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- 第四期・大陸を越えて -
第152話 反連合軍・其之壱
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異世界召喚組とバラーキ軍の約50万を率いるは勇者である。
二年の生徒会書記を筆頭に斥候へ出ていた【アサシン】らが帰って来たようだ。
作戦本部にしているテント(ゲル)にて、
「どうでした?」
と、生徒会長が尋ねた。
「およそ900万の敵兵が進軍中です。」
「三時間後には、姿が見えるでしょう。」
二年生書記の報告に、
「相まみえるのは午後1時頃でしょうね。」
「…皆さんには、早めに食事を摂ってもらいましょう。」
と勇者が述べる。
「では…。」
「おい。」
近くに居た兵に指示したのはバラーキの第一王子だ。
命令を受けた兵士が、それを伝えに外へと出て行った。
今や【クレリックランサー】の一年生書記が、
「それで…、どうします?」
「“統べる者”で追い払っても、暫く経てば戻ってくるでしょうしね。」
と、口を開く。
「全員ぶっ飛ばせばいいんじゃないッスか?」
【武術士】の意見である。
「いえ、トーキーから出発する前のことですが…、主様が各責任者に〝皆殺しにはせず退却させよ〟と仰せになられました。」
「また、〝その際に敵味方関係なく死者が出たとしても宝玉で蘇らせることが可能だから存分に暴れろ〟〝くれぐれも深追いはするな〟〝相手の戦意を喪失させるだけで良い〟とも…。」
「最終的には、主様が反連合の国々を“服従”していかれるそうです。」
勇者の説明に、
「ソレデハァ、オモイッキリ、イキマショォウ。」
三年生の魔女が闘志を燃やし、【弓士】が静かに頷いた。
平原にて、両軍が睨み合っている。
互いの距離は1㎞くらいであろう。
勇者一行&バラーキ側は“魚鱗の陣”を布いている。
そういのに詳しい男子生徒による案を、生徒会長が採用したらしい。
先頭集団は勇者たちである。
基本的には、こちらから仕掛けず、相手が突撃してくるのを待っているようだ。
数的に不利だから。
しかし、生徒会長らは、〝自力では勝っている〟との確信を持っていた。
それもその筈。
彼女たちは、“トーキーの魔人”と共に幾つかの国やダンジョンでのバトルを経て、そんじょそこらの連中よりもレベルが高くなっているのと共に、戦い慣れているからだ。
一方のバーチ王国は、千年に亘る歴史のなかで、何度かの内戦はあったものの、殆ど平和であった。
この世界に呼ばれて以来、今日まで、格上との修羅場をくぐり抜けてきた勇者らが、負ける訳がないのである。
多分、きっと…。
勝算は、もう一つあった。
それは、バラーキにもバーチにも【加護】を収得している“クレリック”や“ビショップ”が存在していない事である。
あとは油断さえしなければ敗北など有り得ないのだった―。
二年の生徒会書記を筆頭に斥候へ出ていた【アサシン】らが帰って来たようだ。
作戦本部にしているテント(ゲル)にて、
「どうでした?」
と、生徒会長が尋ねた。
「およそ900万の敵兵が進軍中です。」
「三時間後には、姿が見えるでしょう。」
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「…皆さんには、早めに食事を摂ってもらいましょう。」
と勇者が述べる。
「では…。」
「おい。」
近くに居た兵に指示したのはバラーキの第一王子だ。
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と、口を開く。
「全員ぶっ飛ばせばいいんじゃないッスか?」
【武術士】の意見である。
「いえ、トーキーから出発する前のことですが…、主様が各責任者に〝皆殺しにはせず退却させよ〟と仰せになられました。」
「また、〝その際に敵味方関係なく死者が出たとしても宝玉で蘇らせることが可能だから存分に暴れろ〟〝くれぐれも深追いはするな〟〝相手の戦意を喪失させるだけで良い〟とも…。」
「最終的には、主様が反連合の国々を“服従”していかれるそうです。」
勇者の説明に、
「ソレデハァ、オモイッキリ、イキマショォウ。」
三年生の魔女が闘志を燃やし、【弓士】が静かに頷いた。
平原にて、両軍が睨み合っている。
互いの距離は1㎞くらいであろう。
勇者一行&バラーキ側は“魚鱗の陣”を布いている。
そういのに詳しい男子生徒による案を、生徒会長が採用したらしい。
先頭集団は勇者たちである。
基本的には、こちらから仕掛けず、相手が突撃してくるのを待っているようだ。
数的に不利だから。
しかし、生徒会長らは、〝自力では勝っている〟との確信を持っていた。
それもその筈。
彼女たちは、“トーキーの魔人”と共に幾つかの国やダンジョンでのバトルを経て、そんじょそこらの連中よりもレベルが高くなっているのと共に、戦い慣れているからだ。
一方のバーチ王国は、千年に亘る歴史のなかで、何度かの内戦はあったものの、殆ど平和であった。
この世界に呼ばれて以来、今日まで、格上との修羅場をくぐり抜けてきた勇者らが、負ける訳がないのである。
多分、きっと…。
勝算は、もう一つあった。
それは、バラーキにもバーチにも【加護】を収得している“クレリック”や“ビショップ”が存在していない事である。
あとは油断さえしなければ敗北など有り得ないのだった―。
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