上 下
170 / 350
- 第四期・大陸を越えて -

第170話 難攻なれど

しおりを挟む
(面倒な“アーティファクト”だな。)

渋い顔つきになる俺に対して、相手が[常闇とこやみつるぎ]を向けてきた。

その所為で、俺の頭上に、あの“黒い球体”が出現したのである。

さっきよりは規模の小さな直径1M程だったが、コイツの重力操作から逃れるべく、飛び去ろうとした俺が、抵抗むなしく下へと押されていく。

視線の先には、スケルトン骸骨どもが待ち構えている。

そいつらの数千体を、

ズドォオオオンッ!!!!

と爆破したのは、弓士きゅうしが[爆裂の弭槍はずやり]でった“矢”によるものだ。

[暗黒騎士]も、くらったらしく、球体が消えて、俺は自由になったのである。

だが、仰向けで倒れていた“ダークナイト”が、〝ムクリ〟と起きた。

奴が装着している[黄泉よみの甲冑]もまた“アーティファクト”のため、無傷なのであろう。

立ち上がった騎士が、[ドラ○ン○ール]のキャラ達が気を溜めるようなポーズになったところ、100前後の死霊が吸収されたのである。

「なんだ、ありゃ??」

状況を理解できず、俺が首を傾げたら、

『おそらくですが…、れいを養分にしているのでしょう。』

と、[魔人の女王]が【念話】で見解を示した。

『そういう能力が有るという事か?』
『あの甲冑には……。』

疑問を呈した俺に、

『いえ、そのような伝承はございませんので、敵のスキルかもしれません。』

[馬の女王]が答えたのである。

(変わったスキルだな。)

俺が不思議がっていたところ、[暗黒騎士]が味方の軍勢の方に剣先を突き出した。

これによって、再び、直径10Mもの“黒い球体”が現れ、トーキー部隊を中心に連合軍が苦しめられる。

「てめぇッ!!」

俺は、左のてのひらで直径2Mの魔法陣を構築した。

その魔法陣と最大幅が同じで、長さは4Mの、“歪なクリスタル形の氷”を発射する。

ズドンッ!!

腹部に直撃した“ダークナイト”が、後方へと弾かれ、球体が消えた。

またしても平然と立ってくる騎士に、

(マジかよ…。)

俺は唖然とする。

[馬の女王]が、

『勝つためには、“黄泉の甲冑”を纏っている者をじかに攻撃するしかないでしょうね。』
『鎧や兜を無理矢理に剥がしてでも。』

と、述べ、

『しかし、“常闇の剣”の所為で、あ奴には迂闊に近づけぬ。』

[狼の王]が忌々しそうにした。

〝打つ手なしか?!〟と誰もが頭を悩ますなか、

『私に、お任せを!』

【クレリックランサー】が、暗黒騎士の足元に魔法陣を展開して、白銀かつ半透明で幅のある鎖を4つ出現させたのでる。

これら・・・がダークナイトの両腕&両脚に一本ずつ巻き付いて、〝ガシャンッ!〟と拘束したのだ。

『主様! 今のうちに!!』

一年生書記に促されて、

『おう!』
『でかした!!』

と返答し、アイテムBOXに[大地の槍]を収納した俺は、“黒ずくめの騎士”めがけて、下降していった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

LAWS

渋谷かな
ファンタジー
 1話1000字の誰でも簡単に読めるものです。 「ポケモンG〇って、位置情報ゲームっていう位置づけなのか。ふむふむ。第7期のテーマは「地球は核の炎に包まれた。」からの、「地球はAIに支配された。」自律型致死兵器システムのLAWSの暴走である。日本2020年。東京オリンピックの開会式は、AI搭載無人ドローン。マシンガン装備タイプの襲撃により、真っ赤に染まった。犯人は、東京オリンピック開催で、東京都を本当は赤字にした税金の無駄遣いと、外国人を受け入れたため、就職できない日本の優秀な若者の科学者たちだった。なかなか筋の通ったストーリー展開だ。」  自律型致死兵器システムのLAWS。AI搭載無人ドローン。マシンガン装備タイプ。こんな特集をして一般庶民に教えてくれるのがNH〇だ。

せっかく異世界に転生できたんだから、急いで生きる必要なんてないよね?ー明日も俺はスローなライフを謳歌したいー

ジミー凌我
ファンタジー
 日夜仕事に追われ続ける日常を毎日毎日繰り返していた。  仕事仕事の毎日、明日も明後日も仕事を積みたくないと生き急いでいた。  そんな俺はいつしか過労で倒れてしまった。  そのまま死んだ俺は、異世界に転生していた。  忙しすぎてうわさでしか聞いたことがないが、これが異世界転生というものなのだろう。  生き急いで死んでしまったんだ。俺はこの世界ではゆっくりと生きていきたいと思った。  ただ、この世界にはモンスターも魔王もいるみたい。 この世界で最初に出会ったクレハという女の子は、細かいことは気にしない自由奔放な可愛らしい子で、俺を助けてくれた。 冒険者としてゆったり生計を立てていこうと思ったら、以外と儲かる仕事だったからこれは楽な人生が始まると思った矢先。 なぜか2日目にして魔王軍の侵略に遭遇し…。

魔力即時回復スキルでダンジョン攻略無双 〜規格外のスキルで爆速レベルアップ→超一流探索者も引くほど最強に〜

Josse.T
ファンタジー
悲運な貯金の溶かし方をした主人公・古谷浩二が100万円を溶かした代わりに手に入れたのは、ダンジョン内で魔力が無制限に即時回復するスキルだった。 せっかくなので、浩二はそれまで敬遠していたダンジョン探索で一攫千金を狙うことに。 その過程で浩二は、規格外のスキルで、世界トップレベルと言われていた探索者たちの度肝を抜くほど強くなっていく。

はぐれ聖女 ジルの冒険 ~その聖女、意外と純情派につき~

タツダノキイチ
ファンタジー
少し変わった聖女もの。 冒険者兼聖女の主人公ジルが冒険と出会いを通し、成長して行く物語。 聖魔法の素養がありつつも教会に属さず、幼いころからの夢であった冒険者として生きていくことを選んだ主人公、ジル。 しかし、教会から懇願され、時折聖女として各地の地脈の浄化という仕事も請け負うことに。 そこから教会に属さない聖女=「はぐれ聖女」兼冒険者としての日々が始まる。 最初はいやいやだったものの、ある日をきっかけに聖女としての責任を自覚するように。 冒険者や他の様々な人達との出会いを通して、自分の未熟さを自覚し、しかし、人生を前向きに生きて行こうとする若い女性の物語。 ちょっと「吞兵衛」な女子、主人公ジルが、冒険者として、はぐれ聖女として、そして人として成長していく過程をお楽しみいただければ幸いです。 カクヨム・小説家になろうにも掲載 先行掲載はカクヨム

追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~

一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】 悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……? 小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位! ※本作品は他サイトでも連載中です。

あいばな開花 ~異世界で愛の花を咲かせます~

だいなも
ファンタジー
平凡な会社員だった男が、ある日眠りにつくと突然異世界に転生する。 そこは剣と魔法の世界だった。 この世界では稀に神々の祝福を受ける者がいる。 規格外の力を持つ神々の祝福。 剣も魔法も秀でた才が無かった主人公、ナオフリート(ナオ)に与えられた祝福は「開花」の力だった。 これは、なぜこの世界に転生したのか、新しい世界で何をすればいいのか、理由も目的もわからずに、ループを繰り返しながら自由に生きていく男の話。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

処理中です...