異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた

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- 第二期・各々の立場 -

第48話 宣戦布告

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この一週間で、一年の生徒会書記が、自身を含めた10人を集めた。

女子6人の男子4人で、ファンタジー系の漫画やアニメとゲームに詳しい面子だ。

なかには国際留学で訪れていた外国人もいる。

ま、全員オタクではあるのだが、その知識は大いに役立っていた。

例えば、ガソリンや電気などの代わりに、「風と炎の魔石を使う」ことを提案してくれたことによって、幾つかの乗り物を作れる可能性が出てきたのだ。

今のところ[機関車]と[飛行機]が候補に挙がっている。

車やバイクは、未だ、この世界の職人たちには難しいそうだ。

飛行機も実現できないのでは?と思われたが、「船を用いれば良い」と一年生書記たちのチームが主張した。

そう、所謂、[飛行艇]である!

ここら辺りは、[科学開発班]を中心に、既にプロジェクトが動き出しているのだ。


一方、全部活のアピールを見終えた王族と各大臣が、空いている大広間にて論議していた。

「どのスポーツから着手するのか?」

「競技場は何処に設立するのか?」

「予算はあるのか?」

「もっと民衆に広めて理解を得てからにすべきでは?」

等々、話しは尽きないらしい。

そこへ、トーキーの西に隣接している[グーマ王国]から使者が来たとのことだ。


[玉座の間]にて、トーキー王を筆頭とした要人たちが応対したところ、

“こちらの王子と、そちらの王女との間で、取り交わされていた婚約が破棄された件は、甚だ遺憾である。

また、それに伴い国交が断絶されている現状も嘆かわしいばかりだ。

これより一ヶ月の猶予を与える故、婚約も国交も元にふくすよう申し渡す。

もし、拒否したり、無視すれば、大軍を送り込み、トーキーの国土を蹂躙する。

これは脅しではない。

真摯に受け止めよ。”

と、その使いの者が、ダーマ王からの書状を読み上げたらしい。


現在、会議室にて――。

聖女が、

「お嫁には行きません!」
「絶ぇっ対にぃ、嫌ですわッ!!」
「噂によると、あちらの王子は、背が小さく、太っていて、我儘で、陰険陰湿だとか…。」
「そんなもの、主様とは雲泥の差です!」
「グーマに嫁ぐくらいならば、わたくしは、自決いたします!!」

と怒りを爆発させた。

これに、勇者が、

「全くもって、その通りです!」
「〝主様の凄さ〟を知ってしまったなら、他では満足できません!」
「しかも、お相手は、かなり、どぉ~しようもない人物の様子。」
「屈する必要など、ありません。」
「真っ向から、受けて立ちましょう!!」

と、援護したのだ。

こいつらは、意気投合したらしたで、やかましい。

「しかし、腑に落ちませんな。」

と開口したのは、中将軍だった。

「まず、〝勇者が召喚されたこと〟は、東の大陸全土に広まっている筈であり、これから世界中の耳に届くことでしょう。」
「また、近隣諸国には、ご主君の存在も知れ渡っているかと…。」
「つまり、グーマ国にとっては無謀以外の何物でもないのに、戦を仕掛けてくるのが不思議でなりません。」

と、締め括る。

続いて、大将軍が、

「ふぅむ。勝算が無いのに挑んでくる…、と、なると、何か“裏”があるかもしれんな。」

と険しい表情になった。

ミノタウロスが、いつになく真面目な顔つきで、

「ご主君。グーマの更に西には、我が故郷がございます。」
「歴史的にも、下剋上による内輪揉めが頻発しており、なかなか、まとまりませんでしたが、3~4ヶ月ほど前に、統一が成されたらしく…。」
「両国が手を組んだやもしれません。」

と、述べたのだ。

考えを整理した賢者が、

「双方に、利点はございますな…。」
「ご主君と勇者殿を討てば、“ミノタウロスの国”は自分たちを顕示でき、周囲への影響力を伸ばしていけましょう。」
「また、現魔王に忠誠を誓う腹づもりならば、良き土産となり、大出世に繋がるかと…。」
「グーマにしてみれば、姫君を手中に収め、トーキーを従属できれば、万々歳なのでは?」

と解説したのである。

「あり得るな。」

と、同意した俺が、

「“ミノタウロスの国”は強いのか?」

と訊ねたところ、魔人の妹が、

「オーガやギガンテスなどに引けを取らない“戦闘集団”と認識すべきでございます。」

と、答え、姉が、

「ですけど、主様の“服従”スキルがあれば、そこまで心配は要らないでしょう。」

と補足した。

これに対してジャイアントアントが、

「恐れながら、ミノタウロスロードと最高幹部たちのレベルによっては、楽観視でき兼ねます。」
「最悪、全滅することを想定しておいたが宜しいでしょう。」

と、言い、うちのミノタウロスが、

「然り。」

と頷いた事によって、重苦しい空気が流れる。

外は、雷を伴う激しい雨だった―。
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