JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

71.ジョブチェンジ

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妹の琴音ことねが立ち上がって、

「装備変更、戦闘モード!」

と、唱えました。

私の教え通り。

琴音の私服が〝シュンッ!〟と様変わりし、その場に居合わせている家族が「おー!」と少なからず感動したのです。

巫女服と、鉄製の防具が、妹にジャストフィットするサイズになっています。

更には、薙刀までもが本人の背丈に合わせて、いささか小さくなっているではありませんか。

「なんか…、すごいねー♪」

驚きながらも笑みを浮かべる琴音に対して、私は複雑な気分になっております。

愛用の品々を横取りされたかのような喪失感?

そんな感じです。

(なんだかなぁー。)

少なからず脱力する私に、

「これで、わたしも、一緒にぼーけん・・・・出来るね、お姉ちゃん!!」

妹が嬉しがりました。

しかし、両親に反対されてしまいます。

まぁ、まだ、小学生ですからね。

とは言え、これから先の事を考えた場合、【巫女】を譲渡されている琴音の協力が必要不可欠となってきます。

だって、今の私は“LV.1の踊り子”なのですから(涙)

そこで、両親の説得を試みました。

が。

なかなか首を縦に振ってくれません。

当然の反応ではありますが、困ってしまいます。

「ん~、……、よく分かんねぇけどさー。」
「手紙によれば、姉ちゃんは新しいジョブを選べるんだろ?」
「だったら、防御力の高そうな騎士か、攻撃力が高そうな戦士になって、琴音を守りながら、京都を目指せばいいんじゃね?」

弟である利勇りおの助け舟に、

「それだ――ッ!!」

私のテンションが無駄に上がりました。

「いや、待て!」

父親が止めようとするも、

「よかったねぇ、琴音ちゃん。」
「お姉ちゃんと一緒に旅行できるようになって。」

祖母が口を開き、

「お姉ちゃんに、しっかり守ってもらうんだよ。」

祖父が続いたのです。

「うん!」
「いや…、寧ろ、わたしが、お姉ちゃんを守ってあげるよ!」

楽観的というか、能天気な三人に、父母が〝はぁー〟と溜息をきます。

「大丈夫だよ、危なくなったら“転移の宝玉”で帰ってくるから。」

そう述べた私に、

「でも、琴晴ことはちゃん、名古屋城で負けちゃったんでしょ?」

母がツッコミました。

「うッ!!」

痛いところを突かれて言葉に詰まった私ではありますが、

「あの時は、その……、焦ってただけだし?」
「次は、冷静に対応するから…、倒せる、はず??」
「ううん、絶対、勝つよ!」

シロドモドロになりつつも、決意表明したのです。

「意気込みはいいけどさ、姉ちゃん。」
「とりあえず、新しいジョブに変えて、レベルアップしたが良くね?」
「また“LV.1”から、やり直す事になるかもだし。」

利勇の指摘に、

「え?!」
「そうなの!?」

私は固まってしまったのです。

「んんー、多分だけど、琴音がレベルまで引き継いでいるってことは、そーいう事なんじゃねぇの?」

弟が軽く首を傾げながら述べました。

「一理あるかも……。」

納得した私は、どの職種にすべきか考え込みます。

名古屋での戦いでは、慌ててしまい、【閃光】と【恩恵】を忘れてしまっていました。

これら・・・は、今や、妹が扱えるようになっているので、攻撃力を重視した方が、勝算が高くなりそうです。

なんとなくですが。

と、なれば…。

やはり【戦士】をチョイスすべきでしょうか?

私の脳裏に〝フ〟と中華街の大飯店で“図体デカ”が使っていた【デストロイ破壊】が浮かびます。

(あの必殺技に“恩恵”を付与すれば、かなりの強さになるのでは?)

期待が膨らんできた私は、出現させた縦長の[メニュー画面]から、右の人差し指で【戦士】と書かれている文字をタッチしたのです―。
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