83 / 350
- 第三期・この世界の歴史と未来 -
第83話 新商品
しおりを挟む
俺たちは、聖女の【瞬間転移】で王城に帰ってきた。
誰も使用していない一室の大広間にて、サータ王が、
「“兎の国”が一件落着したそうで、何よりです。ご主君。」
と、お辞儀する。
「まあな。」
「ところで、駅や空港は見学したか?」
「まだ完成してねぇけど…。」
と訊ねてみたら、
「ええ。とても素晴らしかったです。」
「サータ国でも導入できないかと、トーキー王たちと話していたところです。」
と、答えたのだ。
「そっか…。」
とトーキーの王らに〝フッ〟と視線を送った俺は、
「お前ら、それ、どうしたんだ?」
と、少なからず驚いてしまったのである。
その理由は、トーキー王に宰相と賢者が、眼鏡をかけていたからだ。
これに、[科学開発班]の責任者が、
「実は、予てより、賢者殿から相談を受けておりましたので、作ってみました。」
と説明したのである。
更に、その責任者が、
「もう一つ、相談部の主任に注文されていた品も完成しました。」
と、自身の[アイテムBOX]から、何やら取り出す。
「おおッ! それはッ!!」
と感動する俺に、同行していた一年生書記が、
「そうです!」
「羽なし扇風機ですッ!!」
と、得意気になったのである。
何はともあれ、責任者の男性教員がボタンを押したところ、冷やっこい風が流れてきたのだ。
これには、賢者以外の、こちらの世界の面子が、
「おお―ッ?!」
と目を丸くした。
どうやら、賢者は、この件に携わっていたようだ。
サータ国の王が、
「一体どういう仕組みです?」
との疑問を呈したので、責任者が、
「我々の世界に存在している科学製品と、こちらに存在している“風と氷の魔石”を組み合わせました。」
と、説明したのである。
「これの大量生産は可能なのか?」
と窺う俺に、男性教員が、
「眼鏡もそうですが…、ご主君の許可が下り次第、すぐにでも出荷できるよう、王都の職人らが、既に、それなりの数を製造しておりますので。」
と、返したのである。
俺が、
「よし。じゃあ、早速、販売しよう。」
と促していたら、サータ王が、
「これらの品々を輸入させてもらっても、よろしいでしょうか?」
と、尋ねてきた。
俺は、
「ああ、構わん。」
「詳しいことは、トーキーの王に、宰相や、科学開発班の責任者と、決めてくれ。」
と首を縦に振ったのである。
それからは、サータ国の王を持て成す為の宴が、三日三晩、催された。
サータ王が10人の従者と帰路に着いた小一時間後、今度は、ドワーフの[国主補佐官]が、案内係の“コボルド”を伴って、訪れたのである。
彼女たちは、どうやら、馬車に乗ってきたらしい。
タキシード姿の運転手は、オスの獣人である“ワーシップ”のようだ。
豪華な客間にて、
「お久しぶりです。」
と、頭を下げて挨拶した彼女は、ワクワクして仕方なかったのだろう、休む間もなく、“科学開発班”及び“相談部”の案内で、各方面への視察に足を運んだのである。
その結果、駅と空港は元より…、魔銃だけでなく、眼鏡と扇風機にも、目を輝かせたらしい。
案の定―。
誰も使用していない一室の大広間にて、サータ王が、
「“兎の国”が一件落着したそうで、何よりです。ご主君。」
と、お辞儀する。
「まあな。」
「ところで、駅や空港は見学したか?」
「まだ完成してねぇけど…。」
と訊ねてみたら、
「ええ。とても素晴らしかったです。」
「サータ国でも導入できないかと、トーキー王たちと話していたところです。」
と、答えたのだ。
「そっか…。」
とトーキーの王らに〝フッ〟と視線を送った俺は、
「お前ら、それ、どうしたんだ?」
と、少なからず驚いてしまったのである。
その理由は、トーキー王に宰相と賢者が、眼鏡をかけていたからだ。
これに、[科学開発班]の責任者が、
「実は、予てより、賢者殿から相談を受けておりましたので、作ってみました。」
と説明したのである。
更に、その責任者が、
「もう一つ、相談部の主任に注文されていた品も完成しました。」
と、自身の[アイテムBOX]から、何やら取り出す。
「おおッ! それはッ!!」
と感動する俺に、同行していた一年生書記が、
「そうです!」
「羽なし扇風機ですッ!!」
と、得意気になったのである。
何はともあれ、責任者の男性教員がボタンを押したところ、冷やっこい風が流れてきたのだ。
これには、賢者以外の、こちらの世界の面子が、
「おお―ッ?!」
と目を丸くした。
どうやら、賢者は、この件に携わっていたようだ。
サータ国の王が、
「一体どういう仕組みです?」
との疑問を呈したので、責任者が、
「我々の世界に存在している科学製品と、こちらに存在している“風と氷の魔石”を組み合わせました。」
と、説明したのである。
「これの大量生産は可能なのか?」
と窺う俺に、男性教員が、
「眼鏡もそうですが…、ご主君の許可が下り次第、すぐにでも出荷できるよう、王都の職人らが、既に、それなりの数を製造しておりますので。」
と、返したのである。
俺が、
「よし。じゃあ、早速、販売しよう。」
と促していたら、サータ王が、
「これらの品々を輸入させてもらっても、よろしいでしょうか?」
と、尋ねてきた。
俺は、
「ああ、構わん。」
「詳しいことは、トーキーの王に、宰相や、科学開発班の責任者と、決めてくれ。」
と首を縦に振ったのである。
それからは、サータ国の王を持て成す為の宴が、三日三晩、催された。
サータ王が10人の従者と帰路に着いた小一時間後、今度は、ドワーフの[国主補佐官]が、案内係の“コボルド”を伴って、訪れたのである。
彼女たちは、どうやら、馬車に乗ってきたらしい。
タキシード姿の運転手は、オスの獣人である“ワーシップ”のようだ。
豪華な客間にて、
「お久しぶりです。」
と、頭を下げて挨拶した彼女は、ワクワクして仕方なかったのだろう、休む間もなく、“科学開発班”及び“相談部”の案内で、各方面への視察に足を運んだのである。
その結果、駅と空港は元より…、魔銃だけでなく、眼鏡と扇風機にも、目を輝かせたらしい。
案の定―。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
異世界で穴掘ってます!
KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる