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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第303話 南陸攻防戦・其之参-結
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ダークロードによる直径2Mの【炎】を、まともに浴びてしまった大猩々は、胸元から上部が、それなりに焦げたようだ。
女魔王を睨み付けるゴリラロードに、何者かの影が忍び寄った。
〝ハッ!〟とした大猩々が、左へと体勢を変えたところ、[オーガの王]が“グレートソード”を振り下ろそうとしていたのである。
「く!!」
焦ったゴリラロードは、バックステップで距離を取ろうとしたものの、完全には間に合わず、左の肩から腰にかけてを斬られてしまった。
「うぐッ!」
草原に右膝を着いた大猩々に、
「負けを認めよ。」
「大魔王のヤツに〝なるべく幹部以上は殺すな〟〝邪神どもと争う際に貴重な戦力になるだろうから〟と指示されておるゆえ、我らに従うのであれば命は奪わぬ。」
「だが、〝もし相手が拒んだ場合は息の根を止めても構わない〟とも言うておったので、そのときは容赦せん!!」
「ここで降伏すれば、己らの経験値を、いくらか我に吸収させるだけで許してやろうぞ!」
このように宣告する[女魔王]であった…。
空中からはクイーンビーが“ダガー”で、地上では[森人族の長]が様々な【伝導】による“矢”で、幾度も攻撃している。
それらの悉くを、“ロングソード”や“バックラーシールド”で、バジリスクが防ぎ続けていた。
こういった状況に、
「まさに“堂々巡り”ですわね。」
うんざりしたらしい[エルフ国主]の左隣を駆け抜けたのは、[補佐官]である。
その勢いのまま、
「横断!!」
【騎士】たる国主補佐官が払った“長槍”を、
「ちょこざいな!」
[蛇の女王]がシールドで阻んだ。
しかし、均衡が崩れたことで、スネークロードに隙が生じる。
「良い働きです。」
補佐官を褒めた[森人族の長]が、矢を射った。
それが左肩に当たるなり、直径1Mの範囲が〝ズボォオンッ!!!!〟と爆発して、
「ぃぎッ!」
バジリスクが、ふらつく。
エルフ達が連係していた時に、[蛇の女王]の後ろに回り込んでいた[インセクトロード]が、蜂特有の“針”で、首を刺す。
これによって、【麻痺】したスネークロードが、うつ伏せで倒れかけるも、ソードを〝杖代わり〟にして踏み止まった。
「まぁ、しぶといですわね。」
半ば驚いた[森人族の長]ではあったが、
「もはや、貴女に勝ち目はございませんでしょう。」
「降伏なされば助命してさしあげますけども、如何なさいます?」
冷静になって尋ねたのである。
「…………。」
黙して、眉間にシワを寄せているバジリスクに、
「交渉決裂という事でしょうか??」
「でしたら仕方ありません。」
「これより冥府に送ってさしあげます。」
「どうか、お怨みにならないでくださいまし。」
そう述べた[エルフ国主]が、弓の弦を指先で抓んだタイミングで、
「お待ちください。」
「きっと、全身が痺れており、口が動かせず、答えられないのでしょう。」
[蜂の女王]が宙から指摘した。
「あら? そうでしたの。」
理解した[森人族の長]ではあったが、
「では、どのようにいたしましょうか??」
判断に迷ったみたいだ。
「取り敢えず縄などで縛っておいて、この者の家臣らに停戦を呼び掛けるのが最善かと。」
こう提案したのは、ハーフエルフの[補佐官]だった。
「成程。」
納得したらしい[国主]が、
「……、よろしくて?」
クイーンビーに伺う。
「ええ。」
[昆虫のロード]は頷いた流れで、
「すぐに、それらの手配を致しましょう。」
と、賛同したのであった―。
女魔王を睨み付けるゴリラロードに、何者かの影が忍び寄った。
〝ハッ!〟とした大猩々が、左へと体勢を変えたところ、[オーガの王]が“グレートソード”を振り下ろそうとしていたのである。
「く!!」
焦ったゴリラロードは、バックステップで距離を取ろうとしたものの、完全には間に合わず、左の肩から腰にかけてを斬られてしまった。
「うぐッ!」
草原に右膝を着いた大猩々に、
「負けを認めよ。」
「大魔王のヤツに〝なるべく幹部以上は殺すな〟〝邪神どもと争う際に貴重な戦力になるだろうから〟と指示されておるゆえ、我らに従うのであれば命は奪わぬ。」
「だが、〝もし相手が拒んだ場合は息の根を止めても構わない〟とも言うておったので、そのときは容赦せん!!」
「ここで降伏すれば、己らの経験値を、いくらか我に吸収させるだけで許してやろうぞ!」
このように宣告する[女魔王]であった…。
空中からはクイーンビーが“ダガー”で、地上では[森人族の長]が様々な【伝導】による“矢”で、幾度も攻撃している。
それらの悉くを、“ロングソード”や“バックラーシールド”で、バジリスクが防ぎ続けていた。
こういった状況に、
「まさに“堂々巡り”ですわね。」
うんざりしたらしい[エルフ国主]の左隣を駆け抜けたのは、[補佐官]である。
その勢いのまま、
「横断!!」
【騎士】たる国主補佐官が払った“長槍”を、
「ちょこざいな!」
[蛇の女王]がシールドで阻んだ。
しかし、均衡が崩れたことで、スネークロードに隙が生じる。
「良い働きです。」
補佐官を褒めた[森人族の長]が、矢を射った。
それが左肩に当たるなり、直径1Mの範囲が〝ズボォオンッ!!!!〟と爆発して、
「ぃぎッ!」
バジリスクが、ふらつく。
エルフ達が連係していた時に、[蛇の女王]の後ろに回り込んでいた[インセクトロード]が、蜂特有の“針”で、首を刺す。
これによって、【麻痺】したスネークロードが、うつ伏せで倒れかけるも、ソードを〝杖代わり〟にして踏み止まった。
「まぁ、しぶといですわね。」
半ば驚いた[森人族の長]ではあったが、
「もはや、貴女に勝ち目はございませんでしょう。」
「降伏なされば助命してさしあげますけども、如何なさいます?」
冷静になって尋ねたのである。
「…………。」
黙して、眉間にシワを寄せているバジリスクに、
「交渉決裂という事でしょうか??」
「でしたら仕方ありません。」
「これより冥府に送ってさしあげます。」
「どうか、お怨みにならないでくださいまし。」
そう述べた[エルフ国主]が、弓の弦を指先で抓んだタイミングで、
「お待ちください。」
「きっと、全身が痺れており、口が動かせず、答えられないのでしょう。」
[蜂の女王]が宙から指摘した。
「あら? そうでしたの。」
理解した[森人族の長]ではあったが、
「では、どのようにいたしましょうか??」
判断に迷ったみたいだ。
「取り敢えず縄などで縛っておいて、この者の家臣らに停戦を呼び掛けるのが最善かと。」
こう提案したのは、ハーフエルフの[補佐官]だった。
「成程。」
納得したらしい[国主]が、
「……、よろしくて?」
クイーンビーに伺う。
「ええ。」
[昆虫のロード]は頷いた流れで、
「すぐに、それらの手配を致しましょう。」
と、賛同したのであった―。
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