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- 第三期・この世界の歴史と未来 -
第98話 オーク国の状況
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どこの国でも、昔から、“純血”による“混血”の疎外迫害が起きているらしい。
その度合いは種族によって異なるようだが、豚どもの国は割と厳しめとの事だ。
【魔術師】のハーフオークによれば、先王は、それを変えようと試みたものの、あまり上手くいかなったのだと…。
“前オークロード”は、「純血が混血を淘汰していけば国力が著しく低下する」と危惧して、ハーフオークの血筋である女性を、それぞれ別の家庭から嫁に招いた。
それが、第三夫人と第四夫人だそうだ。
これで混血の社会的地位を上げようと考えたみたいだが、半獣に対して差別的な連中の反感を買ってしまい、彼女らへの苛めが激化したらしい。
(城で生活させ続けると殺されてしまうかもしれん)と思った先王は、第三夫人を北方領主に、第四夫人を西方領主に、就任させて、遠ざけた。
その方が安全だから…。
時が経ち、第三夫人と第四夫人が病死したそうだ。
第三夫人は5年前に、第四夫人は3年前に。
「誰かに毒殺されたのでは?」との噂もあったそうだが、真相は藪の中になっている。
余談だが、“藪の中”と“闇の中”の説があり、藪の中が正解とのことだ。
なんでも、芥川龍之介の小説からきており、国語辞典にも載っているらしい。
一方で、闇の中もあながち間違いではないそうだ。
ま、勇者こと、頭の良い生徒会長の受け売りだが…。
さて、話しを戻そう。
およそ一年前、先王が寿命で崩御し、第一夫人の長男が“オークロード”を引き継いだ。
その際に前ロード時代の四将軍らが隠居し、新王の弟を筆頭としてジェネラルを身内で固めたらしい。
かつてのスライムロード(メタル系)に倒されたオークジェネラル達は、第二夫人の息女と子息だそうだ。
ちなみに、第一・第二・第五の夫人たちは純血の家柄とのことである。
俺たちとバトルになっていたのは、第三夫人の娘である現北方領主で、男性の方は、彼女の従姉弟であり、子供の頃から従者として育てられ、[領主補佐役]に就いたとのことだ。
そして、軍勢を率いていたハイオーク、つまり、俺が“炎の柱”で負かし、ミノタウロス元帥らの胃袋にINされてしまったヤツは、第五夫人の息子であり、四将軍のメンバーだった。
結局、このジェネラルたちは、第一夫人の次男しか生き残っていない。
そもそも、新たなオークロードは、それなりの役職を得ている混血を抹殺しようと考えていたものの、同じ母を持つ弟による「駒として使っては?」との意見を採用し、命を奪わずにいたらしい。
結果、この国において、ハーフ種の魔物らが戦地に送り込まれる頻度が増えたのだそうだ。
それだと混血たちの不満が募り反乱に繋がりかねないので、純血に指揮権を与え、押さえ付けていたとの事である。
これに我慢の限界を迎えた半獣たちが、水面下で秘かに結託して、先王と第三夫人の娘である北方領主をロードに奉じようと画策していたらしい。
彼女らは、折を見て離反し、この軍勢の総大将だった豚の獣人を倒すつもりだったものの、俺たちに敗れ、捕獲されてしまった次第である…。
経緯を聞き終えた俺は、
「少し考えさせてくれ。」
と告げ、どう対処すのが最善か思案するのであった―。
その度合いは種族によって異なるようだが、豚どもの国は割と厳しめとの事だ。
【魔術師】のハーフオークによれば、先王は、それを変えようと試みたものの、あまり上手くいかなったのだと…。
“前オークロード”は、「純血が混血を淘汰していけば国力が著しく低下する」と危惧して、ハーフオークの血筋である女性を、それぞれ別の家庭から嫁に招いた。
それが、第三夫人と第四夫人だそうだ。
これで混血の社会的地位を上げようと考えたみたいだが、半獣に対して差別的な連中の反感を買ってしまい、彼女らへの苛めが激化したらしい。
(城で生活させ続けると殺されてしまうかもしれん)と思った先王は、第三夫人を北方領主に、第四夫人を西方領主に、就任させて、遠ざけた。
その方が安全だから…。
時が経ち、第三夫人と第四夫人が病死したそうだ。
第三夫人は5年前に、第四夫人は3年前に。
「誰かに毒殺されたのでは?」との噂もあったそうだが、真相は藪の中になっている。
余談だが、“藪の中”と“闇の中”の説があり、藪の中が正解とのことだ。
なんでも、芥川龍之介の小説からきており、国語辞典にも載っているらしい。
一方で、闇の中もあながち間違いではないそうだ。
ま、勇者こと、頭の良い生徒会長の受け売りだが…。
さて、話しを戻そう。
およそ一年前、先王が寿命で崩御し、第一夫人の長男が“オークロード”を引き継いだ。
その際に前ロード時代の四将軍らが隠居し、新王の弟を筆頭としてジェネラルを身内で固めたらしい。
かつてのスライムロード(メタル系)に倒されたオークジェネラル達は、第二夫人の息女と子息だそうだ。
ちなみに、第一・第二・第五の夫人たちは純血の家柄とのことである。
俺たちとバトルになっていたのは、第三夫人の娘である現北方領主で、男性の方は、彼女の従姉弟であり、子供の頃から従者として育てられ、[領主補佐役]に就いたとのことだ。
そして、軍勢を率いていたハイオーク、つまり、俺が“炎の柱”で負かし、ミノタウロス元帥らの胃袋にINされてしまったヤツは、第五夫人の息子であり、四将軍のメンバーだった。
結局、このジェネラルたちは、第一夫人の次男しか生き残っていない。
そもそも、新たなオークロードは、それなりの役職を得ている混血を抹殺しようと考えていたものの、同じ母を持つ弟による「駒として使っては?」との意見を採用し、命を奪わずにいたらしい。
結果、この国において、ハーフ種の魔物らが戦地に送り込まれる頻度が増えたのだそうだ。
それだと混血たちの不満が募り反乱に繋がりかねないので、純血に指揮権を与え、押さえ付けていたとの事である。
これに我慢の限界を迎えた半獣たちが、水面下で秘かに結託して、先王と第三夫人の娘である北方領主をロードに奉じようと画策していたらしい。
彼女らは、折を見て離反し、この軍勢の総大将だった豚の獣人を倒すつもりだったものの、俺たちに敗れ、捕獲されてしまった次第である…。
経緯を聞き終えた俺は、
「少し考えさせてくれ。」
と告げ、どう対処すのが最善か思案するのであった―。
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