JK LOOPER

猫乃麗雅

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2nd STAGE/ループには別の種類があるみたいです。

66.ほっこり、からの・・・・

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“スタイリッシュなモアイ像”が何個か設置されている広場には、幾つかの列が出来ていました。

一つの列の最後尾に居る気立ての良さそうな老夫婦に、

「あのぉ~、すみません。」
「これって、なんの列ですか?」

と窺ってみたら、

「あら、お嬢さん、地元の人じゃないの?」

70代前半ぐらいで、小柄かつ小太りの、可愛らしい奥さんに、逆に質問されてしまったのです。

「はぁ、東京から旅をしておりまして。」

そう答えたところ、やはり70代前半くらいの、高身長でダンディな雰囲気の旦那さんに、

「このご時世に、女の子一人でかい?!」

と、驚かれてしまいました。

「ええ、まぁ、いろいろとありまして…。」

口ごもったら、

「個人的な事情は聞かないでおいてあげるけど…、きっと大変な思いをしているのでしょうねぇ。」
「……、ここではね、ボランティアの方々が、炊き出しをしてくださっているのよ。」

奥さんが教えてくれたのです。

「そうなんですかぁあ!?」

ハラペコである私の瞳が輝きます。

「ま、おにぎり一個と、豚汁一杯に、小さめのお茶ワンパックだがね。」
「それでも、ここら辺は、まだ電気もガスも水道も復旧していないから、非常に助かっているよ。」

旦那さんの解説が終わったタイミングで、〝フ〟と疑問が湧き、

「炊き出しは、この地域の方しか頂けないんでしょうか?」

と訊ねてみたところ、

「いいえ、そんな事ないわよ。」
「お腹が空いているんだったら、貴女あなたも、お並びなさいな。」

奥さんに笑顔で勧められました。


「それじゃあ、お先にぃ。」

奥さんが軽く会釈して、

「無理はしないようにね。」

旦那さんが心配してくださいました。

「あ、どうも。」

お辞儀した私は、炊き出しを受け取って、優しき老夫婦とは反対の方向に歩いたのです…。


競技場の横を通って到着した“多目的広場”の芝生に座り、食事しています。

同時にスマホでの検索も怠りません。

次の目的地を決めておきたかったので。

「よし!」
「ここにしよう。」

何処に行くか定めた私は、ゆるりと炊き出しを堪能しました。


大きな公園をPM12:30頃に出発して、愛知県に入り、やって来たのは[岡崎城]の近くです。

現在は、PM13:55を回っております。

あと5分も経たないうちに、エネミーが現れる時間帯です。

これといった考えもなく、徒歩で北西へと進んでみたら、[図書館交流プラザ]なるものを発見しました。

なんとなぁ~く、外から覗いてみたところ、それなりの数の人々を確認できたのです。

おそらくですが、“避難所”として使われているのでしょう。

電気が作動しているようなので、ライフラインは万全なのかもしれません。

窓からは、7~8人の子どもたちが、こちらを見ています。

男の子も、女の子も、小学生低学年みたいです。

私と目が合った子どもらが、〝あ!〟といった表情になりました。

後ろを振り向いてみたところ、人外たちが出現していたのです―。
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