94 / 350
- 第三期・この世界の歴史と未来 -
第94話 オーク軍・其之肆
しおりを挟む
俺の右隣に〝スッ〟と並んだ森人族の長が、金のナックルガードが付属している柄(通称:スウェプトヒルト)を両手で握り、自身の顔の左側で、細身の剣を構えたようだ。
そう、彼女は左利きなのである。
そんな国主の、レイピアの刃部分から、
バチッ!バチバチッ!バチィッ!
と、電流が発せられていく。
「はッ!!」
と森人族の長が剣を突き出したところ、幅10㎝ほどの雷が、
ズバォウッ!
と、放たれ、ハイオークに、
ズババババァンッ!!
と、直撃したのだ。
少なからず驚きつつ、
「アーティファクトか?!」
と訊ねる俺に、
「いいえ。“伝導”という、エルフ族の少数が得られるスキルです。」
と、国主が答えた。
(そういや、“可視化”でみたとき、そんな表記があったな。)
と記憶を辿った俺が、
「武器で魔法を使えるってことか??」
と、疑問を呈したところ、
「まぁ、ほぼ正解ですが…、厳密には〝魔法を武器に伝わらせる〟能力です。」
と答えたのである。
「それって、狙撃手のエルフや、騎士と剣士のハーフエルフ兄妹も、収得しているんじゃなかったっけ?」
と、聞いてみたら、
「あの子たちは、自国に居たころにはそれを得ていませんでしたが…、旅を経て成長したようです。」
と森人族の長が微笑んだ。
ともあれ、仰向けで倒れていた敵が、いささかフラつきながらも立ち上がる。
「おッ!? あいつ、タフだなぁ。」
と俺が感心していたところ、豚の獣人に近づいていったトロールが、右手に持った“棘の棍棒”をアッパースイングした。
しかし、“鋸の大剣”を横にしたハイオークに、
ガシンッ!!
と、阻まれてしまったのだ。
今度は逆に、敵がラージソードを右から左へと薙ぎ払う。
だが、左手に持っていた縦長で五角形の“大楯”に身を隠すと共に、トロールが全身を光らせた。
装飾が施されている紫色のグレートシールドは、縦の長さが4Mで、最大横幅は1.3Mである。
いずれにせよ、〝ブンッ!〟と迫る“鋸の大剣”を、真正面から、
ガンッ!!
と受け止めたのだ。
これは、【防ぎきる者】(消費MPは1回につき100ポイント)という“騎士”のスキルであり、自分よりレベルが高い者の攻撃であっても、完全にガードすることが可能らしい。
ただし、現段階でのトロールは、1日5回が限度みたいだった。
レベルが100を超えれば、倍の回数になるようだ。
ちなみに、【伝導】(消費MPは1回につき50ポイント)は、LV.100以下だと1日10回で、100以上は20回である。
にも関わらず、森人族の長は“無制限”となっていた。
そういうところが、彼女が“天才”と呼ばれる所以であろう。
多分、きっと、おそらく、maybe。
ん?どれも一緒だな。
…………。
気を取り直して!
俺のスキルに“回数の縛り”が無いのは、同化した【旧魔王】がそういう存在だったからだろうと推察できる。
ま、こればかりは“チート”だとしか言いようがない。
それはさて置き。
密かに、
(つーか、出番なくねぇッ!?)
と、思わずにはいられない俺であった―。
そう、彼女は左利きなのである。
そんな国主の、レイピアの刃部分から、
バチッ!バチバチッ!バチィッ!
と、電流が発せられていく。
「はッ!!」
と森人族の長が剣を突き出したところ、幅10㎝ほどの雷が、
ズバォウッ!
と、放たれ、ハイオークに、
ズババババァンッ!!
と、直撃したのだ。
少なからず驚きつつ、
「アーティファクトか?!」
と訊ねる俺に、
「いいえ。“伝導”という、エルフ族の少数が得られるスキルです。」
と、国主が答えた。
(そういや、“可視化”でみたとき、そんな表記があったな。)
と記憶を辿った俺が、
「武器で魔法を使えるってことか??」
と、疑問を呈したところ、
「まぁ、ほぼ正解ですが…、厳密には〝魔法を武器に伝わらせる〟能力です。」
と答えたのである。
「それって、狙撃手のエルフや、騎士と剣士のハーフエルフ兄妹も、収得しているんじゃなかったっけ?」
と、聞いてみたら、
「あの子たちは、自国に居たころにはそれを得ていませんでしたが…、旅を経て成長したようです。」
と森人族の長が微笑んだ。
ともあれ、仰向けで倒れていた敵が、いささかフラつきながらも立ち上がる。
「おッ!? あいつ、タフだなぁ。」
と俺が感心していたところ、豚の獣人に近づいていったトロールが、右手に持った“棘の棍棒”をアッパースイングした。
しかし、“鋸の大剣”を横にしたハイオークに、
ガシンッ!!
