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- 第五期・再びの異世界 -

第232話 守勢・後編

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“ガーゴイルの魔術師”による【瞬間転移】で、俺達も国境へとテレポーテーションした。

東方領土に侵入していた[ダークエルフ軍]も、続々と集結してきている。

“西の大陸”における[小人族の長]が、白くて長い髭を、右手で撫でながら、

「ふぅ~む。」
「事前に聞いてはおったが、“絶対服従”というスキルは強力じゃのぉう。」
「敵の全てが、大魔王殿の眷属になるとは…。」

驚きとも感心とも取れる表情になった。

「いや、全員を従えるのは無理だ。」
「俺よりレベルが高い連中には通用しねぇからな。」

そのように説明したところ、

「にしても、厄介じゃのう。」
「国の一つぐらい、あっという間に制圧できるじゃろうからな。」
「迂闊には敵に回したくないのぉ。」

と、[西陸さいりくのドワーフ国主]が警戒したのである。

「いや、お前らん所は、トーキーの友好国になったんだから、支配はしねぇよ。」
「約束どおり、俺たちの来訪を黙ってくれてさえいればな。」

こう述べた俺に、相手が〝うむ〟と頷く。

その近くでは、[ガーゴイルの王]が眉間にシワを寄せていた。

「どうした?」

俺が尋ねてみたら、

「いや、何でもない。」
「少し考えごとをしておっただけだ。」
「それより……、ダークエルフの増援軍を倒す案はあるのか??」

話しをはぐらかされたのである。

「ん?」
「あー、まぁ、殆どは“服従”させるのが可能だろうけど…、ロードは俺より上のレベルだから、通用しねぇだろうな。」
「そうなると、あっちの王とは直に闘うしかなくなる訳だが……。」

俺は、少し離れた場所に控えている“ダークエルフの魔女ウィッチ&西方領主”に、

「ロード以外にも手強い奴はいんのか??」
「こっちに向かってる軍勢の中に。」

このように質問してみた。

それに対して、

「四将軍の残りの3名も来る予定になっております。 大魔王様。」

西方領主が答えつつ会釈したのである。

「そいつらのレベルは?」

俺が新たに訊ねたところ、

「NO.1は132、NO.3が127、NO.4は124、ですよ。 “並外れし御方おかた”。」

NO.2である[ダークエルフのウィッチ]が教えてくれた。

ちなみに、さっきの戦いで、この魔女を[常闇とこやみつるぎ]で気絶させたことによって、俺は“LV.127”になっている。

「従える事が出来んのは四番手だけか。」

やや厳しい顔つきになった俺に、

「案ずるな、大魔王よ。」
「我らもいるのだから、かつての“魔王軍との戦い”の時のように、気兼ねなく頼るがよい。」

[鳥の王]が背後から声を掛けてきた。

振り返った俺は、

「だな。」
「いざとなったら力を貸してもらうぜ。」

そう告げたのである…。


あれから三日後。

百五十万のダークエルフ軍と、俺達は、500Mほど離れた位置で睨み合っていた。

俺は、味方の陣に緊張が走っていくのを肌で感じつつ、

「お前の他に“封止ふうし”を使えるヤツは??」

右斜め後ろの[ダークエルフ魔女]に確認する。

身共みどもの国で扱えるのは、私だけです。」
「“魔法戦士”であるロードですら収得していません。」

この説明を受け、

「よし!」
「じゃあ、問題ねぇ!!」

翼を出現させて、10Mくらい浮上した俺は、そのまま前へと進み、国境を越えていくのであった―。
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