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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第332話 荒野にて・破

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南の[総大将]は、“二足歩行の象”だった。

ただし、腕が六本で、皮膚は青っぽい。

手には、[剣]や[バトルアックス戦斧]に[メイス]などを、握っている。

名称は[ガジャースラ]となっていた。

地球では、ヒンドゥー教における神であり、“象の悪魔”とも呼ばれている。

そんな総大将が、

「一応は情けを掛けてやろう。」
「我らの主様に“臣下の礼”をとれば、命までは奪わずにおいてやるが?」

このように提案してきた。

〝フンッ〟と鼻で笑った[獅子王]が、真顔になって、

「例え殺されようとも断る。」

そう返したところ、

「ならば、望みどおりにしてやろう……。」
「蹂躙してやれ!!」

ガジャースラが軍勢を動かす。

このガジャースラに向かってゆく[リザードマン][カバ][植物]の各ロードであった…。


西の総大将にも腕が六本ある。

やはり、さまざまな武器を装備していた。

どうやら“二足歩行の水牛・・”らしい。

その名を[マヒシャ]という。

こちらも、地球においては、ヒンドゥー教に登場する。

それによれば“ダーナヴァ族に属するアスラ神族の一柱”となっていた。

と同時に“インド神話を代表する魔王の一つ”でもあるそうだ。

こうした[マヒシャ]が、

「現在、生き残っておる者らは〝それなりの強さを誇る〟という事であろう。」
「滅するは惜しい。」
「故に、家来となれ。」

そのように勧誘する。

これに対して、[ケルベロス]の“三つの顔”が左から順番に、

「偉そうにしおって。」
「焼いて喰ってしまおうか??」
「やめておけ、たいして美味くはなさそうだ。」

そう喋った。

「口の利き方を知らん犬めがッ。」
「お前ら全員、肉を切り裂き、骨を砕いてやろう!」
「あの世で後悔するがいいッ!!」

マヒシャの怒号をきっかけに、上級神どもが突撃を開始する。

「アイツは、私が。」

前に進み出る[トロール女王]に、

「援護しよう。」

“二足歩行のハイエナ”である[ノールロード]が続く。

更には、

「念のために、オレも。」

空中から告げた[ガーゴイルの王]が、マヒシャとのバトルに加わった……。


北の総大将は“巨大な蝙蝠コウモリ”だ。

なんでも[カマソッツ]というらしい。

地球では“カマソッ”ともされている。

どちらにせよ、マヤ神話における“蝙蝠の神”だ。

また、名前は“死のコウモリ”を意味する。

いずれにせよ。

「久しぶりに、大量の血を吸えそうだ。」

カマソッツが〝ニヤリ〟と笑みを浮かべた。

「そうはさせん。」
「先に首を刎ねてやろう。」

このように宣言したのは、[オーガロード]だ。

その両脇に、[マンモスの女王]と[熊の王]が立ち並ぶ。

「不快。」
「だが、度胸は褒めてやる。」
「ま、泣いて謝っても許さんがな。」

こう述べた総大将が、

「残らず片づけろ!」

自軍に命令を下したのである…。


大陸の四方で、争いが勃発した。

東側にて。

[魔人ロード]のもとに、それぞれ“接近戦メンバー”を伴った[エルフとドワーフの両国主]が加わっている。

宙では、敵どもが攻めてくるなか、

「フッフッフッフゥー。」
「ワタシノォ、ニュースキルヲ、オミセ、シマショウ。」

[ウィッチ]が、自分の正面で、“増魔ぞうまの杖”を両手で構えた。

この流れにて、直径3Mぐらいの魔法陣が二つ・・構築されていく。

割と近くにいたアンデッドソーサラーは、

「なんじゃと?!!」

驚きを隠せないでいる。

まさかの光景にフリーズしてしまったものの、〝ハッ!〟と正気に戻り、

(“空中浮遊”だけでなく“二重魔法陣”も扱えるようになっておるとは……。)
(成程。)
(それで、あのアーティファクトが、マスターとして選んだのか。)
(おそらくは、これらの能力を得ることを、予め感じ取ったのじゃろう…。)

〝うぅ~む〟と唸るリッチだった―。
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