JK LOOPER

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
102 / 291
2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

102.別の選択肢

しおりを挟む
「そう、だけど…、なんで知ってるの?」

『だって、家族と親戚の全員が体験したんですもの。』
『まるで逆回転しているみたいな現象を。』

「そうなの?!」

『ええ。』
『でも、こっちでは何が何やらサッパリだから、〝琴晴ことはちゃんに聞けば原因が分かるかも〟て事になって、電話してみたの。』

「う~ん。」
「そう言われても、私も意味不明だから……。」

やり取りの流れで、ある考えが浮かんだ私は、

「一回、そっちに帰るから、少し待ってて。」

通話を終了しました。

三重県に訪れなくて済む口実ができたので、

「という訳で…、急用のため、私達は実家に帰ります。」

皆さんに伝えたところ、

「ん? そうかい??」
「君たちとは仲良くなれそうな気がしたから、一緒に旅しないか誘おうと思っていたんだが……、仕方ない。」
「いつかまた、どこかで再会できるのを願って、楽しみにしているよ!」

アケミさんが承諾してくださったのです。

これで、ハルカさんに殺害されてしまう未来は回避されたことでしょう。


発進するマイクロバスの窓から“勇者さん一行”が手を振っています。

「まったねぇ―!」

私服にチェンジしている妹が、掲げた両手で〝バイバイ〟しました。

〝ペコリ〟と、お辞儀して、見送った私は、秘かに安堵したのです…。


 [転移の宝玉]を使って、私と琴音ことねが、お家へとテレポーテーションしました。

「ただいまぁ―。」

帰宅を告げる妹を先頭に、居間へと足を運んでみたら、最神もがみ親族が集合していたのです。

ま、玄関に沢山の靴が有ったので、察してはいましたが……。

どうやら、“ループ”の件を訊ねるべく、それぞれに[宝玉]で瞬間移動して来ていた模様です。

「エネミーは出現してないの?」

伺う私に、

「自警団の方々が倒してくれたわよ。」

母が述べました。

「なるほど。」

納得しつつ座ったら、

「で??」

父に促されたのです。

「うん、それが、私にも謎なんだけど…。」

取り敢えず、[いなべ市]のホテルで起きた出来事を、語っていきました。


「ハルカおねえちゃんが!?」

琴音がビックリしております。

無理もありません。

ハルカさんは、あのようなことをするタイプには見えなかったので。

おそらく、“ショウ”とかいう人の為に行ったのでしょうが、〝それにしても〟といった感じです。

私は、驚きを隠せずにいる妹に対して、

「本当の事だよ。」

頷きました。

弟の利勇りおが、

「ん~。」
「結局、ネックレスは作動していないとすると……、どんな力が働いたんだろうな?」

難しそうな顔つきになったところで、呼び鈴が鳴り、

「郵便でーす。」

との男性の声が聞こえてきたのです。

「はーい。」

玄関に向かった母親が、

「外、大丈夫でした??」

質問したら、

「ああ、はい。」
「自分、“運び屋”ですので、襲われずに済んでいます。」

説明されていました。


封筒を持った母が戻ってきて、

「琴晴ちゃんに、お手紙よ。」

渡してきます。

「ひょっとして、いつもの?」

封から出したる書状は、やはり、未来人(?)によるモノみたいです。

「タイムループのことが記載されてるかも?!」

期待を込めて、目を通してみたところ、

 そなたの職種である戦士が、壱紀に譲渡された。
 故に、ブレスレッドから新たな職を選ぶが良い。
 尚、時が遡ったことに関しては、そなたら一族だけの秘密とし、
 決して他言せぬよう、心掛けよ。

そう書かれていました。

装備品が自動で[私服]に変わっていた時点で、このような可能性は頭の片隅にありましたが、弟ではなく、従兄妹の壱紀かずきくんが引き継ぐとは…、予想外です。

「いや、それよりも……、ループの詳細は教えてくれんのかぁーいッ!!」

ツッコまざるを得ない私でした―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

収納大魔導士と呼ばれたい少年

カタナヅキ
ファンタジー
収納魔術師は異空間に繋がる出入口を作り出し、あらゆる物体を取り込むことができる。但し、他の魔術師と違って彼等が扱える魔法は一つに限られ、戦闘面での活躍は期待できない――それが一般常識だった。だが、一人の少年が収納魔法を極めた事で常識は覆される。 「収納魔術師だって戦えるんだよ」 戦闘には不向きと思われていた収納魔法を利用し、少年は世間の収納魔術師の常識を一変させる伝説を次々と作り出す――

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

処理中です...