43 / 350
- 第二期・各々の立場 -
第43話 スライムの王
しおりを挟む
中央領土へ向けて、草原を進んでいたら、バスケットボールぐらいの大きさがある銀色の球体が、飛び跳ねながら迫ってきた。
時速40㎞前後で。
俺たちの10Mほど手前で止まったソイツが、音もなく人型へと変化する。
身長は170㎝くらいだろう。
目鼻に耳と髪がない。
所謂“のっぺらぼう”だ。
全身が銀色の“ペ○シマン”とも言えるが…、筋肉も無かった。
[西方領主]のスライムに、
「ひょっとしなくても、あれが“ロード”か?」
と、訊ねたら、
「はい。」
と答えた。
俺の【可視化】にて、“LV.51/HP51/MP0/攻撃力1020/防御力5100/素早さ510”と判明する。
そんな[スライムの王]に、
「メタルの敵討ちか?!」
と、問うたが、返事はない。
ま、耳も口も付属していないのだから、仕方ないのだが…。
(じゃあ、二将軍は、どうやってコミュニケーションを取っていたんだ? 筆談?? いや、スライム同士でテレパシーが使えるとか?)
そこら辺の事を西方領主に聞こうとしたが、微動だにしないロードが何だか不気味で、目が離せなくなってしまった。
(戦うつもりがないんだったら…。)
と迂回を試みるも、即座に立ちはだかれた。
「やるしかなさそうだな。」
と、覚悟を決めた俺は、スライムロードを包囲させる。
レベルの高い者たちを最前列に、低い連中を最後尾に配置して…。
右手を挙げた俺は、
「魔法を使える奴と、狙撃手は、構えぃッ!」
と命じ、
「放ってぇいッ!!」
と、手を振り下ろした。
360°全方位から、身体中に攻撃をくらった[スライムの王]は、〝ボッコ ボッコ〟に凹んだものの、1~2秒で元に戻った。
それはまるで、[ターミ○ーター2]の敵(シュ○ちゃんじゃない方)みたいに。
“半液体であると共に半金属”の意味を理解したところで、スライムロードが〝ギュンッ!〟と独楽のように一回転した。
その際に、両腕を15Mぐらい伸ばして。
反時計回りで、〝左腕、からの、右腕〟が、鞭のように襲ってきた。
咄嗟に、しゃがむ者たちもいれば、ジャンプした連中もいたし、【騎士】に【戦士】といった“力自慢”たちは、盾や武器で身を守ったようだ。
モロに当たって吹き飛ばされ、瀕死の重傷を負った人間や魔物も幾らかいたが、幸いにも誰一人として命は落とさなかった。
地面に片膝を着いている俺の右斜め後ろから、両膝を着いている一年生書記が、
「主様、今のは、ひょっとして、あの“悪○の実”の…?」
と尋ねてきたので、
「ああ、間違いない。奴は“ゴムゴ○の実”の能力者だ。」
と、返したところ、
俺の左後方で、ジャンプしてから着地した二年生書記が、表情を崩さず、冷静に、
「んなワケあるか。」
とツッコんできやがったので、
「お前、あとで、お仕置きな。」
と、言ったら、
「ありがとうございます♡」
と頬を赤らめた。
「さて…。」
と、立ち上がって、
(確か、あの映画は、“溶炉”で倒したんだったよな…。)
と思い出した俺は、両の掌を用いて直径5Mの赤い魔法陣を展開し、
「一欠けらも残さず、消え失せよ!」
と、魔法陣と同じ大きさの炎をお見舞いした。
ゴオォォォ…ッ!!
と灼熱を浴びせ掛けたら、〝ドロドロドロォ~ッ〟と原形をとどめないフォルムになったものの、やはり1~2秒で復した。
それでも、トータルで7のヒットポイントを削れたようだ。
「つーか、たった7かよ。」
と、歯ぎしりしていたところ、[スライムの王]が、今度は、刃のように鋭く尖らせた両腕を、物凄い勢いで〝ビュオッ!!〟と伸ばしてきた。
俺はそれを、[マト○ックス]みたいに、上体を反らしてかわす。
「ふぅ~ッ。」
と安堵する俺に、一年の生徒会書記が、
「あの…、主様。“氷漬け”って出来ませんか?」
と、質問してきた。
更に続けて、
「氷で固めてから、粉砕するというのは如何でしょうか?」
と提案したのだ。
[金のゴーレム]と初めて対峙して以来、ずっと考えていた攻略法を、今この場で閃いたらしく、
(スライムロードにも通用するのでは?)
との結論に至ったらしい。
この世界の魔法は“自分のイメージ次第”なので、やればできるだろう。
一年生書記に、
「成功したら、褒美を与える。」
と、告げたら、
「じゃあ…、ベッドでの性交をば、お願いします♡!」
〝ムッハー♡♡!!〟と鼻息を荒げた。
ロードの足元に直径4Mの青い魔法陣を発動させた俺は、
「永久に閉ざされよ!」
と地面から、高さ2Mの〝氷の山〟を出現させる。
ビキッ!ビキビキッ!!ビキッ!!!ビッキィ―ンッ!!!!
