JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

102.別の選択肢

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「そう、だけど…、なんで知ってるの?」

『だって、家族と親戚の全員が体験したんですもの。』
『まるで逆回転しているみたいな現象を。』

「そうなの?!」

『ええ。』
『でも、こっちでは何が何やらサッパリだから、〝琴晴ことはちゃんに聞けば原因が分かるかも〟て事になって、電話してみたの。』

「う~ん。」
「そう言われても、私も意味不明だから……。」

やり取りの流れで、ある考えが浮かんだ私は、

「一回、そっちに帰るから、少し待ってて。」

通話を終了しました。

三重県に訪れなくて済む口実ができたので、

「という訳で…、急用のため、私達は実家に帰ります。」

皆さんに伝えたところ、

「ん? そうかい??」
「君たちとは仲良くなれそうな気がしたから、一緒に旅しないか誘おうと思っていたんだが……、仕方ない。」
「いつかまた、どこかで再会できるのを願って、楽しみにしているよ!」

アケミさんが承諾してくださったのです。

これで、ハルカさんに殺害されてしまう未来は回避されたことでしょう。


発進するマイクロバスの窓から“勇者さん一行”が手を振っています。

「まったねぇ―!」

私服にチェンジしている妹が、掲げた両手で〝バイバイ〟しました。

〝ペコリ〟と、お辞儀して、見送った私は、秘かに安堵したのです…。


 [転移の宝玉]を使って、私と琴音ことねが、お家へとテレポーテーションしました。

「ただいまぁ―。」

帰宅を告げる妹を先頭に、居間へと足を運んでみたら、最神もがみ親族が集合していたのです。

ま、玄関に沢山の靴が有ったので、察してはいましたが……。

どうやら、“ループ”の件を訊ねるべく、それぞれに[宝玉]で瞬間移動して来ていた模様です。

「エネミーは出現してないの?」

伺う私に、

「自警団の方々が倒してくれたわよ。」

母が述べました。

「なるほど。」

納得しつつ座ったら、

「で??」

父に促されたのです。

「うん、それが、私にも謎なんだけど…。」

取り敢えず、[いなべ市]のホテルで起きた出来事を、語っていきました。


「ハルカおねえちゃんが!?」

琴音がビックリしております。

無理もありません。

ハルカさんは、あのようなことをするタイプには見えなかったので。

おそらく、“ショウ”とかいう人の為に行ったのでしょうが、〝それにしても〟といった感じです。

私は、驚きを隠せずにいる妹に対して、

「本当の事だよ。」

頷きました。

弟の利勇りおが、

「ん~。」
「結局、ネックレスは作動していないとすると……、どんな力が働いたんだろうな?」

難しそうな顔つきになったところで、呼び鈴が鳴り、

「郵便でーす。」

との男性の声が聞こえてきたのです。

「はーい。」

玄関に向かった母親が、

「外、大丈夫でした??」

質問したら、

「ああ、はい。」
「自分、“運び屋”ですので、襲われずに済んでいます。」

説明されていました。


封筒を持った母が戻ってきて、

「琴晴ちゃんに、お手紙よ。」

渡してきます。

「ひょっとして、いつもの?」

封から出したる書状は、やはり、未来人(?)によるモノみたいです。

「タイムループのことが記載されてるかも?!」

期待を込めて、目を通してみたところ、

 そなたの職種である戦士が、壱紀に譲渡された。
 故に、ブレスレッドから新たな職を選ぶが良い。
 尚、時が遡ったことに関しては、そなたら一族だけの秘密とし、
 決して他言せぬよう、心掛けよ。

そう書かれていました。

装備品が自動で[私服]に変わっていた時点で、このような可能性は頭の片隅にありましたが、弟ではなく、従兄妹の壱紀かずきくんが引き継ぐとは…、予想外です。

「いや、それよりも……、ループの詳細は教えてくれんのかぁーいッ!!」

ツッコまざるを得ない私でした―。
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