしまいました。

更には、

「うむ。」
「確かに、その通りだな。」
「このままでは、いくらなんでも意味不明すぎだからねッ!」

勇者さんが賛成します。

正面を向いて、軽く〝はぁ〟と溜息をいた私は、

「分かりました…。」
「でも、〝決勝戦が終わってから〟にさせてください。」
「それであれば、いろいろと教えることを、お約束しますので。」

と、お願いしたのです。

「事情は、さて置き。」
「琴晴の頼みならば、聞いてあげてもいいんじゃないか?」
「中華街を救ってもらった恩があるわけだしさ。」

カナさんに言われ、

「んん~、……、しょうがないなぁ。」
「じゃあ、それまで待つよ。」
「“琴晴りん”を信用して。」

ミサさんが承諾してくださいました。

それに続いて、

「では、こちらも、取り敢えずは引き下がろう!!」

勇者さんが穏便に済ませてくれたのです。

ひと段落したところで、真守まもるさんが、

「ちょっと、いいかな??」
「“神里町かみさとちょう”のメンバーで話しがしたいんで、暫く離れさせてもらっても。」
「あ、団長は、ここで皆と待機しといてくれない?」
「悪いんだけど…。」

[シンオウ神横連合隊]に伝えました。

「ん??」
「お前たちは〝知っている・・・・・〟ということか。」
「この件を。」

光沖みつおきさんの質問に、

「ああ。」
「彼女が、俺の妹を生き返らせるための旅に出るときや、その後も、何かと、な。」

穂積ほづみさんが答えます。

「そうか。」
「……、まぁ、俺とかよりも付き合いが長いみたいだから、当然か。」
「いいだろう。」
「決勝戦が終了するまで、追及しないでおいてやるよ。」

一応は納得する団長さんでした…。


私は、紗凪さなさん・真守さん・穂積さん・壱紀かずきくん・琴音ことねと共に、[ラジオ塔]から北に10Mほど移動しています。

「君が決めたんなら、僕らは構わないけど……。」
「本当に良かったの??」

真守さんが少なからず心配そうに尋ねてきました。

「はい。」

頷いた私は、

「ただ…、〝必ず優勝する〟のが条件になってきます。」

真顔で述べたのです。

これに、紗凪さんが、

「つまり?」

首を傾げます。

「えっと、ですね……。」
「こちらが蘇らせたいのは、穂乃歌ほのかさんと、ミサさんの御家族を合わせた、4名なんですよ。」

穂積さんが、

「ふむ。」
「枠が一つ余るな。」

と述べました。

「ええ。」
「なので、それ・・を、勇者さんのパーティーに譲れば、私は、きっと、ハルカさん、あー、…、女性の騎士さんに、二度と襲撃されないであろうと思うんです。」
「あちらが復活させたいのは、その人の〝弟のみ〟といった感じだったので。」

私の考えを、

「成程。」
「君が命を狙われなくなれば〝タイムループなどの情報を開示しても大丈夫〟という事だね。」

真守さんが理解したようです。

「だったら、何がなんでも優勝しましょう。」
「穂乃歌だけでなく、琴晴ちゃんの為にもね!」

そう鼓舞する紗凪さんでした―。
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