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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第314話 方策
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「とうとう自由になりおったか。」
〝ぬぅ~ッ〟と唸ったのは、ミノタウロス元帥だ。
それをきっかけに、誰もがザワつきだす。
軽く〝ふぅ〟と息を吐いて、
「とりあえず、各代表に連絡すっから、一旦、落ち着け。」
全員を促した俺は、【念話】を発動したのだった……。
まず、現在の状況を確認しておこう。
今日に至るまで、[四大陸]のなかでも海に面している幾つかの国々や、“魔人の島国”では、軍艦を揃えてある。
中立を保っている所は、約束どおり、飲食物と、予備の武具を、届けてくれていた。
ちなみに、この世界にも[冷蔵庫]が存在している。
ただし、内部に鉄板を用いて、外側は木製になっている代物だ。
昔の地球で言うところの、“長方形のブロック氷”を納める形式のものである。
こちらでは、[氷の魔石]を使っているが…。
なお、大中小さまざまなスケールで製造されていた。
……、話しを戻そう。
要は、いつでも[中央の大陸]に向かう準備が整っているという訳だ。
なので、“内地”で生活しているメンバーは、どこかしらの港に【テレポート】する手筈になっている。
とはいえ、戦艦の数からして、あまりにも多くの兵は乗船できないため、〝各国一万ずつ〟との約束になっていた。
それでも、悠に70万は超える計算だ。
なにはともあれ。
明日の朝より、順次、出港して、東西南北の沖で合流しつつ、[中央の大陸]を目指す運びになったのである…。
「――、という約束を交わしたんだが……。」
皆に伝え終えて、
「結局、どれくらいの日数になるんだ?」
何気に首を傾げたところ、
「最も遠い国々を待つとするならば、“中央の大陸”の海岸まで一ヶ月は掛かるでしょうな。」
[トーキーの賢者]が推測したのであった。
「それだと…、“天地晦冥の主”とやらが設けた期限に間に合わないのではありませんか??」
ふと疑問を呈した[弓道部エース]に、ジャイアントアント参謀役が、
「だとすれば、こちらより先に“邪悪なる神々”が攻撃を開始するかもしれませんね。」
「おそらくは、誰もが空を飛べるでしょうから。」
そのように続いたのである。
これらの意見に、
「例えば、邪神どものなかで“瞬間転移”が扱える者を港町や岸辺に配置しておれば、そこから親玉のもとまで儂らを連れて行けるじゃろうて。」
そう返すアンデッドソーサラーだった。
「なるほど。」
「一理あるな。」
〝ふむ〟と頷いた俺が、
「ところで。」
「アーティファクトは、どうなったんだ?」
「蘇生は可能になってんのか??」
リッチに訊いてみたら、
「基本の改正は済んでおる。」
「あれは、もともと、〝精気を吸い取る〟といった物だった訳じゃが……。」
「それを、儂ら4人で、〝死者の魂を保管する〟という効果に変更した。」
と、答えたのである。
「それで〝蘇生できる〟てことか?」
俺が新たに質問したところ、
「いや、無理じゃ。」
あっさりと告げた魔霊が、
「あくまで〝冥界へと旅立つ前に吸収しておく〟のが目的じゃからなぁ。」
「なにせ、あちらに逝かれてしもうたなら、現世には二度と呼び戻せんからのう。」
「つまり…、かつてお前さんがたが操作した“復活の宝玉”と、こっちのアーティファクトでは、そもそもの構造が違うのじゃよ。」
「あの宝玉であれば、魂を冥土から現世へと移したうえに、そのまま甦らせられるのじゃがな。」
こう説明したのであった。
「んん~??」
「それだと意味が無いんじゃ?」
理解しきれない俺に、
「ま、〝このまま〟ではのッ。」
「肝心なのは、敵を駆逐した後の工程じゃ。」
