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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第294話 安息・破
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[朱色の幕]がセンターから左右に開かれたところ、吹奏楽部の約50名がスタンバイしていた。
下手から登場した“顧問の男性教師”が、客席に一礼した流れで、指揮を始める。
三つほど奏でられた曲は、どれもが、タイトルまでは分からないものの、地球人の多くが一度は耳にした事があるだろうクラッシックとオペラであった。
続いて、演劇部およそ25人の出番となったのだが…、俺のことを称える内容の芝居だったので、観ていて恥ずかしくなった次第である。
その後、20分の休憩となり、
「楽器とか、舞台のセットは、どうやって取り揃えたんだ?」
一年生書記に素朴な疑問を投げ掛けたら、
「楽器は、私達の世界とよく似た品々がありましたので、それらを“トーキー王政府”に購入してもらいました。」
「セットは、都の大工さん達に発注したんですよ。」
「照明に関しては、魔導師さんや、賢者さんと、魔人姉妹に、“光の魔石”をアレンジしてもらいました。」
との話しだった。
“第二部”は、約30名の合唱部からスタートしたのである。
こちらのマエストロは女性教員だ。
構成としては、Jupiter/平原綾香・紅蓮華/LiSA・飛行艇/King Gnuであった。
ダンス部およそ40人は、J-POPを2つと、洋楽を1つである。
なお、BGMは、吹奏楽部から選抜された10人が務めていた。
その吹奏楽部が、最後の結びに、再び全員で演奏したのである。
生徒会の[副会長]が、終幕の挨拶をして、頭を下げるなか、会場は割れんばかりの拍手で包まれていた……。
外に赴いたところ、屋台が立ち並んでおり、これ目当てで足を運んで来たのであろう人々が沢山いたのである。
その光景を眺める俺たちに気づいた者らが、慌てたかのように跪いた。
これに対して、
「今は必要ない。」
「商売する側は精を出し、客達は存分に堪能せよ。」
そう告げた[トーキーの王]が、俺に視線を送ってきたのである。
「ああ、そうだな。」
「王の言う通りだ。」
「皆、ラクにしていいぞ。」
俺の許可が後押しとなったみたいで、誰もが笑顔で立ち上がったのだった。
俺たちは、いろんな店を楽しんでいる。
各自が、金魚すくい/輪投げ/射的/千本引き/たこ焼き/焼きそば/唐揚げ/フランクフルトなどに、目を輝かせていた。
ま、高校生の集まりなので、無邪気になるのは当然ではあるが…。
国王や王妃など、この世界の大人達はもとより、教師らも、童心に帰っている。
更には、ミノタウロス元帥を筆頭に、モンスター達も、喜んでいた。
「浴衣も作れば良かったんじゃないか??」
〝フ〟と述べた俺に、
「ソレモ、カンガエマシタガ、ティーチャータチニ、ソウダンシタラ、〝キツケガデキルヒトガ、スクナイダローカラ、ヤメタガイイ〟ト、イワレタノデェ、ダンネン、シマシタァ。」
三年の留学生が説明したのである。
「ん?」
俺が軽く首を傾げたら、
「つまり、〝大勢が押し寄せてきた場合、人手不足で対応しきれず、かえって迷惑をかけてしまう〟との配慮でしょう。」
生徒会長が推察したのだ。
「あー、成程な。」
俺が納得したタイミングで、
ヒュ――――――――ゥ、ドオォンッ!!
という音が、東側より聞こえてきたのであった。
これを皮切りに、次々と花火が打ち上がっていく。
「あれらは、“科学開発班”が教えたのか?」
俺が新たに訊ねたところ、クレリックランサーが、
「いいえ、この世界にも、花火の文化がありましたので。」
「特には何も。」
そう答えたのである。
「へぇー。」
理解を示した俺は、どこからともなく吹いてくる穏やかな風を肌で感じつつ、色とりどりに染まる夜空に目を細めたのだった―。
下手から登場した“顧問の男性教師”が、客席に一礼した流れで、指揮を始める。
三つほど奏でられた曲は、どれもが、タイトルまでは分からないものの、地球人の多くが一度は耳にした事があるだろうクラッシックとオペラであった。
続いて、演劇部およそ25人の出番となったのだが…、俺のことを称える内容の芝居だったので、観ていて恥ずかしくなった次第である。
その後、20分の休憩となり、
「楽器とか、舞台のセットは、どうやって取り揃えたんだ?」
一年生書記に素朴な疑問を投げ掛けたら、
「楽器は、私達の世界とよく似た品々がありましたので、それらを“トーキー王政府”に購入してもらいました。」
「セットは、都の大工さん達に発注したんですよ。」
「照明に関しては、魔導師さんや、賢者さんと、魔人姉妹に、“光の魔石”をアレンジしてもらいました。」
との話しだった。
“第二部”は、約30名の合唱部からスタートしたのである。
こちらのマエストロは女性教員だ。
構成としては、Jupiter/平原綾香・紅蓮華/LiSA・飛行艇/King Gnuであった。
ダンス部およそ40人は、J-POPを2つと、洋楽を1つである。
なお、BGMは、吹奏楽部から選抜された10人が務めていた。
その吹奏楽部が、最後の結びに、再び全員で演奏したのである。
生徒会の[副会長]が、終幕の挨拶をして、頭を下げるなか、会場は割れんばかりの拍手で包まれていた……。
外に赴いたところ、屋台が立ち並んでおり、これ目当てで足を運んで来たのであろう人々が沢山いたのである。
その光景を眺める俺たちに気づいた者らが、慌てたかのように跪いた。
これに対して、
「今は必要ない。」
「商売する側は精を出し、客達は存分に堪能せよ。」
そう告げた[トーキーの王]が、俺に視線を送ってきたのである。
「ああ、そうだな。」
「王の言う通りだ。」
「皆、ラクにしていいぞ。」
俺の許可が後押しとなったみたいで、誰もが笑顔で立ち上がったのだった。
俺たちは、いろんな店を楽しんでいる。
各自が、金魚すくい/輪投げ/射的/千本引き/たこ焼き/焼きそば/唐揚げ/フランクフルトなどに、目を輝かせていた。
ま、高校生の集まりなので、無邪気になるのは当然ではあるが…。
国王や王妃など、この世界の大人達はもとより、教師らも、童心に帰っている。
更には、ミノタウロス元帥を筆頭に、モンスター達も、喜んでいた。
「浴衣も作れば良かったんじゃないか??」
〝フ〟と述べた俺に、
「ソレモ、カンガエマシタガ、ティーチャータチニ、ソウダンシタラ、〝キツケガデキルヒトガ、スクナイダローカラ、ヤメタガイイ〟ト、イワレタノデェ、ダンネン、シマシタァ。」
三年の留学生が説明したのである。
「ん?」
俺が軽く首を傾げたら、
「つまり、〝大勢が押し寄せてきた場合、人手不足で対応しきれず、かえって迷惑をかけてしまう〟との配慮でしょう。」
生徒会長が推察したのだ。
「あー、成程な。」
俺が納得したタイミングで、
ヒュ――――――――ゥ、ドオォンッ!!
という音が、東側より聞こえてきたのであった。
これを皮切りに、次々と花火が打ち上がっていく。
「あれらは、“科学開発班”が教えたのか?」
俺が新たに訊ねたところ、クレリックランサーが、
「いいえ、この世界にも、花火の文化がありましたので。」
「特には何も。」
そう答えたのである。
「へぇー。」
理解を示した俺は、どこからともなく吹いてくる穏やかな風を肌で感じつつ、色とりどりに染まる夜空に目を細めたのだった―。
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