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- 最終期・全身にて全霊を賭けて -

第262話 順調そのもの。

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数日ぶりとなる[キートフ城の中庭]にて、

「お出ましいただき、ありがとうございます。」

会釈した王が、

「事前のご連絡で承りましたように、“瞬間転移”を収得している者らを揃えておきました。」

そう伝えてきた。

この流れで、キートフ王の背後に控えている男女が、お辞儀する。

どちらも40代半ばくらいだろう。

男性は黒の、女性は緑の、ウィザードローブを纏っていた。

「到着したばかりだが、早速、現場に向かわせてもらうぞ。」

俺が告げたら、

「はッ。」
「何卒、よろしくお願い致します。」

王が一層に頭を下げたのである。

魔術士A(男性)&魔術士B(女性)が、俺と聖女に近づいてきた。

「まずは、どちらへ赴きましょう?」

“魔術士B”が質問してきたので、

「んー、ま、どっちが先でもいいんだけど……、西にするか。」

そう返したところ、

「それでは、参ります。」

“魔術士A”によって[テレポート]したのである。


どうやら、キートフ&ナーラン連合軍の真後ろに移動したようだ。

〝スゥ――ッ〟と息を吸った魔術士Aが、

「大魔王殿であらせられる!!」
「総大将は何処か?!」

声を張って尋ねたら、数百人が振り向いた。

これらを掻き分けるように、馬に乗ったまま寄って来る者がいる。

装備品からして【騎士】みたいだ。

ストップして下馬した男が、

「お待ちしておりました。」

うやうやしく挨拶した。

「戦況は??」

俺の問いに、

「今は、まだ、睨み合っております。」

総大将が簡潔に述べる。

「そうか…。」

理解した俺は、[最終形態]となり、

「ここで待ってろ。」

周囲に指示して、宙へと浮いてゆく。

ちなみに、俺は、鎧兜などを装着していない。

ただし、左腰には[常闇とこやみつるぎ]を帯びていた。

地上15Mぐらいの位置で、

「さっさと終わらせるか」

呟いた俺は、前へと進んで、キートフとオーカーフとの国境を越えていったのである。


オーカーフ&ヒョーゴォンの兵士どもが、

「魔物か!?」

「もしや、噂にある“大魔王”では?!」

「司令官殿、攻撃の御許可を!」

といった具合に騒ぎ出す。

空中で〝ピタッ〟と止まって、

「現在、この国に居る全ての者は、俺に従え!!」

スキルを発動した俺は、

「キートフ、ナーラン、オーカーフの軍勢は、地元に帰れ。」
「他は残っていろ。」

そのように指示したのである。


[トーキーの姫]と、[キートフの魔術士]らも、ヒョーゴォン軍に合流してきた。

「よろしいでしょうか?」

伺ってきた[ヒョーゴォンの魔術士]に、

「ああ。」

俺が頷く。

この男性魔術士によって、俺達は[ヒョーゴォンの王都]あたりへと“テレポーテーション”したのである。


都の南門付近で【絶対服従】を扱い、ヒョーゴォン国も支配した俺は、魔術士Bによる【瞬間転移】で、キートフの東方面へと赴いた。

そこでは、シッガァーとフックイーンの連合軍が、キートフ&ナーランの軍勢と対峙していたのである。

俺は、シッガァーおよびフックイーンを、さっさと“服従”させた。

ここから、フックイーンの女性魔術士によって、ソイツらの国へと“テレポート”したのである。


[フックイーン王都]の北門付近で、スキルを使って国ごと支配した俺は、兵達を解散させて、

「じゃ、俺らは“ガーゴイルの国”に行くから、お前たちは“キートフ城”に戻っていいぞ。」

こう促した。

すると、

いくさが無血で済んだこと、心より感謝いたします。」

「誠に、ありがとうございました。」

魔術士AとBが、お礼したのである。

「それでは、失礼します。」

魔術士Aによって“テレポーテーション”する二人を見送り、[初期形態]になった俺は、

「よし。」
「行くとすっか。」

聖女の【瞬間転移】で、[ガーゴイル王城]に渡ったのであった―。
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