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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第313話 時、来たる。
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俺の左斜め後ろから、
「あの。」
「以前より疑問だったのですが…。」
「かつての勇者たちは、どのようにしてドラゴンを捕まえる事が出来たのです?」
「“黒竜族の領地”に乗り込んだとか??」
「でも、それだと、他にもブラックドラゴン達が居て、太刀打ちできなかったのでは?」
「あの時代に召喚された人々は〝よほど強かった〟ということでしょうか??」
こう尋ねたのは、生徒会長だった。
「いや。」
「大昔の神々による争いが終わってからというもの、我ら竜は、先祖の取り決めで、それぞれの棲み処で生涯を終えるのが常となっており、外界には関わらないようにしているのだが……。」
「なかには好奇心に駆られて世界を旅して回る者が少なからず存在しておる。」
「どうやら、叔父は、そういう性分だったらしく…、各地を巡っていたときに、戦いに敗れ、捕獲されてしまったようだ。」
[ブラックドラゴンロード]が喋り終えたところで、
「“厄災のキマイラ”に勝負を挑んだという何体かの竜も、きっと同じタイプだったんでしょうね。」
独り納得したのは、一年生書記である。
それが聞こえたらしいリヴァイアサンが、
「まぁ、そういう解釈で間違いなかろう。」
と、肯定したのであった。
この流れで、
「そう言や、“屍の国”でロードになっていたのって?」
ふと思い出し、誰ともなく訊ねてみた俺に、
「私の再従兄妹です。」
「祖母の妹の男孫にあたります。」
そう答えたのは[白竜の女王]である。
「ん??」
「“だんそん”とは?」
俺が首を傾げたら、
「“男性の孫”の事ですよ。」
「“孫息子”とも言いますが、こちらの名称は、あまり使わないみたいですね。」
このように教えてくれる[現代の勇者]だった。
「なるほど。」
理解を示して、
「あのスカルドラゴンを消滅させたのは俺なんだが……、悪いことしちまったな。」
そう述べたところ、
「いいえ。」
「寧ろ、それで良かったのです。」
「およそ千年に亘って、自身の怨念に縛られ続けてきたのですから、さぞ、辛かったに違いありません。」
「彼を長き苦しみから解放してくださり、ありがとうございました。」
[白竜の女王]が穏やかな表情で会釈したのである。
ここから暫し雑談を交わした俺たちは、〝邪神どもを必ず倒そう〟と固く約束して、各自の本拠地へと帰ったのであった…。
その夜――。
PM18:00頃に、西陸におけるドワーフ達の送別会が開かれたのである。
トーキー王城にて、主だった者らが、飲食を楽しんでいく。
西のドワーフらは、魔道機関車と飛行艇に競技場の講義や実技を熱心に受けていたと、賢者が語っていた。
何はともあれ。
宴は、大盛り上がりしていったのである。
翌朝。
城に宿泊した俺たちは、庭で【瞬間転移】するドワーフ集団を見送った後に、ダンジョンへと戻ったのだった。
あれから12日が経っている。
正午過ぎに、皆で食事していたところ、
「余は、この世界を創造せし一柱たる“天地晦冥の主”である。」
「彼奴等による忌々しき封印が解けた今、全ての種族に申し渡す。」
「これより一ヶ月の猶予を与えてやる故、代表者らは、余のもとに参じて、恭順の意を示せ。」
「さもなくば……、根絶やしにするぞ!」
といった“男の声”が、どこからともなく轟いてきたのであった―。
「あの。」
「以前より疑問だったのですが…。」
「かつての勇者たちは、どのようにしてドラゴンを捕まえる事が出来たのです?」
「“黒竜族の領地”に乗り込んだとか??」
「でも、それだと、他にもブラックドラゴン達が居て、太刀打ちできなかったのでは?」
「あの時代に召喚された人々は〝よほど強かった〟ということでしょうか??」
こう尋ねたのは、生徒会長だった。
「いや。」
「大昔の神々による争いが終わってからというもの、我ら竜は、先祖の取り決めで、それぞれの棲み処で生涯を終えるのが常となっており、外界には関わらないようにしているのだが……。」
「なかには好奇心に駆られて世界を旅して回る者が少なからず存在しておる。」
「どうやら、叔父は、そういう性分だったらしく…、各地を巡っていたときに、戦いに敗れ、捕獲されてしまったようだ。」
[ブラックドラゴンロード]が喋り終えたところで、
「“厄災のキマイラ”に勝負を挑んだという何体かの竜も、きっと同じタイプだったんでしょうね。」
独り納得したのは、一年生書記である。
それが聞こえたらしいリヴァイアサンが、
「まぁ、そういう解釈で間違いなかろう。」
と、肯定したのであった。
この流れで、
「そう言や、“屍の国”でロードになっていたのって?」
ふと思い出し、誰ともなく訊ねてみた俺に、
「私の再従兄妹です。」
「祖母の妹の男孫にあたります。」
そう答えたのは[白竜の女王]である。
「ん??」
「“だんそん”とは?」
俺が首を傾げたら、
「“男性の孫”の事ですよ。」
「“孫息子”とも言いますが、こちらの名称は、あまり使わないみたいですね。」
このように教えてくれる[現代の勇者]だった。
「なるほど。」
理解を示して、
「あのスカルドラゴンを消滅させたのは俺なんだが……、悪いことしちまったな。」
そう述べたところ、
「いいえ。」
「寧ろ、それで良かったのです。」
「およそ千年に亘って、自身の怨念に縛られ続けてきたのですから、さぞ、辛かったに違いありません。」
「彼を長き苦しみから解放してくださり、ありがとうございました。」
[白竜の女王]が穏やかな表情で会釈したのである。
ここから暫し雑談を交わした俺たちは、〝邪神どもを必ず倒そう〟と固く約束して、各自の本拠地へと帰ったのであった…。
その夜――。
PM18:00頃に、西陸におけるドワーフ達の送別会が開かれたのである。
トーキー王城にて、主だった者らが、飲食を楽しんでいく。
西のドワーフらは、魔道機関車と飛行艇に競技場の講義や実技を熱心に受けていたと、賢者が語っていた。
何はともあれ。
宴は、大盛り上がりしていったのである。
翌朝。
城に宿泊した俺たちは、庭で【瞬間転移】するドワーフ集団を見送った後に、ダンジョンへと戻ったのだった。
あれから12日が経っている。
正午過ぎに、皆で食事していたところ、
「余は、この世界を創造せし一柱たる“天地晦冥の主”である。」
「彼奴等による忌々しき封印が解けた今、全ての種族に申し渡す。」
「これより一ヶ月の猶予を与えてやる故、代表者らは、余のもとに参じて、恭順の意を示せ。」
「さもなくば……、根絶やしにするぞ!」
といった“男の声”が、どこからともなく轟いてきたのであった―。
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