JK LOOPER

猫乃麗雅

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1st STAGE/ループには回数制限があるようです。

20.初めてのパーティー戦

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まずは、神澤真守かんざわまもるさんと神岳穂乃歌かみおかほのかさんの“杖”に関して説明しておきましょう。

双方ともに長さは1.2Mくらいの木製で、上部に直径8㎝ほどの宝玉が付属しています。

真守さんのロッドは黒色で、ジュエルは黄色です。

穂乃歌さんの杖はホワイトで、宝玉はブルーでした。

これらは、魔力を幾らかUPさせてくれるそうです。

ただし、お二人のはまだ“初期装備”なので、5%しか上昇していないとの話しでした…。


さて。

【恩恵】を施した私が先頭に立ち、角を曲がっていきます。

それに気づいたエネミーらが動きを止めて、私達を凝視しました。

「閃光!」

目くらましに成功するなり、真守さん&穂乃歌さんが魔法を放ちます。

「ファイア・ボール!」

「ホーリー・ウォーター!」

真守さんのは直径13㎝の“火の玉”で、穂乃歌さんの方は長さ13㎝×幅3㎝の“弾丸みたいな水”でした。

これを合図に、神澤紗凪かんざわさなさんが“一つ目小僧”めがけてダッシュしたのです。

ほぼ同時に、神岳穂積かみおかほづみさんが、天使と仏の至近距離に現れました。

フラワー型との戦いでもそうでしたが、瞬間移動でしょうか?

いずれにせよ、私は完全に出遅れてしまっております。

そんな私の顔面に、一匹のスライムが〝ブワッ!〟と広がりながら迫ってきたのです。

「ぅわッ!」

咄嗟に薙刀で上段斬りしたところ、

「あ!琴晴ことはちゃん!」

穂乃歌さんが慌てました。

「はい?」

間の抜けた返事をする私を余所よそに、真っ二つになったスライムが、それぞれ単独で動き出したではありませんか。

明らかに分裂しております。

真守さんが、

「ごめん!」
「伝え忘れてた!」

と言った後に、【サンダー・ボール雷の玉】を飛ばし、穂乃歌さんも【聖なる水ホーリー・ウォーター】を発射して、敵を消滅してくれたのです。

スライムに物理攻撃が通用しないという理由が分かりました。

出来れば先に知っておきたかったのですが…。

事なきを得たので不問としましょう。

お二人が残りのスライムにも魔法をヒットさせていくなか、私は、紗凪さんと穂積さんに視線を送ります。

すると、紗凪さんは既に二体の小僧を倒していました。

穂積さんは、二人の天使の翼と、一人の仏の天衣てんえを、ダガーで切って、落下させた模様です。

急ぎ合流した私が止めを刺していきます。

美味しいとこ取りになってしまったのは否めません。

不本意ながら。

わざとではありませんよ。

いや、本当に。

そうこうしているうちに【閃光】の効き目が無くなったようで、標的にならずに済んでいた天使&仏が高度を上げていきました。

さっきまでは地上1Mぐらいの位置だったのが、3Mになってしまったようです。

これでは武器が届きません。

更には【恩恵】もタイムリミットになっていました。

ま、どちらも、改めて発動しますけど。

“一つ目”とのバトルを終えた紗凪さんが、私の右横に並んで、

「あの場所まで退かれると手も足も出せないわね。」

と、眉間にシワを寄せます。

前方に居る穂積さんが、後ろを振り返って、

「…、いや、大丈夫だろう。」
「穂乃歌と真守が、丁度、スライムたちを片付けたようだから。」

と述べたのです。

「それじゃあ、琴晴ちゃん、もう一回お願いして良いかな?」

尋ねてきた紗凪さんに頷いた私は、再び【閃光】を用いました。

ちなみに、これ・・は、前・上・左右の各方位程が範囲みたいです。

またしても視界を奪われた人外らに、真守さんと穂乃歌さんのコンビが、魔法を連発していきます。

続けて【恩恵】を扱った私は、紗凪さん&穂積さんと共に、撃墜されていく敵に狙いを定めるのでした―。
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