JK LOOPER

猫乃麗雅

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1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

22.粗雑

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歩きながら、神岳穂積かみおかほづみさんの【探知】で生命反応があった建物に、神岳穂乃歌かみおかほのかさんと私が交代で【結界】を張っていきます。

家主さんにきちんと許可をもらって。

その道中で、神澤真守かんざわまもるさんを中心に会話していったのです。

「“戦闘職”の能力は、“一般職”の数倍になっているみたいなんだ。」
「ジョブによって異なるけど…。」
「例えば、“魔力”に関しては、俺みたいな“魔法職”は2倍になっていて、君や穂乃歌のような“回復職”は1.5倍らしい。」
「他にも、体力のみであれば、“アサシン”の穂積くんが1.5倍で、“武闘家”である姉貴は2倍になっているよ。」
「どうやら、各ステータスによってバラつきがあるみたいだね。」

〝ほう ほう〟と相槌を打つ私に、神澤紗凪かんざわさなさんが、

「確か、ご近所で“戦士”になった人の体力は2.5倍で、“騎士”が3倍だったかな?」
「あとは…、“素早さ”だっけ? あれが、私の場合は“一般職”の2倍で、穂積くんは4倍になっていたわね。」

と教えてくれます。

「それで…、基準となる“数値”みたいなものは無いんですか?」

そう尋ねる私に、

「無かったな。」

穂積さんが返しました。

「え?!」
「それじゃあ、意味不明じゃないですか?」
「体力とか素早さなどは、年齢によって違いがあるでしょうに。」
「“神”を名乗っている割には杜撰ずさんな気が…。」

「だよねー。」
「神さまも完璧じゃないという事かなぁ?」

と、穂乃歌さんが天を仰いだのです。

「んー…、その可能性もあるとは思うんだけど……。」
「そもそも、あの声の主たちは〝神ではない〟のかもしれないよ。」

改めて口を開いた真守さんに、

「例えば?」

と聞いてみたところ、

「ファンタジー系にありがちな、“魔王”とか?」

との考えを示しました。

「魔王、ねぇ。」

紗凪さんの呟きに、

「ま、あくまで仮説だけどさ。」
「神が、こんな洒落しゃれにならない“デスゲーム”を強制するのかな?って…。」

と、真守さんが述べます。

「“魔王”が“神”のフリをしているという事か。」
「…、有り得るかもしれんな。」

真顔になる穂積さんに、穂乃歌さんが、

「だとしたら、“本物の神様”たちは、何処に居るの?」
「人類を助けてはくれないのかなぁ?」

といった疑問を呈しました。

誰も答えられず、5秒ほど沈黙が流れた後に、

そいつら・・・・に殺されてしまったとか?」

紗凪さんがそんな意見を出してきたのです。

「ああー、死んじゃってるのかぁ。」
「だったら説明が付くかもね。」

なんだか納得してしまった穂乃歌さんに、穂積さんが、

「いや、まだ、そうと決まった訳ではないだろう。」

と軽くツッコミます。

「どちらにしても、創りが大雑把ですよね。」

呆れる私に、

「言えてるな。」

「そうだねぇ。」

「〝まさに〟って感じだよ。」

「同意するわ。」

苦笑いする皆さんでした―。
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