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- 第五期・再びの異世界 -
第256話 盾と杖・後編
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自身の“魔法の杖”を[アイテムBOX]に収納したリッチが、
「それではまず、儂が。」
右手で掴んだ[増魔の杖]を、空に向けて〝ブンッ!〟と振るう。
が、しかし。
…………。
何も起きない。
「ちょ、ちょっと待て。」
「“マジックアイテム”が邪魔しておるのやもしれんゆえ。」
いささか焦って、〝魔法陣を構築する手間を省く指輪〟を外した魔霊が、再び試すも、結果は同じであった。
「何故じゃ??」
首を傾げたアンデッドソーサラーが、
「……、もしや、死人に等しい存在には、アーティファクトは反応せんのか?」
そのように分析する。
「うぅ~む…。」
「“魔人の姉妹”であれば扱えるかもしれんのう。」
リッチに[魔杖]を渡された姉妹が交代で使ってみたものの、どちらも上手くいかなかった。
「んんー、ダメだな。」
「他の“魔法職”は……。」
俺が辺りを見回そうとしたところ、
「フッフッフッフー、ワタシノォ、デバンノヨウデスネェ。」
三年生の【ウィッチ】が進み出たのである。
「お前は、この3人よりもレベルが低いだろ。」
俺が指摘したら、
「ナニゴトモォ、ヤッテミナケレバァ、ワカリマセェン。」
そう返された。
「確かにな。」
俺が納得したことによって、ウィッチが、魔人の妹から[杖]を受け取る。
「デハ…。」
“三年の留学生”が先端を前方に向けたところ、直径2Mの魔法陣が構築された。
「オオー、デキマシタァ。」
本人までもが驚くなか、
「武器や防具のアーティファクトは、何を基準として主君を選んでおるのじゃ??」
魔霊が不思議がる。
これを余所に、
「それじゃあ、盾も確認してみましょう!!」
一年生書記が[神壁の円盾]を掴もうとした。
「おい。」
「お前は既に“大地の槍”を持ってるだろ。」
俺が止めようしたら、
「別に〝1人1個まで〟とは決まっていないじゃないですかぁー!」
「二つ以上を操作できたって罪には問われないでしょうにぃー!!」
やたらとムキになって近づいてきやがったのだ。
「お、おう。」
「だよな。」
勢いに押された俺は、許可するしかなかった。
【大魔王】の面目は丸つぶれである。
上機嫌になった“一年の生徒会書記”が、
「いっきますよぉおーッ!」
「それぇーッ!!」
左手で[盾]を掲げた。
…………。
お約束的に〝シィ――ン〟としている。
いや、もはや、それを超えた〝スゥ――ン〟という表現が適切かもしれない。
「な、ぜ、だ?!」
「“クレリックランサー”である私こそが、この円盾に相応しい筈なのに。」
一年生書記が愕然とした。
声を掛けるのもメンド―なので放置しつつ、
「誰だったら、いけるんだ?」
〝むむぅ~〟と考え込む俺に、
「聖騎士に類似した“聖女”であれば発動できるやもしれんぞ。」
アンデッドソーサラーが提案してきたのである。
「一理あるな。」
「……、姫よ。」
「はい。」
「かしこまりました。」
頷いた聖女が、盾を高く持ち上げた。
すると。
あの[バリア]が出現したのである。
大勢が〝おおー〟と感心するなか、
「やはり、儂の予想通りじゃったのッ。」
「カーッカッカッカッカ――ッ!」
リッチが愉快そうに笑った。
ちなみに、【増魔の杖】は1日10回の使用制限があるらしい。
【神壁の円盾】には、制限が無いそうだ。
盾は〝レベルによって防護できる範囲が異なる〟との事だった。
また、1秒につき60ポイントのMPを消費するらしい。
とにもかくにも、“二つのアーティファクト”の新たなマスター達が決定したのであった―。
「それではまず、儂が。」
右手で掴んだ[増魔の杖]を、空に向けて〝ブンッ!〟と振るう。
が、しかし。
…………。
何も起きない。
「ちょ、ちょっと待て。」
「“マジックアイテム”が邪魔しておるのやもしれんゆえ。」
いささか焦って、〝魔法陣を構築する手間を省く指輪〟を外した魔霊が、再び試すも、結果は同じであった。
「何故じゃ??」
首を傾げたアンデッドソーサラーが、
「……、もしや、死人に等しい存在には、アーティファクトは反応せんのか?」
そのように分析する。
「うぅ~む…。」
「“魔人の姉妹”であれば扱えるかもしれんのう。」
リッチに[魔杖]を渡された姉妹が交代で使ってみたものの、どちらも上手くいかなかった。
「んんー、ダメだな。」
「他の“魔法職”は……。」
俺が辺りを見回そうとしたところ、
「フッフッフッフー、ワタシノォ、デバンノヨウデスネェ。」
三年生の【ウィッチ】が進み出たのである。
「お前は、この3人よりもレベルが低いだろ。」
俺が指摘したら、
「ナニゴトモォ、ヤッテミナケレバァ、ワカリマセェン。」
そう返された。
「確かにな。」
俺が納得したことによって、ウィッチが、魔人の妹から[杖]を受け取る。
「デハ…。」
“三年の留学生”が先端を前方に向けたところ、直径2Mの魔法陣が構築された。
「オオー、デキマシタァ。」
本人までもが驚くなか、
「武器や防具のアーティファクトは、何を基準として主君を選んでおるのじゃ??」
魔霊が不思議がる。
これを余所に、
「それじゃあ、盾も確認してみましょう!!」
一年生書記が[神壁の円盾]を掴もうとした。
「おい。」
「お前は既に“大地の槍”を持ってるだろ。」
俺が止めようしたら、
「別に〝1人1個まで〟とは決まっていないじゃないですかぁー!」
「二つ以上を操作できたって罪には問われないでしょうにぃー!!」
やたらとムキになって近づいてきやがったのだ。
「お、おう。」
「だよな。」
勢いに押された俺は、許可するしかなかった。
【大魔王】の面目は丸つぶれである。
上機嫌になった“一年の生徒会書記”が、
「いっきますよぉおーッ!」
「それぇーッ!!」
左手で[盾]を掲げた。
…………。
お約束的に〝シィ――ン〟としている。
いや、もはや、それを超えた〝スゥ――ン〟という表現が適切かもしれない。
「な、ぜ、だ?!」
「“クレリックランサー”である私こそが、この円盾に相応しい筈なのに。」
一年生書記が愕然とした。
声を掛けるのもメンド―なので放置しつつ、
「誰だったら、いけるんだ?」
〝むむぅ~〟と考え込む俺に、
「聖騎士に類似した“聖女”であれば発動できるやもしれんぞ。」
アンデッドソーサラーが提案してきたのである。
「一理あるな。」
「……、姫よ。」
「はい。」
「かしこまりました。」
頷いた聖女が、盾を高く持ち上げた。
すると。
あの[バリア]が出現したのである。
大勢が〝おおー〟と感心するなか、
「やはり、儂の予想通りじゃったのッ。」
「カーッカッカッカッカ――ッ!」
リッチが愉快そうに笑った。
ちなみに、【増魔の杖】は1日10回の使用制限があるらしい。
【神壁の円盾】には、制限が無いそうだ。
盾は〝レベルによって防護できる範囲が異なる〟との事だった。
また、1秒につき60ポイントのMPを消費するらしい。
とにもかくにも、“二つのアーティファクト”の新たなマスター達が決定したのであった―。
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