「そのためにも……。」
「何がなんでも勝たねばならん!」
いつになく真剣に述べるアンデッドソーサラーだった―。
〝ぬぅ~ッ〟と唸ったのは、ミノタウロス元帥だ。
それをきっかけに、誰もがザワつきだす。
軽く〝ふぅ〟と息を吐いて、
「とりあえず、各代表に連絡すっから、一旦、落ち着け。」
全員を促した俺は、【念話】を発動したのだった……。
まず、現在の状況を確認しておこう。
今日に至るまで、[四大陸]のなかでも海に面している幾つかの国々や、“魔人の島国”では、軍艦を揃えてある。
中立を保っている所は、約束どおり、飲食物と、予備の武具を、届けてくれていた。
ちなみに、この世界にも[冷蔵庫]が存在している。
ただし、内部に鉄板を用いて、外側は木製になっている代物だ。
昔の地球で言うところの、“長方形のブロック氷”を納める形式のものである。
こちらでは、[氷の魔石]を使っているが…。
なお、大中小さまざまなスケールで製造されていた。
……、話しを戻そう。
要は、いつでも[中央の大陸]に向かう準備が整っているという訳だ。
なので、“内地”で生活しているメンバーは、どこかしらの港に【テレポート】する手筈になっている。
とはいえ、戦艦の数からして、あまりにも多くの兵は乗船できないため、〝各国一万ずつ〟との約束になっていた。
それでも、悠に70万は超える計算だ。
なにはともあれ。
明日の朝より、順次、出港して、東西南北の沖で合流しつつ、[中央の大陸]を目指す運びになったのである…。
「――、という約束を交わしたんだが……。」
皆に伝え終えて、
「結局、どれくらいの日数になるんだ?」
何気に首を傾げたところ、
「最も遠い国々を待つとするならば、“中央の大陸”の海岸まで一ヶ月は掛かるでしょうな。」
[トーキーの賢者]が推測したのであった。
「それだと…、“天地晦冥の主”とやらが設けた期限に間に合わないのではありませんか??」
ふと疑問を呈した[弓道部エース]に、ジャイアントアント参謀役が、
「だとすれば、こちらより先に“邪悪なる神々”が攻撃を開始するかもしれませんね。」
「おそらくは、誰もが空を飛べるでしょうから。」
そのように続いたのである。
これらの意見に、
「例えば、邪神どものなかで“瞬間転移”が扱える者を港町や岸辺に配置しておれば、そこから親玉のもとまで儂らを連れて行けるじゃろうて。」
そう返すアンデッドソーサラーだった。
「なるほど。」
「一理あるな。」
〝ふむ〟と頷いた俺が、
「ところで。」
「アーティファクトは、どうなったんだ?」
「蘇生は可能になってんのか??」
リッチに訊いてみたら、
「基本の改正は済んでおる。」
「あれは、もともと、〝精気を吸い取る〟といった物だった訳じゃが……。」
「それを、儂ら4人で、〝死者の魂を保管する〟という効果に変更した。」
と、答えたのである。
「それで〝蘇生できる〟てことか?」
俺が新たに質問したところ、
「いや、無理じゃ。」
あっさりと告げた魔霊が、
「あくまで〝冥界へと旅立つ前に吸収しておく〟のが目的じゃからなぁ。」
「なにせ、あちらに逝かれてしもうたなら、現世には二度と呼び戻せんからのう。」
「つまり…、かつてお前さんがたが操作した“復活の宝玉”と、こっちのアーティファクトでは、そもそもの構造が違うのじゃよ。」
「あの宝玉であれば、魂を冥土から現世へと移したうえに、そのまま甦らせられるのじゃがな。」
こう説明したのであった。
「んん~??」
「それだと意味が無いんじゃ?」
理解しきれない俺に、
「ま、〝このまま〟ではのッ。」
「肝心なのは、敵を駆逐した後の工程じゃ。」
「そのためにも……。」
「何がなんでも勝たねばならん!」
いつになく真剣に述べるアンデッドソーサラーだった―。
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