JK LOOPER

猫乃麗雅

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1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

34.親族会議

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朝食を済ませ、一旦、解散していた親戚一同が、改めて座敷に揃い踏みしております。

私の父が、皆の沈黙を破るべく、

「これから先、どうやって生活していくか、だが…。」
「会社が無期限の休業になってしまったからには、“一般職”を活用して稼いでいくしかないだろうな。」
「神のルールに従って。」

そう口を開きました。

これに、父の弟である次男さんが、

「まだ政府が何一つ公式発表していないんだから、尚早じゃないか?」
「違法になるかもしれないんだし…。」

眉間にシワを寄せます。

「それよりも、まずは、一度、家に帰って、ゆっくり落ち着きたいわ。」

叔母(長女)さんの発言に、

「外は、あの危険な生き物たちがウロついてるかもしれないんだから、難しいだろう。」

と、旦那さんが述べました。

長女さんが右の頬に手を添えながら、

「まぁ、そうよねぇ。」
琴晴ことはちゃんに送ってもらうにしても、ここ・・と三件を行き来させる事になったら、負担かけすぎちゃうでしょうし…。」
「昨日の今日で、それは何だか申し訳ないわぁ。」

〝はぁ〟と軽く溜息をいたのです。

このやり取りに、お二人の子息である陽斗はるとくんが、

「瞬間移動できるとかいうアイテムを使うのは?」

と提案しました。

暁斗あきとくんの弟である彼は、新年度から中学生になる予定の12歳です。

身長は155㎝くらいで、眉辺りまでの長さがあるサラサラヘアーは、少し茶色くなっています。

決して染めているわけではなく、彼らの父方の遺伝によるものだそうです。

そんな陽斗くんの意見に、【アイテム士】である聡真そうまくんが、

「どうだろうな?」
「確かに、あれによって、行った事のある場所に転移できるけど…、それが家の内側なのか外側かなのまでは分からない。」
「もし、建物の外だった場合、そこに化け物どもがたむろしていたなら、テレポーテーションした途端に襲われるだろう。」

との見解を示しました。

「じゃあ、琴晴ちゃんに同行してもらって瞬間移動するしかないね。」

そう言いだした葵月はづきちゃんが、

「今度、お菓子とジュース、たぁくさん奢るから、お願い、琴晴ちゃん。」

〝パチン!〟と両手を合わせて拝んできたのです。

これに対して、聡真くんが、

「いや、それは不可能だ、残念ながら。」
「“パーティー”を組めば、そのメンバーの全員が“転移の宝玉”一個で瞬間移動できるけど…、“戦闘職”と“一般職”は一緒のチームに属せないみたいだ。」
「戦闘職同士や、一般職同士じゃないと、パーティーを組めないという縛りがある。」
「これら以外には“ユニーク職”というものがあって、それ・・は、戦闘職、一般職の、どちらとも同じチームになれるみたいだ。」

と、告げました。

未だ“メニュー画面”を詳しくチェックしていない私にとっては初耳です。

「お家、帰れないの?」

不安そうな月媛ひかりちゃんを、母親である次女(叔母)さんが、

「きっと大丈夫よ。」

優しく抱きしめます。

背丈が132㎝程で、おかっぱボブである彼女は、壱紀かずきくんと葵月ちゃんの妹です。

春休み明けには小4になります。


ここで、従兄弟たちのことを、大まかに、まとめておきましょう。

長男家
琴晴ことは・17歳 利勇りお・12歳 琴音ことね・10歳

次男家
咲凛えみり・15歳 聡真そうま・13歳

長女家
暁斗あきと・17歳 陽斗はると・12歳

次女家
壱紀かずき・16歳 葵月はづき・14歳 月媛ひかり・9歳

以上の10名です。


話しを戻して…。

誰もが再び黙ってしまい、どうすれば帰宅できるのか考え込んでいるその時でした。

「ごめんくださーい!」

「おはよーございまぁーす!!」

との女性たちの声が聞こえてきたのは―。
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