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- 第五期・再びの異世界 -
第203話 逃げるに如かず
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翌日。
窓際の一番後ろの席である俺が、三限目の休み時間に、外を〝ぼーっ〟と眺めていたところ、
「ちょっといいかしら?」
と、声を掛けてきた者がいたのである。
「ん??」
振り向いてみたら、生徒会長&書記二人組だった。
「…、何か?」
いささか警戒する俺を、
「聞きたい事があるの。」
「場所を変えましょう。」
会長が促す。
「……。」
「分かりました。」
椅子から立った俺は、彼女たちの後ろに並んで、教室を出ていく。
室内は、〝ざわ・・ ざわ・・ ざわ・・・ ざわ・・・〟と、[カ○ジ]みたいになっていた。
モブキャラ的な男子が、才色兼備かつ校内一の人気者であらせられる生徒会長に呼び出されたとあっては、ザワついて当然である…。
俺は、生徒会の役員らに連れられて、屋上へと続く階段の踊り場に移動した。
「で??」
「なんの用すか?」
伺う俺に、
「ん~。」
「どう説明したものかしら……。」
「おかしな話しになるけど、私達3人とも同じ記憶を持っているみたいなの。」
「ただ、殆ど忘れてしまっているみたいで、詳細は不明なのよ。」
会長が述べていく。
「でね。」
「単刀直入になっちゃうんだけど…。」
「あなた、何か知っているんじゃない??」
生徒会長の質問に対して、
「なんで、俺なんすか?」
聞き返してみたところ、
「なんと言うか、その……、私たちと一緒に、こことは別の世界で活動していなかった??」
「昨日、廊下であなたと出くわして以来、三人揃って、そういう気がするのよ。」
「それまで会ったことない筈なのに…、これって変でしょ?」
との事だった。
「はぁ。」
俺は惚けながら、思案する。
異世界に関してや、召喚された理由などを、教えても構わないのだが……、なにせ、大勢が、あちらでの記憶を完全に失っているので、〝わずかでも覚えている人と、そうでない人達の差は、なんなのか??〟と問い詰められてしまった場合、解説しきれないので。
考え込む俺に、
「やっぱり、何かあるのね?」
会長が迫ってくる。
考えがまとまらず困ったところに、〝キーン コーン〟とチャイムが鳴りだした。
(助かった!)
安堵した俺は、
「授業、始まるから、これで失礼します。」
「皆も、早く、教室に戻ったがいいっすよ。」
そそくさと退散した。
「あ!! 待ちなさい!」
止めようとする生徒会長を無視して。
あれで落ち着けば良かったのだが…。
次の日も、また次の日も、学校で、三人組に追いかけ回されてしまったのである。
これを目撃した副会長が、勘違いによって逆恨みしたことを、俺はまだ知らない―。
窓際の一番後ろの席である俺が、三限目の休み時間に、外を〝ぼーっ〟と眺めていたところ、
「ちょっといいかしら?」
と、声を掛けてきた者がいたのである。
「ん??」
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「…、何か?」
いささか警戒する俺を、
「聞きたい事があるの。」
「場所を変えましょう。」
会長が促す。
「……。」
「分かりました。」
椅子から立った俺は、彼女たちの後ろに並んで、教室を出ていく。
室内は、〝ざわ・・ ざわ・・ ざわ・・・ ざわ・・・〟と、[カ○ジ]みたいになっていた。
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俺は、生徒会の役員らに連れられて、屋上へと続く階段の踊り場に移動した。
「で??」
「なんの用すか?」
伺う俺に、
「ん~。」
「どう説明したものかしら……。」
「おかしな話しになるけど、私達3人とも同じ記憶を持っているみたいなの。」
「ただ、殆ど忘れてしまっているみたいで、詳細は不明なのよ。」
会長が述べていく。
「でね。」
「単刀直入になっちゃうんだけど…。」
「あなた、何か知っているんじゃない??」
生徒会長の質問に対して、
「なんで、俺なんすか?」
聞き返してみたところ、
「なんと言うか、その……、私たちと一緒に、こことは別の世界で活動していなかった??」
「昨日、廊下であなたと出くわして以来、三人揃って、そういう気がするのよ。」
「それまで会ったことない筈なのに…、これって変でしょ?」
との事だった。
「はぁ。」
俺は惚けながら、思案する。
異世界に関してや、召喚された理由などを、教えても構わないのだが……、なにせ、大勢が、あちらでの記憶を完全に失っているので、〝わずかでも覚えている人と、そうでない人達の差は、なんなのか??〟と問い詰められてしまった場合、解説しきれないので。
考え込む俺に、
「やっぱり、何かあるのね?」
会長が迫ってくる。
考えがまとまらず困ったところに、〝キーン コーン〟とチャイムが鳴りだした。
(助かった!)
安堵した俺は、
「授業、始まるから、これで失礼します。」
「皆も、早く、教室に戻ったがいいっすよ。」
そそくさと退散した。
「あ!! 待ちなさい!」
止めようとする生徒会長を無視して。
あれで落ち着けば良かったのだが…。
次の日も、また次の日も、学校で、三人組に追いかけ回されてしまったのである。
これを目撃した副会長が、勘違いによって逆恨みしたことを、俺はまだ知らない―。
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