JK LOOPER

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
37 / 291
1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

37.これまた拒絶反応が・・・・

しおりを挟む
私は、眼鏡を忘れたまま、[うしとら神社]の南に位置する鳥居付近に“瞬間移動”しました。

私に気付いた穂乃歌ほのかさんが、

「あ! 琴晴ことはちゃん、ごめんねぇ。」

と、こちらに寄ってきたのです。

「いえいえ、親戚の件、ありがとうございました。」

お辞儀した私が、

「それで?」

と窺いながら周囲に視線を送ったところ、30人ほどが集まっていました。

「ん。実はね……、ま、見てもらうのが早い、かな?」
「琴晴ちゃん、ちょっと、こっちへ。」

鳥居のすぐ側まで私を導いた穂乃歌さんに、

「多分、昆虫よりは大丈夫だと思うけど…。」
「いい?」
「そっと、だよ??」
「そぉっと、覗くんだよ?」

と、念押しされます。

「はぁ。」

意味を理解できないまま、鳥居から神社の敷地内を覗いてみたところ、虫と同じぐらい苦手な存在がたむろしていたのです。

そちらを指差しながら、後ろを振り向いて、

「あ、ああ、あ、あれ…、あれって。」

口を〝パクパク〟させる私に、真守まもるさんが、

「うん、ねずみだね。」

冷静に述べました。

そう…、おやしろの近くに、数十匹のネズミが寝転がっているのです!

しかも、どの大きさも1Mほどで、小豆色の鎧兜を身に纏っています。

革製のようですが、RPGでいうところの【戦士】みたいな印象です。

各自、銅で作られているのであろう槍や剣も所持しております。

そいつらに囲まれるように、ひと際デカい鼠が、仰向けになっているではありませんか。

こちらは、紫色の肩当て/胸当て/籠手/脛当てに、白い腰巻といったスタイルでした。

きっと、【武闘家】に違いありません。

〝すぅ――ッ、はぁ――ッ〟と深呼吸して、落ち着きを取り戻した私は、

「どういう状況なんですか?」

と聞いてみました。

真守さんによれば、

「アイツらは、今朝、町の北側に現れたらしいんだ。」
「あの大きい奴が、次々に建物の“結界”は壊しては、全員で人々を襲い喰らったとかで、自警団も犠牲になったそうだよ。」
「その結果、満腹になったのか、この神社で一休みしているみたいだ。」
「連中と戦った自警団の生き残りによる報告だから、信憑性は高いね。」

との事です。

「そうですか…。」

私が頷いていたところ、

「琴晴ちゃん、来てくれたのね。」

離れた位置で穂積ほづみさんらと話しをしていた紗凪さなさんが、声を掛けながら、こっちに歩いてきました。

「あ、どうも。」

会釈した私が、

「これから、どうするんですか?」

と、質問してみたら、穂積さんが、

「あそこの、“団長”の指揮のもと、突撃を開始する。」

そう答えたのです。

私達から5Mほどの距離にいる男性は、身長が180㎝くらいで、黒髪を角刈りにしています。

服ごしでも筋肉隆々そうなのが伝わってきました。

右手に、西洋のランスを握っています。

それは、バンプレート護拳型の黒い槍でした。

鉄製でしょうか?

いずれにせよ、彼は、傭兵として海外を転々としていたものの、40歳になったのを機に、およそ二週間前に日本へと戻ってきたのだそうです。

それを知った旧友が出版業者に紹介したところ、「その体験談を、ぜひ、うちで本にしませんか?」と誘われて、執筆しようとしていたらしいのですが…、世の中が非常事態になってしまい、それどころではなくなったので、自警団に加入したとの話しでした。

また、主だった人たちとの相談によって、団長に就任してもらったとも、穂積さんが教えてくれたのです。

「団長って、紗凪さんじゃなかったんですか?」

私の問いに、

「違うよ。」

首を横に振った彼女が、

「私は、あくまで、自警団の発案者であって、戦闘に関してはプロフェッショナルな人に頼むのが良いって判断したの。」

と、述べました―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

収納大魔導士と呼ばれたい少年

カタナヅキ
ファンタジー
収納魔術師は異空間に繋がる出入口を作り出し、あらゆる物体を取り込むことができる。但し、他の魔術師と違って彼等が扱える魔法は一つに限られ、戦闘面での活躍は期待できない――それが一般常識だった。だが、一人の少年が収納魔法を極めた事で常識は覆される。 「収納魔術師だって戦えるんだよ」 戦闘には不向きと思われていた収納魔法を利用し、少年は世間の収納魔術師の常識を一変させる伝説を次々と作り出す――

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

初めての異世界転生

藤井 サトル
ファンタジー
その日、幸村 大地(ゆきむら だいち)は女神に選ばれた。 女神とのやり取りの末、大地は女神の手によって異世界へと転生する。その身には女神にいくつもの能力を授かって。 まさにファンタジーの世界へ来た大地は聖女を始めにいろんな人に出会い、出会い金を稼いだり、稼いだ金が直ぐに消えたり、路上で寝たり、チート能力を振るったりと、たぶん楽しく世界を謳歌する。 このお話は【転生者】大地と【聖女】リリア。そこに女神成分をひとつまみが合わさった異世界騒動物語である。

処理中です...