異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた

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- 第五期・再びの異世界 -

第241話 装い新たに

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「そういう訳で…。」
「俺は、これから、勇者とかに“伝言”するけど……、すぐにでも出発すっか?」

[トーキーの賢者]に視線を送ったところ、

「いえ、持ち運ぶ代物を揃えたいので、一時間ほど余裕をいただきたいです。」
「ま、忘れた際には“瞬間転移”で取りに戻ればいいだけですが、それも面倒なので。」

そう述べたのである。

「分かった。」
「じゃあ、あとで、“庭園の東側”に集合な。」

このように告げた俺に、クレリックランサーが、

「あ、そういえば。」
「大魔王様の新しい服と甲冑が完成したとかで、お店の方々が訪問していますよ。」
「確か、“第一応接”で待っていらっしゃる筈です。」

と、知らせてくれた。

「おッ、そうか。」
「ありがとな。」

取り敢えず生徒会長たちに連絡した俺は、その部屋へと足を運んだのである…。


俺が入室したら、合計6人の男女が、ソファから立ち上がって、お辞儀した。

このうちの4人は“異世界召喚組”である。

その場には姫殿下が居たので、相手をしてくれていたのだろう。

他に2人のメイドが控えていた。

「それじゃ、まずは……、衣服を見せてもらおうか。」

俺が促したところ、

「かしこまりました。」

白髪交じりで初老の紳士が応じたのである。


用意されていた衝立ついたての裏で着替えた俺が、お披露目したら、誰もが〝おぉー〟と好反応を示した。

この衣類は、洋服と着物が合体したものである。

まずは、白のワイシャツに、黒のネクタイだ。

ネクタイは、結ぶのではなく、銀製で模様が刻まれた“リング”に差し込むタイプのものであった。

ブラックのベストに、付属している四つのボタンもシルバーだ。

羽織と袴も黒く、そですそは動きやすいように少なからず絞ってある。

ちなみに、羽織の後ろにはスリットが入っていた。

俺が[最終形態]となった際に、〝尻尾の邪魔にならないように〟と気配りしてくれたそうだ。

ブラックのブーツはベルト式で左右に二本ずつあり、どれも銀のバックルで止める事になっている。

「なかなか良いな。」
「お前らが考えたのか??」

俺と同じ学校の男女に訊いてみたところ、

「はい。」
「大魔王様が着用なされるのであれば、この世界に無いものが相応しいであろうと、苦心しました。」

女子生徒に続いて、

「“大魔王”と言うからには、やはり“黒”を基調にすべきかと思いましたので、このように作った次第です。」

男子生徒が説明した。

「ふむ。」
「成程な…。」
「次は、防具を確認させてくれ。」

それを受けて、

「了解しました。」

小太りでチョビ髭の中年男性が会釈したのである。


装備を変更した俺は、

「なんか……、“信長”みたいじゃねぇか?」

軽く眉間にシワを寄せた。

これに対して、別の男子が、

「はい!」
「織田信長の“南蛮胴具足なんばんどうぐそく”をイメージしました!!」
「全て“アダマンタイト”であります!」

嬉々として答える。

それらもブラックだが、光沢があった。

兜には、俺の角に当たらないように、みぞが存在している。

えり付きマントは真紅しんく色で、ふちに沿って金糸が刺繍されていた。

また、このマントにもスリットが入れられている。

「ん~。」
「悪かぁないんだが…、“最終形態”になったときは、ドラゴンの硬い鱗で体の殆どを覆われるから、腕や脚の部分は要らないような……。」
「あと、マントも着けなくていいんじゃねぇか??」

疑問を呈した俺に、

「大魔王様。」
「以前も申し上げましたが…。」
オシャレ・・・・なので、必須です!!」

この件に携わった女子が、いささか詰め寄ってきた。

「お、おう。」
「だよなぁ。」
「……、まぁ、あれだ。」
「衣服も甲冑も素晴らしい出来栄えなので、文句はない。」
「それぞれ、大儀であった!」

俺が褒めたら、

「ありがたき幸せ!!」

6人が満足そうに頭を下げたのである…。


定刻となったので、俺は庭に赴いた。

顔ぶれは、聖女/アンデッドソーサラー/賢者/勇者達およそ400名/魔人姉妹/魔法剣士/科学開発班/相談部/東西のドワーフ職人集団である。

[トーキーの三将軍]は、兵士たちの訓練があるため、城に残ることになった。

なお、現在の俺は、“和洋折衷の服装”となっている。

「皆さん揃っておりますわよ、大魔王様。」

姫に声を掛けられた俺は、

「よし、行くとするか。」
「山の頂上に。」

頷きつつ返す。

「それでは、私が。」

立候補した生徒会長によって、 “テレポーテーション”する俺たちだった―。
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