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- 第五期・再びの異世界 -
第201話 夢か現か
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朝礼台に上がった理事長が、連絡事項を申し送りしていく。
俺は、それとなく周りを見てみたが、騒いでいる者は一人としていない。
異世界から帰ってきたとなれば、かなりザワつく筈だが…、まるで何もなかったかのようだ。
俺の姿も“普通の人間”に戻っていた……。
教室に移動してからも、皆は通常運転だった。
黒板には、俺達が召喚された月日と曜日が書かれている。
おそらく、あの世界に転移させられた1~2秒後の時間帯に帰還したのだろう。
ま、俺には、そこら辺の難しい事は分からないので、これに関しては考えるのを止めておいた。
にしても、どこか後味が悪い気がしてならない。
まさか、俺の妄想や夢だったというオチでもないだろうし…、むこうは、あれから、どうなったんだろう??
基本的に“ぼっち”である俺は、誰にも聞けずにいる。
この学校は、小・中・高・大学とエスカレーター式なので、在校生の7割ほどが小学生からのツルミらしい。
なかには、代り映えしない面子に飽きて、他校の入試に合格し、別の学校へと離れていく生徒もいるそうだ。
逆に、他校から試験を受けて入学してくる連中もいる。
そういった面子は独りになりがちなのだ。
俺のように。
まぁ、まだ、この高校に通い出して日が浅いので、仕方ないが……。
いずれにしろ、集中力が散漫になった俺は、いつにもまして、授業中に〝ぼんやり〟していた。
昼休み――。
生徒会室にて、会長と二人の書記が、持参した弁当を食べながら雑談している。
そこに入室してきた副会長の男子が、
「今度の休み、どっか遊びに行こうぜ。」
生徒会長に声を掛けた。
「え?」
「なんで??」
と返す会長に、
「は?!」
「だって、俺たち、付き合ってんじゃん。」
副会長が、不思議がる。
「別れたわよね?」
生徒会長が確認したところ、
「なに言ってんだよ!?」
副会長が驚いた。
更には、
「あー、…、そうでしたよね。」
二年生書記が頷き、
「確かに、破局していたかと。」
一年の生徒会書記も同意したことによって、
「いやいやいやいや、なにを……。」
「お前ら、揃って、俺をからかってんのか??」
副会長が混乱していく。
「そんな事しないわよ。」
「ただ、私達は、とっくに、あの御方に全てを捧げているんだから…、って……、誰だっけ?」
会長がフリーズし、
「んんー??」
二年の書記が天井を見上げる。
「私たち…、なにか大事なこと、忘れてません?」
一年生書記が伺い、
「そうなのよねぇ。」
「私も、朝礼あたりから、何かが引っかかっているんだけど……、思い出せなくって。」
生徒会長が困り顔になった。
この流れで、三人が、ほぼ同時に〝ふぅ~む??〟と首を傾げたのである。
副会長は、状況を理解できず、ただただ戸惑っていた…。
下校となり、靴箱(下駄箱)に向かった俺は、そこで“ボクっ娘”に遭遇したのである。
彼女の周囲には、4~5人の女子生徒が居た。
多分、同じクラスの集まりなのだろう。
「ん?」
俺に気付いたボクっ娘が、
「ああー!」
反応を示したものの、
「……、ごめん、どこかで会ったことあるっけ??」
「ボクたちって知り合いだったかな?」
疑問が生じていた。
今日の学校生活で確信はしていたが、やはり、かの異世界を100%覚えているのは、俺だけのようだ。
「いや…。」
「きっと、人違いだろ。」
惚けた俺に、
「……、そっか??」
釈然としない様子ながらも、
「なんか、悪かったね。」
「それじゃ、さよなら。」
笑みを浮かべて、仲良しグループと去っていく“ボクっ娘”であった―。
俺は、それとなく周りを見てみたが、騒いでいる者は一人としていない。
異世界から帰ってきたとなれば、かなりザワつく筈だが…、まるで何もなかったかのようだ。
俺の姿も“普通の人間”に戻っていた……。
教室に移動してからも、皆は通常運転だった。
黒板には、俺達が召喚された月日と曜日が書かれている。
おそらく、あの世界に転移させられた1~2秒後の時間帯に帰還したのだろう。
ま、俺には、そこら辺の難しい事は分からないので、これに関しては考えるのを止めておいた。
にしても、どこか後味が悪い気がしてならない。
まさか、俺の妄想や夢だったというオチでもないだろうし…、むこうは、あれから、どうなったんだろう??
基本的に“ぼっち”である俺は、誰にも聞けずにいる。
この学校は、小・中・高・大学とエスカレーター式なので、在校生の7割ほどが小学生からのツルミらしい。
なかには、代り映えしない面子に飽きて、他校の入試に合格し、別の学校へと離れていく生徒もいるそうだ。
逆に、他校から試験を受けて入学してくる連中もいる。
そういった面子は独りになりがちなのだ。
俺のように。
まぁ、まだ、この高校に通い出して日が浅いので、仕方ないが……。
いずれにしろ、集中力が散漫になった俺は、いつにもまして、授業中に〝ぼんやり〟していた。
昼休み――。
生徒会室にて、会長と二人の書記が、持参した弁当を食べながら雑談している。
そこに入室してきた副会長の男子が、
「今度の休み、どっか遊びに行こうぜ。」
生徒会長に声を掛けた。
「え?」
「なんで??」
と返す会長に、
「は?!」
「だって、俺たち、付き合ってんじゃん。」
副会長が、不思議がる。
「別れたわよね?」
生徒会長が確認したところ、
「なに言ってんだよ!?」
副会長が驚いた。
更には、
「あー、…、そうでしたよね。」
二年生書記が頷き、
「確かに、破局していたかと。」
一年の生徒会書記も同意したことによって、
「いやいやいやいや、なにを……。」
「お前ら、揃って、俺をからかってんのか??」
副会長が混乱していく。
「そんな事しないわよ。」
「ただ、私達は、とっくに、あの御方に全てを捧げているんだから…、って……、誰だっけ?」
会長がフリーズし、
「んんー??」
二年の書記が天井を見上げる。
「私たち…、なにか大事なこと、忘れてません?」
一年生書記が伺い、
「そうなのよねぇ。」
「私も、朝礼あたりから、何かが引っかかっているんだけど……、思い出せなくって。」
生徒会長が困り顔になった。
この流れで、三人が、ほぼ同時に〝ふぅ~む??〟と首を傾げたのである。
副会長は、状況を理解できず、ただただ戸惑っていた…。
下校となり、靴箱(下駄箱)に向かった俺は、そこで“ボクっ娘”に遭遇したのである。
彼女の周囲には、4~5人の女子生徒が居た。
多分、同じクラスの集まりなのだろう。
「ん?」
俺に気付いたボクっ娘が、
「ああー!」
反応を示したものの、
「……、ごめん、どこかで会ったことあるっけ??」
「ボクたちって知り合いだったかな?」
疑問が生じていた。
今日の学校生活で確信はしていたが、やはり、かの異世界を100%覚えているのは、俺だけのようだ。
「いや…。」
「きっと、人違いだろ。」
惚けた俺に、
「……、そっか??」
釈然としない様子ながらも、
「なんか、悪かったね。」
「それじゃ、さよなら。」
笑みを浮かべて、仲良しグループと去っていく“ボクっ娘”であった―。
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