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44.光明
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穂積さんが、穂乃歌さんを仰向けで抱きかかえました。
真守さんがフラつきながら立ち上がります。
紗凪さんは[転移の宝玉]を出現させたみたいです。
小走りで駆け寄った私は、
「あの…。」
と声を掛けてみたものの、なんと言っていいか分からず、口を閉ざしてしまいました。
そんな私に、穂積さんが、
「ありがとう。」
「君のお陰で仇を討てた。」
「感謝するよ。」
と、微笑むも、その表情は哀しそうです。
「それじゃあね、琴晴ちゃん。」
「落ち着いたら、連絡するわね。」
力なさげの紗凪さんが、皆さんと“瞬間移動”しました。
[艮神社]の敷地内では、ネズミの兵隊たちの殲滅戦が繰り広げられています。
途方に暮れている私に、二人の若い女性が近づいて来ました。
ショートヘアーで、左腰に“レイピア”を帯びている女子が、
「最神さん、だよね?」
と尋ねてきたのです。
「はぁ。」
曖昧な返事をしたところ、
「私たち、一緒の中学校だったんだけど…。」
と、窺ってきました。
私が〝はて?〟と首を捻ったところ、セミロングさんが、
「まぁ、一度も同じクラスになった事がないから、仕方ないよね。」
と述べたのです。
こちらは、小さめの黒いピストルを右手に握っています。
「それで?」
「大した用事じゃ無いんだったら、私、帰りたいんだけど。」
「世間話なら、間に合っているんで。」
そう告げながら、[転移の宝玉]を出した私に、
「ごめんなさい!」
「私たち北側のチームが遅れた所為で、最神さんの仲間の人が亡くなってしまって。」
ショートヘアーさんが頭を下げ、もう一人も、
「本当に、ごめん。」
と謝ってきたのです。
「……、別に、あなた達だけの責任じゃないだろうから、気にしないで。」
いささか虚ろになっている私は、
「では。」
と、軽く会釈して、テレポーテーションしたのでした。
扉を開けて、玄関に入るなり俯いた私は、左右共に拳を握りながら、下唇を〝ギュッ!〟と噛み締めました。
パーティーを組み忘れるなどといった凡ミスさえしなければ、穂乃歌さんを救えたんじゃないかと思うと、悔しさが込み上げてきたのです。
そこへ、
「琴晴ちゃん? 帰ったの?」
台所から顔を覗かせた母親が、
「どうしたの?! ズブ濡れになって!」
と驚いています。
ただただ立ち尽くすだけの私を、
「取り敢えず、シャワー浴びて来なさい。」
「ね?」
優しく促す母でした。
シャワーを終えて、着替えを済ませた私が、バスタオルを頭に被ったまま、麦茶でも飲もうと台所へ向かったところ、
「あ、琴晴ちゃん、お手紙が届いているわよ。」
母親が封筒を渡してきたのです。
(誰からだろう?)
差出人が不明だったので、少なからず警戒しつつ封を破り、引っ張り出した手紙を見てみたら…、
死者を蘇えらせたければ、京都へ赴くが良い。
上手くいくかは、そなた次第だが、何もせぬよりかはマシであろう。
ちなみに、遺体が骨や灰になっていたとしても問題はない。
それでは、武運を祈る。
そう綴られていました。
(これって!)
