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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -
第272話 大将戦・序
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北側の[貴賓室]で、
「かたじけない。」
“犀の王”を中心に、各ロードが、頭を下げた。
「いや、気にせずともよい。」
「トーキーの者たちは、強固な装備品に、目新しいスキルや魔法を、得ていた。」
「殺し合いでない限り、あれらに勝利するのは難しかろう。」
「あとは、我が、命運を懸けて闘うまでよ!」
ケルベロスの“中央の顔”が、そう告げたのである。
西側の[VIPルーム]にて。
ミノタウロス元帥を迎え、
「これで、全員、金星だな!!」
俺が喜んだら、皆が誇らしげにしていた。
「じゃあ、行ってくる。」
次は俺の番なので、退室しようとしたところ、
「ご武運を!」
元帥を筆頭に、今回のメンバーが会釈したのである。
これに、
「ああ!!」
笑顔で応える俺だった…。
地下の東西南北に“控室”が設けられている。
西の部屋で甲冑に着替えた俺は、そこから出て、廊下で待機していた“半人のコボルド”に先導され、1階へと向かう。
歩きながら、
「お前らの王は、武器を扱わねぇよな?」
素朴な疑問を口にしたところ、
「ええ。」
「四足歩行ですので、物を掴むのには適しておりません。」
先を行くコボルドが、このように説明した。
それに対して、
「だよな。」
俺は〝ふむ〟と理解を示したのである。
「両者、入場!」
どうやら、“ライノロード”の声らしい。
これによって、俺は前へと進んでいく。
東からは、当然、“犬の王”が歩いて来ていた。
ケルベロスが現れた事で、場内は今日イチの歓声と拍手に包まれる。
悠々とした印象の王は、兜×3・鎧×1・足の甲と一体化している脛当て×4を着けていた。
どれも、色はダークグレーだが、銅製のようだ。
また、短めではあるものの、赤いマントを纏っている。
尻尾たる蛇も、同じ“濃い灰色”の甲冑姿となっていた。
そんなケルベロスは、[LV.153/HP:1224/MP:1071/基本攻撃力:1454/基本防御力:918→防具装備にて250増加の1168/基本素早さ995→各装備によって150減少の845]であることが、俺の【可視化】で判明している。
一方の俺は、[LV.129/HP:2580/MP:1290/基本攻撃力:1032→常闇の剣にて1300増加の2332/基本防御力:774→アダマンタイトの防具にて900増加の1674/基本素早さ516→各装備によって200減少の316]というのが現状であった。
闘技場の中心にて、
「制限時間は15分になります。」
「基本的には何でもありですが、相手を死なせるのは禁止です。」
「自ら負けを認めるか、こちらで危険と判断した際には、試合終了となります。」
“羊のレフェリー”がルールを伝えてきた。
各自、離れたところで、審判が右手を挙げる。
「得物を抜かなくてもよいのか??」
“犬の王”の右顔に尋ねられた俺は、
「まぁ、まずは、な。」
こう返した。
常闇はマジックポイントを吸収するので、使いどころを見定めたいのだ。
「よろしいですか?」
「いきますよ??」
様子を窺う審判に、俺とケルベロスが無言で頷く。
「では……。」
「始めぇッ!!」
勢いよく手を振り下ろしたレフェリーによって、決闘の火蓋が切って落とされたのだった―。
「かたじけない。」
“犀の王”を中心に、各ロードが、頭を下げた。
「いや、気にせずともよい。」
「トーキーの者たちは、強固な装備品に、目新しいスキルや魔法を、得ていた。」
「殺し合いでない限り、あれらに勝利するのは難しかろう。」
「あとは、我が、命運を懸けて闘うまでよ!」
ケルベロスの“中央の顔”が、そう告げたのである。
西側の[VIPルーム]にて。
ミノタウロス元帥を迎え、
「これで、全員、金星だな!!」
俺が喜んだら、皆が誇らしげにしていた。
「じゃあ、行ってくる。」
次は俺の番なので、退室しようとしたところ、
「ご武運を!」
元帥を筆頭に、今回のメンバーが会釈したのである。
これに、
「ああ!!」
笑顔で応える俺だった…。
地下の東西南北に“控室”が設けられている。
西の部屋で甲冑に着替えた俺は、そこから出て、廊下で待機していた“半人のコボルド”に先導され、1階へと向かう。
歩きながら、
「お前らの王は、武器を扱わねぇよな?」
素朴な疑問を口にしたところ、
「ええ。」
「四足歩行ですので、物を掴むのには適しておりません。」
先を行くコボルドが、このように説明した。
それに対して、
「だよな。」
俺は〝ふむ〟と理解を示したのである。
「両者、入場!」
どうやら、“ライノロード”の声らしい。
これによって、俺は前へと進んでいく。
東からは、当然、“犬の王”が歩いて来ていた。
ケルベロスが現れた事で、場内は今日イチの歓声と拍手に包まれる。
悠々とした印象の王は、兜×3・鎧×1・足の甲と一体化している脛当て×4を着けていた。
どれも、色はダークグレーだが、銅製のようだ。
また、短めではあるものの、赤いマントを纏っている。
尻尾たる蛇も、同じ“濃い灰色”の甲冑姿となっていた。
そんなケルベロスは、[LV.153/HP:1224/MP:1071/基本攻撃力:1454/基本防御力:918→防具装備にて250増加の1168/基本素早さ995→各装備によって150減少の845]であることが、俺の【可視化】で判明している。
一方の俺は、[LV.129/HP:2580/MP:1290/基本攻撃力:1032→常闇の剣にて1300増加の2332/基本防御力:774→アダマンタイトの防具にて900増加の1674/基本素早さ516→各装備によって200減少の316]というのが現状であった。
闘技場の中心にて、
「制限時間は15分になります。」
「基本的には何でもありですが、相手を死なせるのは禁止です。」
「自ら負けを認めるか、こちらで危険と判断した際には、試合終了となります。」
“羊のレフェリー”がルールを伝えてきた。
各自、離れたところで、審判が右手を挙げる。
「得物を抜かなくてもよいのか??」
“犬の王”の右顔に尋ねられた俺は、
「まぁ、まずは、な。」
こう返した。
常闇はマジックポイントを吸収するので、使いどころを見定めたいのだ。
「よろしいですか?」
「いきますよ??」
様子を窺う審判に、俺とケルベロスが無言で頷く。
「では……。」
「始めぇッ!!」
勢いよく手を振り下ろしたレフェリーによって、決闘の火蓋が切って落とされたのだった―。
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