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- 第五期・再びの異世界 -
第254話 末路
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「西の連合軍は、俺の“咆哮”からすぐに立ち直ってたが…、異常事態を回復させたのか?」
「そっちの“パラディン”のレベルだと、一度にあの数は不可能なんじゃ??」
俺が訊ねたところ、
「いや、“聖騎士”によるものではない。」
「朕の“呪術”と、兵どもの〝神への想い〟が、あれに勝ったんじゃろう。」
教皇が軽くドヤッてきた。
半オークである女王が、
「何故、私達に対して“洗脳操作”を使わなかったのですか?」
こう質問したら、
「……、発動したが通用しとらんかったようなので、“封止”を試みた訳じゃ。」
「そっちは効いたようじゃがな。」
「ただ、現時点での朕では、どちらの範囲も130万弱なので、限界はあるがの。」
“マンドリルの教皇”が、そのように説明したのである。
ハーフホルスタウロスのロードが、
「〝神々の存在を信じている者たちに呪いが掛かる〟でしたよね…。」
「こちらは全員が“善神”と“邪神”の事を知っているのに、どうして洗脳されなかったのでしょうか??」
首を傾げたところ、
「儂らは、その“邪悪なる神々”と戦う覚悟であって、助けを求めようとは思っておらん。」
「また、“善なる神々”は、もはや、この世界から去っており、〝救いの手〟など皆無であることを分かっておる。」
「じゃからして、通用せんかったのじゃろう。」
「他には……、大魔王の“絶対服従”や“チャーム”によって阻まれたという可能性もあるやもしれんの。」
リッチが見解を示した。
「“大魔王”じゃと?!」
眉をひそめたのは、マンドリルである。
「ん?」
「なんじゃ、情報を得とらんのか??」
「お主らを倒した者こそが、“東の覇王”から進化した“魔族の大王”じゃ!」
魔霊の説明に、
「なんと…。」
教皇を始めとした敵どもが少なからず驚く。
「あの“隕石”も、覇、いや、大魔王によるものなのか?」
“マンドリルの教皇”が新たに伺い、
「ああ、そうだ。」
俺が頷く。
この側で、
「それも伝わっておらんかったという事かの??」
ゴブリン女王が尋ねた。
「うむ。」
「……、なにせ、朕は、キートフと近隣諸国を支配していくのに没頭しておったからのう。」
「東や北の大陸に関しては、ある程度しか探っておらなんだ。」
「今にしてみれば、ぬかったわ。」
「もっとしっかり収集と分析を行っておれば、別の道を選択できたかもしれんというのに…。」
そう語ったマンドリルが、苦い顔つきになって悔やんだ。
「ところで、“洗脳操作”されている人々を元に戻す方法はあるのだろうか?」
サータ王の問いに、
「朕が死ねば、自ずと解除されるじゃろう。」
教皇が返す。
〝ふぅ〟と息を吐いた“マンドリルの教皇”が、俺に視線を送って、
「……、殺すがよい。」
と、促してきたのである。
「…………。」
「じゃあ、遠慮なく、そうさせてもらおう。」
マンドリルの決意を感じ取った俺は、[常闇の剣]を抜いた。
「何か言い残すことは?」
俺が確認したら、
「無い。」
「朕以外の一族は既に絶滅しておるし、〝封印を解く〟という目標を達成したしの。」
このように述べて、瞼を閉じた教皇が、首を斬りやすいように、上半身を前方に倒す。
相手の左横に回り込んで、上段に構えた俺は、
「じゃあ、な。」
そう呟き、剣を振り下ろした―。
「そっちの“パラディン”のレベルだと、一度にあの数は不可能なんじゃ??」
俺が訊ねたところ、
「いや、“聖騎士”によるものではない。」
「朕の“呪術”と、兵どもの〝神への想い〟が、あれに勝ったんじゃろう。」
教皇が軽くドヤッてきた。
半オークである女王が、
「何故、私達に対して“洗脳操作”を使わなかったのですか?」
こう質問したら、
「……、発動したが通用しとらんかったようなので、“封止”を試みた訳じゃ。」
「そっちは効いたようじゃがな。」
「ただ、現時点での朕では、どちらの範囲も130万弱なので、限界はあるがの。」
“マンドリルの教皇”が、そのように説明したのである。
ハーフホルスタウロスのロードが、
「〝神々の存在を信じている者たちに呪いが掛かる〟でしたよね…。」
「こちらは全員が“善神”と“邪神”の事を知っているのに、どうして洗脳されなかったのでしょうか??」
首を傾げたところ、
「儂らは、その“邪悪なる神々”と戦う覚悟であって、助けを求めようとは思っておらん。」
「また、“善なる神々”は、もはや、この世界から去っており、〝救いの手〟など皆無であることを分かっておる。」
「じゃからして、通用せんかったのじゃろう。」
「他には……、大魔王の“絶対服従”や“チャーム”によって阻まれたという可能性もあるやもしれんの。」
リッチが見解を示した。
「“大魔王”じゃと?!」
眉をひそめたのは、マンドリルである。
「ん?」
「なんじゃ、情報を得とらんのか??」
「お主らを倒した者こそが、“東の覇王”から進化した“魔族の大王”じゃ!」
魔霊の説明に、
「なんと…。」
教皇を始めとした敵どもが少なからず驚く。
「あの“隕石”も、覇、いや、大魔王によるものなのか?」
“マンドリルの教皇”が新たに伺い、
「ああ、そうだ。」
俺が頷く。
この側で、
「それも伝わっておらんかったという事かの??」
ゴブリン女王が尋ねた。
「うむ。」
「……、なにせ、朕は、キートフと近隣諸国を支配していくのに没頭しておったからのう。」
「東や北の大陸に関しては、ある程度しか探っておらなんだ。」
「今にしてみれば、ぬかったわ。」
「もっとしっかり収集と分析を行っておれば、別の道を選択できたかもしれんというのに…。」
そう語ったマンドリルが、苦い顔つきになって悔やんだ。
「ところで、“洗脳操作”されている人々を元に戻す方法はあるのだろうか?」
サータ王の問いに、
「朕が死ねば、自ずと解除されるじゃろう。」
教皇が返す。
〝ふぅ〟と息を吐いた“マンドリルの教皇”が、俺に視線を送って、
「……、殺すがよい。」
と、促してきたのである。
「…………。」
「じゃあ、遠慮なく、そうさせてもらおう。」
マンドリルの決意を感じ取った俺は、[常闇の剣]を抜いた。
「何か言い残すことは?」
俺が確認したら、
「無い。」
「朕以外の一族は既に絶滅しておるし、〝封印を解く〟という目標を達成したしの。」
このように述べて、瞼を閉じた教皇が、首を斬りやすいように、上半身を前方に倒す。
相手の左横に回り込んで、上段に構えた俺は、
「じゃあ、な。」
そう呟き、剣を振り下ろした―。
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