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- 第二期・各々の立場 -
第72話 A班の攻防戦・其之壱
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話しは、20分ほど前に遡る――。
軍議用のテーブル席には、俺を筆頭に、兎の王子/西方領主/トーキーの中将軍/ミノタウロス元帥が、着席していた。
その後ろには、王子の護衛係や、ジャイアントアント参謀役などが、直立している。
「僕も最前線まで赴きます。」
と言う王子に、西方領主が、
「それは認められません!」
と、反発した。
これに、兎の王子が、
「ですが、そうでもしなければ、僕は“英雄”になれません。」
「安全な場所で嵐が過ぎ去るのを待っているだけの臆病者を、誰が“ロード”として認めてくれるでしょうか?」
「ご主君が、僕のことを敬うよう民に命令してくださったとしても、それは“偽りの王”に他なりません。」
「戦う力は無くとも、せめて近くまで行き、自分を示す必要があると思うのです!」
と返したのである。
「うむ! よくぞ申した!」
「それでこそ“真の男”である!!」
と、鼻息を荒げたのは、ミノタウロスだ。
王子の衛兵であるヴォルパーティンガーが、
「我らが、お守り致しますので、どうか、お許しを。」
と西方の領主に願う。
俺が、
「うちの遠隔戦型たちに、更に周囲を固めさせれば、大丈夫だろ。」
と、意見したところ、
「ふぅーッ。」
と溜息を吐いて、渋々ながらも、
「分かりました。」
と、認める領主であった…。
13:00――。
西方軍と北方軍もまた、領境を挟んだ500M程の距離で対峙していた。
背から翼を出して、宙に浮いている俺を先頭に、A班+西方領主が、
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、…。
と前に進んでいく。
B班にも【伝言】を送ったから、同時に動いているだろう。
敵陣から、
「突撃ぃい~ッ!!」
との号令が聞こえてきたが、誰も反応しない。
それは当然のことだ。
[烈風将軍]と[北方領主]以外の、この戦場に居る連中は、俺に“服従”していたり“魅了”されているのだから…。
いずれにせよ、俺の、
『北方と東方の軍勢は、A班とB班のために、道を開けよ。』
という下知によって、敵の軍が、
ザザ――ッ
と、大きく左右に広がった。
敵まで約100Mの位置にて、クレリックらに“加護”を使わせる。
「奴の方は任せたぞ。」
とミノタウロス元帥らに声を掛けた俺が、烈風将軍めがけて、
ギュンッ!
と、飛行する。
それに合わせ、ミノタウロス/ジャイアントアント/アラクネ/ハーピーらに、西方領主や、トーキーの中将軍が、南方領主に向かって駆けていく。
敵の領主であるジャッカロープは、身長が150㎝くらいで、体毛はオレンジ色である。
鹿の角と瞳はライトブラウンで、白色を基調とした黒糸に緑糸の刺繍がある衣服や、金の杖は、【クレリック】用だ。
「図に乗るんじゃないわよッ!」
との口調から、メスであろうことは間違いない南方領主もまた、自分たち二体に【加護】を発動したのだった―。
軍議用のテーブル席には、俺を筆頭に、兎の王子/西方領主/トーキーの中将軍/ミノタウロス元帥が、着席していた。
その後ろには、王子の護衛係や、ジャイアントアント参謀役などが、直立している。
「僕も最前線まで赴きます。」
と言う王子に、西方領主が、
「それは認められません!」
と、反発した。
これに、兎の王子が、
「ですが、そうでもしなければ、僕は“英雄”になれません。」
「安全な場所で嵐が過ぎ去るのを待っているだけの臆病者を、誰が“ロード”として認めてくれるでしょうか?」
「ご主君が、僕のことを敬うよう民に命令してくださったとしても、それは“偽りの王”に他なりません。」
「戦う力は無くとも、せめて近くまで行き、自分を示す必要があると思うのです!」
と返したのである。
「うむ! よくぞ申した!」
「それでこそ“真の男”である!!」
と、鼻息を荒げたのは、ミノタウロスだ。
王子の衛兵であるヴォルパーティンガーが、
「我らが、お守り致しますので、どうか、お許しを。」
と西方の領主に願う。
俺が、
「うちの遠隔戦型たちに、更に周囲を固めさせれば、大丈夫だろ。」
と、意見したところ、
「ふぅーッ。」
と溜息を吐いて、渋々ながらも、
「分かりました。」
と、認める領主であった…。
13:00――。
西方軍と北方軍もまた、領境を挟んだ500M程の距離で対峙していた。
背から翼を出して、宙に浮いている俺を先頭に、A班+西方領主が、
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、…。
と前に進んでいく。
B班にも【伝言】を送ったから、同時に動いているだろう。
敵陣から、
「突撃ぃい~ッ!!」
との号令が聞こえてきたが、誰も反応しない。
それは当然のことだ。
[烈風将軍]と[北方領主]以外の、この戦場に居る連中は、俺に“服従”していたり“魅了”されているのだから…。
いずれにせよ、俺の、
『北方と東方の軍勢は、A班とB班のために、道を開けよ。』
という下知によって、敵の軍が、
ザザ――ッ
と、大きく左右に広がった。
敵まで約100Mの位置にて、クレリックらに“加護”を使わせる。
「奴の方は任せたぞ。」
とミノタウロス元帥らに声を掛けた俺が、烈風将軍めがけて、
ギュンッ!
と、飛行する。
それに合わせ、ミノタウロス/ジャイアントアント/アラクネ/ハーピーらに、西方領主や、トーキーの中将軍が、南方領主に向かって駆けていく。
敵の領主であるジャッカロープは、身長が150㎝くらいで、体毛はオレンジ色である。
鹿の角と瞳はライトブラウンで、白色を基調とした黒糸に緑糸の刺繍がある衣服や、金の杖は、【クレリック】用だ。
「図に乗るんじゃないわよッ!」
との口調から、メスであろうことは間違いない南方領主もまた、自分たち二体に【加護】を発動したのだった―。
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