と、阻まれてしまったのだ。
今度は逆に、敵がラージソードを右から左へと薙ぎ払う。
だが、左手に持っていた縦長で五角形の“大楯”に身を隠すと共に、トロールが全身を光らせた。
装飾が施されている紫色のグレートシールドは、縦の長さが4Mで、最大横幅は1.3Mである。
いずれにせよ、〝ブンッ!〟と迫る“鋸の大剣”を、真正面から、
ガンッ!!
と受け止めたのだ。
これは、【防ぎきる者】(消費MPは1回につき100ポイント)という“騎士”のスキルであり、自分よりレベルが高い者の攻撃であっても、完全にガードすることが可能らしい。
ただし、現段階でのトロールは、1日5回が限度みたいだった。
レベルが100を超えれば、倍の回数になるようだ。
ちなみに、【伝導】(消費MPは1回につき50ポイント)は、LV.100以下だと1日10回で、100以上は20回である。
にも関わらず、森人族の長は“無制限”となっていた。
そういうところが、彼女が“天才”と呼ばれる所以であろう。
多分、きっと、おそらく、maybe。
ん?どれも一緒だな。
…………。
気を取り直して!
俺のスキルに“回数の縛り”が無いのは、同化した【旧魔王】がそういう存在だったからだろうと推察できる。
ま、こればかりは“チート”だとしか言いようがない。
それはさて置き。
密かに、
(つーか、出番なくねぇッ!?)
と、思わずにはいられない俺であった―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~
川嶋マサヒロ
ファンタジー
ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。
かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。
それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。
現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。
引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。
あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。
そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。
イラストは
ジュエルセイバーFREE 様です。
URL:http://www.jewel-s.jp/
LAWS
渋谷かな
ファンタジー
1話1000字の誰でも簡単に読めるものです。
「ポケモンG〇って、位置情報ゲームっていう位置づけなのか。ふむふむ。第7期のテーマは「地球は核の炎に包まれた。」からの、「地球はAIに支配された。」自律型致死兵器システムのLAWSの暴走である。日本2020年。東京オリンピックの開会式は、AI搭載無人ドローン。マシンガン装備タイプの襲撃により、真っ赤に染まった。犯人は、東京オリンピック開催で、東京都を本当は赤字にした税金の無駄遣いと、外国人を受け入れたため、就職できない日本の優秀な若者の科学者たちだった。なかなか筋の通ったストーリー展開だ。」
自律型致死兵器システムのLAWS。AI搭載無人ドローン。マシンガン装備タイプ。こんな特集をして一般庶民に教えてくれるのがNH〇だ。
傷モノ令嬢は冷徹辺境伯に溺愛される
中山紡希
恋愛
父の再婚後、絶世の美女と名高きアイリーンは意地悪な継母と義妹に虐げられる日々を送っていた。
実は、彼女の目元にはある事件をキッカケに痛々しい傷ができてしまった。
それ以来「傷モノ」として扱われ、屋敷に軟禁されて過ごしてきた。
ある日、ひょんなことから仮面舞踏会に参加することに。
目元の傷を隠して参加するアイリーンだが、義妹のソニアによって仮面が剥がされてしまう。
すると、なぜか冷徹辺境伯と呼ばれているエドガーが跪まずき、アイリーンに「結婚してください」と求婚する。
抜群の容姿の良さで社交界で人気のあるエドガーだが、実はある重要な秘密を抱えていて……?
傷モノになったアイリーンが冷徹辺境伯のエドガーに
たっぷり愛され甘やかされるお話。
このお話は書き終えていますので、最後までお楽しみ頂けます。
修正をしながら順次更新していきます。
また、この作品は全年齢ですが、私の他の作品はRシーンありのものがあります。
もし御覧頂けた際にはご注意ください。
※注意※他サイトにも別名義で投稿しています。
追放から始まる新婚生活 【追放された2人が出会って結婚したら大陸有数の有名人夫婦になっていきました】
眼鏡の似合う女性の眼鏡が好きなんです
ファンタジー
役に立たないと言われて、血盟を追放された男性アベル。
同じく役に立たないと言われて、血盟を解雇された女性ルナ。
そんな2人が出会って結婚をする。
【2024年9月9日~9月15日】まで、ホットランキング1位に居座ってしまった作者もビックリの作品。
結婚した事で、役に立たないスキルだと思っていた、家事手伝いと、錬金術師。
実は、トンデモなく便利なスキルでした。
最底辺、大陸商業組合ライセンス所持者から。
一転して、大陸有数の有名人に。
これは、不幸な2人が出会って幸せになっていく物語。
極度の、ざまぁ展開はありません。
レディース異世界満喫禄
日の丸
ファンタジー
〇城県のレディース輝夜の総長篠原連は18才で死んでしまう。
その死に方があまりな死に方だったので運命神の1人に異世界におくられることに。
その世界で出会う仲間と様々な体験をたのしむ!!
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる