33 / 283
1st STAGE/ループには回数制限があるようです。
33.現状③
しおりを挟む
「お姉ちゃん、やっつけた!?」
玄関で尋ねてきた妹の琴音に、
「バッチリ!」
私は笑顔で答えます。
靴を脱いで上がったところ、妹の近くに居た咲凛ちゃん&葵月ちゃんが、
「なんか、琴晴ちゃんばかり戦わせて、ごめん。」
「いつも、ありがとね。」
と、代わる代わる述べました。
「いいよ、いいよ、全然。」
「それよりも、着替えて来るね。」
そう答えた私は、階段へと向かいます。
台所では母と叔母さんたちが朝食の支度をしているようで、お味噌汁や卵焼きなどの美味しそうな匂いが漂っていました。
パジャマから私服にチェンジして、広間へと足を運んだところ、父や叔父さんらに重たい空気が流れていました。
「どうしたの?」
出入り口付近に座っていた壱紀くんに、そっと聞いてみます。
壱紀くんは、葵月ちゃんのお兄さんで、身長は168㎝ぐらいです。
高1から高2になる途中の16歳である彼は、中学まで柔道部でした。
辞めた今でも筋トレは欠かしていないようで、割と体格が良いです。
スポーツ刈りでしたっけ? そういう髪型をしております。
「ああ、琴晴ちゃん、おはよう。」
穏やかというか、少し気弱な性格である壱紀くんの挨拶に、
「おはよう。」
「それで?」
と返したところ、
「ああ、うん。」
「うちの父親や、叔父さんたち、それぞれの会社から連絡があって…、どこも社員の3~4割が亡くなってしまったとかで、世の中、危険な状況だから、暫くは自宅待機になったらしいんだ。」
「いつまで続くのかは分からないけど。」
との事でした。
おそらく、同僚が命を落とした悲しみに打ちひしがれていたり、仕事がストップして収入を得られなくなったことに頭を悩ませているのでしょう。
声を掛けづらい雰囲気のなか、私に気付いた聡真くんが、
「あ、おはよう、琴晴ちゃん。」
「出来たよ。」
と、出現させたアイテムを、座卓の上に並べていきます。
その間に、他の人たちが、
「おはよう。」
「外の連中を倒してくれた、という事か。」
「頼りっきりで、すまない。」
「ありがとな。」
といった具合に、口を開いたのです。
〝どうも、どうも〟みたいな感じで、皆に会釈して、長方形のローテーブルに視線を送ったら、体力系と魔力系のポーション/解毒剤/転移の宝玉が、3個ずつ置かれていました。
「ん?」
「数、多くない??」
私が首を傾げたら、
「夜中の2時に、あいつらの所為で目が覚めたから、新たにコピーしておいた。」
と説明しくれたのです。
「おー、やるねぇ。」
ご満悦な私に、
「これさ、一つずつ貰っておいてもいい?」
「明日からも複製していきたいから。」
と、聡真くんが提案します。
「勿論!」
「どんどん増やして、全員に配ろう!」
「いや、いっそ販売して生計に役立てるのもアリ、かな?」
私が今後の展望を考えていたところへ、
「ご飯にするから片付けてー。」
母と叔母さん達が、食事を載せた大きめの黒いトレーを運んできたのでした―。
玄関で尋ねてきた妹の琴音に、
「バッチリ!」
私は笑顔で答えます。
靴を脱いで上がったところ、妹の近くに居た咲凛ちゃん&葵月ちゃんが、
「なんか、琴晴ちゃんばかり戦わせて、ごめん。」
「いつも、ありがとね。」
と、代わる代わる述べました。
「いいよ、いいよ、全然。」
「それよりも、着替えて来るね。」
そう答えた私は、階段へと向かいます。
台所では母と叔母さんたちが朝食の支度をしているようで、お味噌汁や卵焼きなどの美味しそうな匂いが漂っていました。
パジャマから私服にチェンジして、広間へと足を運んだところ、父や叔父さんらに重たい空気が流れていました。
「どうしたの?」
出入り口付近に座っていた壱紀くんに、そっと聞いてみます。
壱紀くんは、葵月ちゃんのお兄さんで、身長は168㎝ぐらいです。
高1から高2になる途中の16歳である彼は、中学まで柔道部でした。
辞めた今でも筋トレは欠かしていないようで、割と体格が良いです。
スポーツ刈りでしたっけ? そういう髪型をしております。
「ああ、琴晴ちゃん、おはよう。」
穏やかというか、少し気弱な性格である壱紀くんの挨拶に、
「おはよう。」
「それで?」
と返したところ、
「ああ、うん。」