私に[時空のネックレス]と[譲渡のブレスレット]を贈ってくれた人物による助け舟に違いありません。
今まで沈んでいたのが嘘のようにテンションが上がった私は、深く考えず、紗凪さんに電話したのです。
『もしもし、琴晴ちゃん?』
『さっきは、ごめんね。』
『なんだか素っ気ない感じになっちゃって…。』
「いえ、大丈夫です。」
「それよりも!」
「穂積さんと真守さんを含めて、これから、お会い出来ませんか?」
「もしかしたら穂乃歌さんを生き返らせられるかもしれないので!!」
やや興奮しながら勢いで伝えた後に、〝これを、どう説明すべきか?〟と、頭を悩ませる私でした―。
真守さんがフラつきながら立ち上がります。
紗凪さんは[転移の宝玉]を出現させたみたいです。
小走りで駆け寄った私は、
「あの…。」
と声を掛けてみたものの、なんと言っていいか分からず、口を閉ざしてしまいました。
そんな私に、穂積さんが、
「ありがとう。」
「君のお陰で仇を討てた。」
「感謝するよ。」
と、微笑むも、その表情は哀しそうです。
「それじゃあね、琴晴ちゃん。」
「落ち着いたら、連絡するわね。」
力なさげの紗凪さんが、皆さんと“瞬間移動”しました。
[艮神社]の敷地内では、ネズミの兵隊たちの殲滅戦が繰り広げられています。
途方に暮れている私に、二人の若い女性が近づいて来ました。
ショートヘアーで、左腰に“レイピア”を帯びている女子が、
「最神さん、だよね?」
と尋ねてきたのです。
「はぁ。」
曖昧な返事をしたところ、
「私たち、一緒の中学校だったんだけど…。」
と、窺ってきました。
私が〝はて?〟と首を捻ったところ、セミロングさんが、
「まぁ、一度も同じクラスになった事がないから、仕方ないよね。」
と述べたのです。
こちらは、小さめの黒いピストルを右手に握っています。
「それで?」
「大した用事じゃ無いんだったら、私、帰りたいんだけど。」
「世間話なら、間に合っているんで。」
そう告げながら、[転移の宝玉]を出した私に、
「ごめんなさい!」
「私たち北側のチームが遅れた所為で、最神さんの仲間の人が亡くなってしまって。」
ショートヘアーさんが頭を下げ、もう一人も、
「本当に、ごめん。」
と謝ってきたのです。
「……、別に、あなた達だけの責任じゃないだろうから、気にしないで。」
いささか虚ろになっている私は、
「では。」
と、軽く会釈して、テレポーテーションしたのでした。
扉を開けて、玄関に入るなり俯いた私は、左右共に拳を握りながら、下唇を〝ギュッ!〟と噛み締めました。
パーティーを組み忘れるなどといった凡ミスさえしなければ、穂乃歌さんを救えたんじゃないかと思うと、悔しさが込み上げてきたのです。
そこへ、
「琴晴ちゃん? 帰ったの?」
台所から顔を覗かせた母親が、
「どうしたの?! ズブ濡れになって!」
と驚いています。
ただただ立ち尽くすだけの私を、
「取り敢えず、シャワー浴びて来なさい。」
「ね?」
優しく促す母でした。
シャワーを終えて、着替えを済ませた私が、バスタオルを頭に被ったまま、麦茶でも飲もうと台所へ向かったところ、
「あ、琴晴ちゃん、お手紙が届いているわよ。」
母親が封筒を渡してきたのです。
(誰からだろう?)
差出人が不明だったので、少なからず警戒しつつ封を破り、引っ張り出した手紙を見てみたら…、
死者を蘇えらせたければ、京都へ赴くが良い。
上手くいくかは、そなた次第だが、何もせぬよりかはマシであろう。
ちなみに、遺体が骨や灰になっていたとしても問題はない。
それでは、武運を祈る。
そう綴られていました。
(これって!)
私に[時空のネックレス]と[譲渡のブレスレット]を贈ってくれた人物による助け舟に違いありません。
今まで沈んでいたのが嘘のようにテンションが上がった私は、深く考えず、紗凪さんに電話したのです。
『もしもし、琴晴ちゃん?』
『さっきは、ごめんね。』
『なんだか素っ気ない感じになっちゃって…。』
「いえ、大丈夫です。」
「それよりも!」
「穂積さんと真守さんを含めて、これから、お会い出来ませんか?」
「もしかしたら穂乃歌さんを生き返らせられるかもしれないので!!」
やや興奮しながら勢いで伝えた後に、〝これを、どう説明すべきか?〟と、頭を悩ませる私でした―。
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