異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
50 / 350
- 第二期・各々の立場 -

第50話 因縁

しおりを挟む
グーマ王国が提示した期限を明日に控え、野営地には約800万人の兵士と、およそ2万体の魔物たちが集結していた。

雨上がりの空の下で、夕食を取りながら、ミノタウロスに、

「祖国とり合う訳だが…、大丈夫なのか?」
「向こうには、お前と旧知の仲の奴らもいるだろうから、王城で待機しててもいいんだぞ。」

と、声を掛けたら、

「いえ、家族も、親友たちも、全て失いましたので…。」

と目を細めた。

「……、言いたくないら別に構わねぇんだけど…、お前は何でこの国で生活していたんだ?」

と、聞いてみたところ、

「もともと、かの国では、王を頂点とした“ロード派”と、大将軍を筆頭とした“アンチロード派”が、長い間、争っておりました。」
「兄弟である中将軍と小将軍は、どちらもロードに付き従っていたのですが…、今から半年ほど前に、われの叔父でもある小将軍が〝漁夫の利〟を得んとして、離反りはんしおったのです。」

と回想して、〝ギリッ〟と奥歯を噛み締めた。

更に、

「母は数年前に病で世を去っており…、中将軍であった父と、二体の兄が、末っ子である我だけを逃がしたのです。」
「父は、〝よもや、アーティファクトを手に入れた、あ奴には勝てぬであろう。お前は生き残って、強くなり、いつか必ず、仇を討て〟と、我に希望を託したのでございます。」

と、言葉を続けたのだ。

俺は、

「何?!」
「アーティファクト!?」

と驚き、魔人姉妹も目を丸くする。

勇者が、

「なんですか?」
「その“アーティファクト”というのは??」

と、質問してきたので、

「非常に厄介な代物だ。」
「その裏切り者が、どんなアーティファクトを手中に収めたかまでは分からんが、もし、武器であれば、攻撃力を大幅に上昇させる。」

と答えたのだった。

不味まずいことになりそうだな。)

と、少なからず不安に駆られる俺の肌を、夕暮れ時の冷たい風が撫でていた…。


翌日の昼過ぎ、小雨が降るなか、両陣営が400~500Mの距離で睨み合っている。

グーマ軍も、ミノタウロス軍も、それぞれ500万ずつの、計1000万といったところだろう。

当然、牛ども以外のモンスター達も数多く見受けられる。

地上15M程の位置で【可視化】を使ってみたら、魔物の軍勢の中に、LV.115/武器装備での攻撃力は905、LV.118/武器装備での攻撃力は926、LV.137/武器装備での攻撃力は2466、という三体が居た。

(確か、ゴブリン女王が“火炎のつるぎ”を扱っていた際の攻撃力が“2072”だったから…、あのレベル137が“牛の王”って事か?)
(多分、きっと、そうだろうな…。)

と思った俺が、速攻で【絶対服従】を発動させる。

当初の予定では、全軍で突撃して、敵の半数ぐらいを倒し、こちらに喧嘩を売ったことを後悔させてから、屈服させたるつもりだったのだが、そんな余裕はなさそうだったので、変更したのだ。

【伝言】で、グーマ軍とミノタウロス軍の双方に、

その三体・・・・を討て!」

と、命じる。

ちなみに、ここ迄で俺が消費したMPはトータルで106だ。

最後尾に控えているソイツらを、囲むように襲い掛かった連中が、次の瞬間には宙に舞っていた。

新たなロードであろう[黒牛]を中心として、地面がドーナツ状に隆起したのである。

表現が難しいのだが…、そいつを軸とした直径4Mの範囲内は空洞となっており、その周りにて、幅10Mに及んで地面が突き上がったのだ。

高さは1Mくらいのモノから、20M程までと、様々ではあるが、岩ぐらいの硬さに転じたのだろう、

ズドドドドドドドドオオォォンッ!!!!

と多くのモンスター達に人間が、弾き飛ばされた。

全身の骨を砕かれたり、四肢が千切れた者もいるようだ。

その光景に、こちらのミノタウロスが、

「ブオオオオォォォォ――――ッ!!」

と吠える。

間違いなく“にっくき仇”なのであろう。

次第に勢いを増していく雨が、緊張と悲愴ひそうとが交錯する戦場を、容赦なく打ち付けていく―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

筋トレ民が魔法だらけの異世界に転移した結果

kuron
ファンタジー
いつもの様にジムでトレーニングに励む主人公。 自身の記録を更新した直後に目の前が真っ白になる、そして気づいた時には異世界転移していた。 魔法の世界で魔力無しチート無し?己の身体(筋肉)を駆使して異世界を生き残れ!

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜

月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。 蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。 呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。 泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。 ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。 おっさん若返り異世界ファンタジーです。

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...