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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第286話 模範試合

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「……、貴君きくんが“大魔王”か?」

キャットロードの問いに、

「ああ、そうだ。」

俺が頷いたところ、

「ふむ…。」
「事情は聞き及んでおる。」
「〝反邪神連合〟にくみするか否かは、大魔王の力量を試してから決断したい。」

そう伝えてきた。

「“手合わせ”するってことか??」

俺が尋ねたら、

「ああ、そうだ。」
「構わぬか??」

逆に確認されたので、

「……。」
「ま、いいだろう。」

承諾したのである。

これに、

「うむ!」
「そうこなくてはな!!」

[獅子王]が嬉々として冠とマントを脱いだ。

控えていた部下たちが、手分けして、この二つと、椅子を、片づけるなか、キャットロードが[アイテムBOX]から武器を取り出す。

それ・・は、槍と斧が合体したような代物であった。

なんでも、“ハルバード”という名称らしい。

柄は3Mくらいであり、穂が1.5Mで、斧の刃は1M、といった感じだ。

また、俺の【可視化】によって、獅子王は[LV.152/HP:1520/MP:760/基本攻撃力:1368/基本防御力:1216/基本素早さ:456]という事が判明した。

なお、ジョブは【戦士】である。

さらに詳しくチェックしていこうとしたところ、

「さぁ、きょうじようぞ、大魔王よ!」

キャットロードに促されたので、[常闇とこやみつるぎ]を抜く俺だった。

この場に居る者らが、既に壁際へと離れているなかで、

「参るぞ!!」

獅子王が武器で刺してきたのである。

「ぬッ!」

右へと躱した俺に、キャットロードが“ハルバード槍斧”を縦横無尽に振るってきた。

俺は硬化した“常闇”で、次々に防ぐも、若干パワー負けしてしまい、ことごとく弾かれる。

獅子王が真上から叩き付けてきた[槍斧]を、俺は横にした[常闇]で、〝ガシィンッ!!〟と受け止めた。

だが。

おもいっきり体重を乗せられてしまい、俺の右膝が〝ググッ〟と折れかける。

押し潰されかねない状況に少なからず焦った俺は、背中から翼を出現させて、急ぎ、4Mほど後方に逃れた。

そこへ、すかさず口を開けたキャットロードが、

ドォウッ!

直径50㎝ぐらいで白黄色ホワイトイエローの【光線ビーム】を放ってきたのである。

「なッ?!」

慌てた俺は、剣を右から左へと払って、

ボォオンッ!!

ビームを斬った。

これによって生じた爆風で、ややフラついた俺に、獅子王が駆けてくる。

危険を察した俺は、左のてのひらを突き出して、直径1Mの魔法陣を五つ・・構築した。

ちなみに、形式は“十文字じゅうもんじ”である。

そして、中心からは土の塊・上は氷塊・下は水の杭・左は風の渦・右は火炎を、一斉に発射したのだ。

「むおッ!?」

びっくりしたキャットロードが、咄嗟に、自身の顔あたりで両腕をクロスさせる。

ここへ、氷/土/水の縦一列がヒットした。

風と炎は、獅子王の両サイドを通過していき、むこうの壁に当たって消えたようだ。

「なんだ? 今のは??」

驚きを隠せないでいるキャットロードに、

「“多重魔法”だ。」
「最近、収得した。」

簡略的に説明したところ、

「ほぉう。」
「…、面白いな!」

笑みを浮かべたのである。

その流れで、

「情報によれば、貴君は姿を変えられるそうだが……、今は、どっちだ?」

獅子王が訊いてきた。

「あー、…、折角だから披露しとくか。」

独り言かのように返した俺は、

「最終形態!!」

全身を〝カッ!〟と光らせて、スタイルをチェンジしたのである。

「これは……。」

〝ふぅ~む〟と暫し考えた様子のキャットロードが、

「よかろう。」
「同盟を結ぶとしようぞ。」

このように述べた。

「いいのか?!」

俺が半ば〝キョトン〟としたら、

「うむ。」
「〝その形態になった貴君との闘いは避けるべきだ〟と、我の本能が告げておるからなッ。」

そう締め括る獅子王であった―。
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