JK LOOPER

ネコのうた

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

113.一触即発

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琴音ことねが、私の後ろに〝スッ〟と隠れました。

おそらく、【騎士】のハルカさんを警戒したのでしょう。

余談ですが、皆さん、私服です。

まぁ、相変わらず、ウィッグは装着していますが…。

私たちの2Mほど手前で止まった集団に、

「こちらには、どうして?」

と、伺ってみました。

本来であれば、アケミさん達は、今頃、滋賀県にいる筈なので、疑問が生じたのです。

赤髪セミロングの勇者さんが、

「ん??」
「ああ…。」
「君らと別れてから、三重のホテルに宿泊して……、今朝、滋賀の“安土城跡”に向かい、そこで、この、丸メガネを掛けている“裁縫師”の彼女と合流してね…。」
「彼女によれば、なんでも〝京都の清水寺に死者を復活させられる人が居るらしい〟とのことだったんで、それぞれに“転移の宝玉”を使って、テレポーテーションしてきたのさ。」
「各自、修学旅行や仕事で来たことがあったからね。」

このように、喋り倒しました。

「どなたか、お亡くなりになられているんですか?」

十中八九、“ショウ”という方でしょうが、ちょっぴり気になったので、尋ねてみたのです。

「私の弟が、エネミーの犠牲に、ね。」

白銀ショートヘアーのハルカさんが答える流れで、

「それよりも……。」
「妹ちゃん?? なんか、私のこと睨んでない?」

首を傾げます。

視線を落としてみたところ、私の左側から顔を出している琴音が、おもいっきりガンを飛ばしていました。

それを見なかったことにした私は、

「そうですかぁー、弟さんが、ですかぁ。」
「誰もが、いろんな事情を抱えているんですねぇー。」

話しを進めてみたものの、

「いやいやいやいや、そこ、スルーしちゃうの??」
「絶対、様子が、おかしいでしょ?」
「私、なんか、嫌われることでもしたっけ??」

騎士さんが逃してくれません。

〝どうしたものかしらん?〟と困っていたら、

「あー、いた、いたぁ。」

との、女性の声が聞こえてきたのです。

東側に視線を送ってみたところ、神澤紗凪かんざわさなさんたち四人の姿がありました。

(ん?!)
(4人??)

目を凝らしてみたら、紗凪さん&真守まもるさん姉弟と、神岳穂積かみおかほづみさんに、一人の中年男性が確認できたのです。

「…、あ!」
「あなたは、自警団の、団長さん、ですよね?」

間違いなく、[うしとら神社]での戦闘で指揮を執っていた、あの人でした。

「ああ。」
「その節は、嬢ちゃんのお陰で、ネズミどもを殲滅できて……、ありがとな。」

団長さんが、私に、頭を下げてくださいます。

「いえいえ、結局は、穂積さん達がボスを倒してくださったので、私は、別に、そこまでの事は…。」

私は謙遜しつつ、

「ところで……、何故、団長さんまで??」

不思議がったのです。

これに対して、真守さんが、

「君が、うちの姉貴に伝えた情報によれば、“特殊依頼”とかいうバトルには、僕が参加しても役に立たなさそうだったからね。」
「団長に説明して、同行を願ったんだ。」
「いやー、結果、良かったよ。」
「僕らは、清水寺は初めてだからさぁ。」
「団長が〝高校生の時に修学旅行で訪れたことがある〟って言うから、一時的に僕たちとパーティ―を組んでもらって、瞬間移動してきたんだ。」
「これで、戦えるメンバーを五人揃えられたって事だよ。」

〝ニコニコ〟しながら解説してくださいました。

「で?」
「なんか、グループが2つ出来てるみたいだけど??」

窺う紗凪さんに、

「えっと、ですねぇ…。」
「こちらは、横浜の中華街で、お会いした方々でして……。」
「あちらが、勇者さん達です。」

そう告げたところ、

「なにッ!?」

眉間にシワを寄せた穂積さんが、私たちと、アケミさんらとの間に割って入り、“仁王立ち”になったのです。

更には、紗凪さんと真守さんも、それに続きました。

三人には、私と妹が、ハルカさんに殺されかけたのを教えてあるので、過剰に反応したのかもしれません。

ついでに、

「よく分からんが…、嬢ちゃん達をまもればいいのか?」

団長さんまでもが横並びになったのです。

図式としましては、我々が北側に、アケミさんたちは南側に、陣取っています。

「なんだい?! なんだい!?」
「ボクたちのことを、やたらと“敵視”して!!」
「意味不明だけど、やるってんなら手加減しないぞッ!」

勇者さんが喧嘩腰となったのをきっかけに、険悪なムードに包まれていく現場でした―。
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