JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

109.京都の案内所

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名古屋駅を出発して約43分後。

京都駅に到着した私達は、[総合観光案内所]へと向かったのです。

ダメもとで……。


利用者は殆どいなかったので、すぐに順番が回ってきました。

「あのぉ~、すみません…、こういう事を聞くのは、変な話しだとは思うんですけど……。」

どう尋ねたらよいものか悩みつつ、声を掛けた私に、

「はい?」
「なんでしょうか??」

受付の女性が、微笑みながら返してきます。

年齢は20代半ばといったところでしょう。

「実はですねぇ…、〝京都に、死者を生き返らせられる人が居る〟との噂を耳にして来たのですが、さすがに知りませんよねぇ?」

このように伺ってみたら、

「ああ、“蘇生術士”さんですね。」
「その方でしたら、今の時間帯は、“清水寺”にいらっしゃる筈ですよ。」

と、教えてくださいました。

「はぁー、本当に存在していたんですね。」

ちょぴり驚いていたところ、

「はい??」

相手が〝キョトン〟としたのです。

そのリアクションに、私の左隣にいた壱紀かずきくんが、

「SNS上でいろんな情報が飛び交っていて、〝嘘かもしれない〟と思っていたんで……。」

軽く説明してくれます。

「ああー、はい、そうみたいですねぇ。」
「確か…、フェイクニュースが沢山あるとか?」
「でも、ご安心ください。」
「京都にいらっしゃる方は〝本物だ〟との評判ですので。」

担当者の言葉に、私は心の中で〝よしッ!〟とガッツポーズしました。

神岳穂乃歌かみおかほのかさんの復活が、現実味を帯びてきたので。

壱紀くんの、

「清水寺へは、どうやって行けばいいんですか??」
「僕たち、京都は初めてなので。」

との質問に、

「はい、それでしたら、タクシーか、バスが、ございます。」
「もし、バスをご利用なさるのであれば、“烏丸口ターミナル”から御乗車ください。」
「“D2のりば”から午前10時に発車いたします。」
「“清水道”というバス停で降りていただいて、そこからは徒歩になりますので、ご理解くださいませ。」
「ちなみに、10時のバスに乗り遅れますと、次の便は30分後になります。」
「世の中がこのような状況になってしまった影響で、本数をかなり減らして営業しておりますので。」

受付の女性が、長めに述べてきたではありませんか。

(……、覚えきれない。)

私が目を〝パチクリ〟するのと同時に、右隣の琴音ことね欠伸あくびをしていたら、

「なるほど…、ありがとうございます。」

壱紀くんが、相手に会釈しました。

「インプットできたの?」

訊ねてみたところ、

「ん??」
「うん、バッチリね。」

頷いた壱紀くんに、

「それじゃあ、いこうか。」

促されたのです。

「お気を付けて、いってらっしゃいませ。」

担当してくださった方に見送られながら、私達はバスターミナルへと足を運んだのでした―。
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