「うちの父親や、叔父さんたち、それぞれの会社から連絡があって…、どこも社員の3~4割が亡くなってしまったとかで、世の中、危険な状況だから、暫くは自宅待機になったらしいんだ。」
「いつまで続くのかは分からないけど。」
との事でした。
おそらく、同僚が命を落とした悲しみに打ちひしがれていたり、仕事がストップして収入を得られなくなったことに頭を悩ませているのでしょう。
声を掛けづらい雰囲気のなか、私に気付いた聡真くんが、
「あ、おはよう、琴晴ちゃん。」
「出来たよ。」
と、出現させたアイテムを、座卓の上に並べていきます。
その間に、他の人たちが、
「おはよう。」
「外の連中を倒してくれた、という事か。」
「頼りっきりで、すまない。」
「ありがとな。」
といった具合に、口を開いたのです。
〝どうも、どうも〟みたいな感じで、皆に会釈して、長方形のローテーブルに視線を送ったら、体力系と魔力系のポーション/解毒剤/転移の宝玉が、3個ずつ置かれていました。
「ん?」
「数、多くない??」
私が首を傾げたら、
「夜中の2時に、あいつらの所為で目が覚めたから、新たにコピーしておいた。」
と説明しくれたのです。
「おー、やるねぇ。」
ご満悦な私に、
「これさ、一つずつ貰っておいてもいい?」
「明日からも複製していきたいから。」
と、聡真くんが提案します。
「勿論!」
「どんどん増やして、全員に配ろう!」
「いや、いっそ販売して生計に役立てるのもアリ、かな?」
私が今後の展望を考えていたところへ、
「ご飯にするから片付けてー。」
母と叔母さん達が、食事を載せた大きめの黒いトレーを運んできたのでした―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?
伊東 丘多
ファンタジー
ジャストキルでしか、手に入らないレアな石を取るために冒険します
小さな少年が、独自の方法でスキルアップをして強くなっていく。
そして、田舎の町から王都へ向かいます
登場人物の名前と色
グラン デディーリエ(義母の名字)
8才
若草色の髪 ブルーグリーンの目
アルフ 実父
アダマス 母
エンジュ ミライト
13才 グランの義理姉
桃色の髪 ブルーの瞳
ユーディア ミライト
17才 グランの義理姉
濃い赤紫の髪 ブルーの瞳
コンティ ミライト
7才 グランの義理の弟
フォンシル コンドーラル ベージュ
11才皇太子
ピーター サイマルト
近衛兵 皇太子付き
アダマゼイン 魔王
目が透明
ガーゼル 魔王の側近 女の子
ジャスパー
フロー 食堂宿の人
宝石の名前関係をもじってます。
色とかもあわせて。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
転生実況はじまりました ~異世界でも仲間と一緒に~
緋月よる
ファンタジー
ゲーム実況者として活動していた「カラヴィブ」のメンバーたちは、
突然、異世界へと転生することに――。
きっかけは神のミス!しかも転生後、
全員がバラバラの場所に飛ばされてしまった!?
与えられた希少な「鑑定スキル」を使いこなしながら、
この剣と魔法の世界を生き抜く彼ら。
しかし冒険は一筋縄ではいかない。
モンスター、未知の文化、そして別れた仲間たち――。
笑いあり、苦難あり、鑑定あり!
"元実況者"たちが自分たちなりに異世界を切り拓き、
新しい人生を「実況」する!?
【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
万年Eランク冒険者は裏ですべてを支配する~かつて英雄と呼ばれた男は最強であること隠してひそかに生きる~
時野洋輔
ファンタジー
ラークは薬草採取やドブ掃除など冒険者ギルドの雑用依頼ばかりをする冒険者。
だが、彼の正体はかつてその街で英雄カウディルと呼ばれた凄腕の冒険者だった。
彼は実力を隠し、本名を隠し、己に呪いをかけたドラゴンを探すために冒険者ギルドを利用し情報を集めさせる。
それでも本当に必要なときはその姿を変え、いまでは国の重要な役職についているかつての部下たちとともに英雄の亡霊として人々を救う行動に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる