JK LOOPER

猫乃麗雅

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1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

42.反撃

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北の班がネズミたちに劣勢を余儀なくされています。

些細なことで自分たちが出遅れてしまった結果、人を死なせてしまった事実が、ショックなのか? 自責の念にさいなまれているのか? どちらにしても、攻守共に散漫です。

真ん中のボスねずみが回し蹴りを放ち、3~4人ほどが横倒れになりました。

親玉の左右には、部下たちが三匹ずつ並んで、剣や槍を振るっています。

北側のチームは完全に浮き足立っているようです。

とにもかくにも、標的を親玉に絞っている私は、

「恩恵!」

と、唱え、駆け出しました。


先ほど申し訳なさそうにしていたリーダー格に、おおネズミが右の掌底を叩き込みます。

男性は装備していた“斧”で防ごうとしたものの、〝ズバンッ!!〟と、まともにくらい、崩れ落ちた模様です。

私の位置からだと、ハッキリとは見えませんでしたが…。

いずれにせよ、ボスキャラが右足を上げました。

おそらくは、北のリーダーさんを踏み潰すつもりなのでしょう。

しかしながら、それよりも速く、私が、薙刀で、左のアキレス腱を、

シュパッ!!

と斬ったことによって、ボス鼠が〝ドンッ!!〟と尻餅を着いたのです。

これに気づいた左側の三匹が振り返るなり、私に襲い掛かってきました。

突き出される槍を躱し、払われる剣を武器で受け流して、対処するも、連携の取れた波状攻撃に押されていきます。

北の班は親玉におののいてしまっているようで、参戦してくれません。

その面子には、私と同じ年頃の男女が何人か見受けられました。

20~40代の方々も居ましたが、全員、身動きが取れずにいます。

そんな状況で、膝立ちになった大ネズミが、私めがけて、左手を横に振るうモーションになったのです。

〝ハッ!〟とした私は、慌てて、しゃがみました。

その頭上を、

ブンッ!!

と、ボスキャラの攻撃が通過していったのです。

なかなかの風圧に、私の背筋が冷たくなりました。

「危な…。」

目を丸くする私の左腕に痛みが走ります。

兵隊の一匹に、槍で刺されたのです。

「いぎッ!」

表情を歪める私の左側から、別の一匹が剣を払おうとしてきました。

それを、〝ガキィンッ!〟と阻んだのは、団長さんのランスです。

「君、大丈夫か?!」

こちらの様子を窺う団長さんに、

「はい、この程度であれば。」

と答えた私は、【回復】で傷を治していきます。

そのタイミングで、

「次が来るぞ!!」

団長さんが注意を促しました。

何故ならば、ボス鼠が右の爪で私を突く構えになっていったからです。

既に【恩恵】の効果が無くなっている私には、避けられないかもしれません―。
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