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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第266話 モチベーション

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俺らは出場する順番を決めていった。

その流れで、

「お前たちの勝敗は交渉に影響しないから、気楽に臨んで構わねぇ。」
「けど…。」
「どうせ参加するのであれば、負けるな!」
「ただし、あっさりとは勝つなよ。」
「それだと、こっちの強さが分かりづらいだろうからな。」
「ある程度は演出しろ。」

冗談交じりで鼓舞した俺に、誰もが〝フ〟と笑みを零す。

基本的にはロード達のほうが強いので、緊張をほぐしてやるつもりで発言したのだが……、全員の表情を見るに、必要なかったみたいだ。

ま、連れて来ている眷属は、特殊なスキルを得ているし、装備品が格別なので、勝算はある。

「もうじきお時間となりますので、一試合目の方を控室へとご案内いたします。」

“半人のコボルド”が声をかけてきた事によって、

「それでは、行って参ります。」

会釈する聖女であった…。


まず、一階の南門から、青い紳士服姿の“羊”が出てきた。

毛は茶色で、顔や手は黒い。

身長は160㎝くらいだろう。

二足歩行で闘技場の中心へと向かっている。

タイミングを見計らっていたらしい[犬の王]が、

「此度は、“羊の国”に審判を依頼した!!」
「彼は、“左近衛少将さこんえのしょうしょう”との事だ!」

このように紹介したところ、立ち止まったレフェリーが東西南北にお辞儀した。

客たちが拍手しているなか、

「両選手、入場!!」

ケルベロスの合図にて、東西から対戦相手と姫殿下が、審判の所まで進んでゆく。

「東は“ラットロード”で、西は“トーキーの王女”である!」

[犬の王]が述べている最中に、対峙した二者が、レフェリーよりルールの説明を受けている。

聖女と闘うのは、背丈が165㎝ぐらいでオスの“ねずみ”だ。

一緒に訪れていた2匹のネズミは身長が110~120㎝程なので、その家臣達に比べてロードは明らかに大きい。

左腰に[中剣]を帯びており、甲冑は【剣士】のものみたいだ。

また、左手には[小型のカイトシールド]を持っていた。

全ての防具は黄色を基調としているが“銅製”のようである。

他には、白い腰マントを装着していた。

「なぁ、鼠って、“マウス”だよな?」

俺が生徒会長に訊いてみたら、

「マウスは“小さいネズミ”で、ラットは“大きいネズミ”を指します。」
「実験用動物としては、ハツカネズミを改良したものがマウスで、ドブネズミを改良したのがラットです。」
「あとは……、英語において、マウスは臆病者、ラットは裏切り者や卑怯者、といった意味があります。」

そう教えてくれたのである。

俺が〝へぇー〟と理解を示していたところ、姫殿下/鼠の王/審判が距離を取っていきだした。

まもなく初戦が開始されるようだ―。
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