と、動きを封じた俺は、全員に、
「打ち砕けぇえッ!!」
と号令したのだった―。
時速40㎞前後で。
俺たちの10Mほど手前で止まったソイツが、音もなく人型へと変化する。
身長は170㎝くらいだろう。
目鼻に耳と髪がない。
所謂“のっぺらぼう”だ。
全身が銀色の“ペ○シマン”とも言えるが…、筋肉も無かった。
[西方領主]のスライムに、
「ひょっとしなくても、あれが“ロード”か?」
と、訊ねたら、
「はい。」
と答えた。
俺の【可視化】にて、“LV.51/HP51/MP0/攻撃力1020/防御力5100/素早さ510”と判明する。
そんな[スライムの王]に、
「メタルの敵討ちか?!」
と、問うたが、返事はない。
ま、耳も口も付属していないのだから、仕方ないのだが…。
(じゃあ、二将軍は、どうやってコミュニケーションを取っていたんだ? 筆談?? いや、スライム同士でテレパシーが使えるとか?)
そこら辺の事を西方領主に聞こうとしたが、微動だにしないロードが何だか不気味で、目が離せなくなってしまった。
(戦うつもりがないんだったら…。)
と迂回を試みるも、即座に立ちはだかれた。
「やるしかなさそうだな。」
と、覚悟を決めた俺は、スライムロードを包囲させる。
レベルの高い者たちを最前列に、低い連中を最後尾に配置して…。
右手を挙げた俺は、
「魔法を使える奴と、狙撃手は、構えぃッ!」
と命じ、
「放ってぇいッ!!」
と、手を振り下ろした。
360°全方位から、身体中に攻撃をくらった[スライムの王]は、〝ボッコ ボッコ〟に凹んだものの、1~2秒で元に戻った。
それはまるで、[ターミ○ーター2]の敵(シュ○ちゃんじゃない方)みたいに。
“半液体であると共に半金属”の意味を理解したところで、スライムロードが〝ギュンッ!〟と独楽のように一回転した。
その際に、両腕を15Mぐらい伸ばして。
反時計回りで、〝左腕、からの、右腕〟が、鞭のように襲ってきた。
咄嗟に、しゃがむ者たちもいれば、ジャンプした連中もいたし、【騎士】に【戦士】といった“力自慢”たちは、盾や武器で身を守ったようだ。
モロに当たって吹き飛ばされ、瀕死の重傷を負った人間や魔物も幾らかいたが、幸いにも誰一人として命は落とさなかった。
地面に片膝を着いている俺の右斜め後ろから、両膝を着いている一年生書記が、
「主様、今のは、ひょっとして、あの“悪○の実”の…?」
と尋ねてきたので、
「ああ、間違いない。奴は“ゴムゴ○の実”の能力者だ。」
と、返したところ、
俺の左後方で、ジャンプしてから着地した二年生書記が、表情を崩さず、冷静に、
「んなワケあるか。」
とツッコんできやがったので、
「お前、あとで、お仕置きな。」
と、言ったら、
「ありがとうございます♡」
と頬を赤らめた。
「さて…。」
と、立ち上がって、
(確か、あの映画は、“溶炉”で倒したんだったよな…。)
と思い出した俺は、両の掌を用いて直径5Mの赤い魔法陣を展開し、
「一欠けらも残さず、消え失せよ!」
と、魔法陣と同じ大きさの炎をお見舞いした。
ゴオォォォ…ッ!!
と灼熱を浴びせ掛けたら、〝ドロドロドロォ~ッ〟と原形をとどめないフォルムになったものの、やはり1~2秒で復した。
それでも、トータルで7のヒットポイントを削れたようだ。
「つーか、たった7かよ。」
と、歯ぎしりしていたところ、[スライムの王]が、今度は、刃のように鋭く尖らせた両腕を、物凄い勢いで〝ビュオッ!!〟と伸ばしてきた。
俺はそれを、[マト○ックス]みたいに、上体を反らしてかわす。
「ふぅ~ッ。」
と安堵する俺に、一年の生徒会書記が、
「あの…、主様。“氷漬け”って出来ませんか?」
と、質問してきた。
更に続けて、
「氷で固めてから、粉砕するというのは如何でしょうか?」
と提案したのだ。
[金のゴーレム]と初めて対峙して以来、ずっと考えていた攻略法を、今この場で閃いたらしく、
(スライムロードにも通用するのでは?)
との結論に至ったらしい。
この世界の魔法は“自分のイメージ次第”なので、やればできるだろう。
一年生書記に、
「成功したら、褒美を与える。」
と、告げたら、
「じゃあ…、ベッドでの性交をば、お願いします♡!」
〝ムッハー♡♡!!〟と鼻息を荒げた。
ロードの足元に直径4Mの青い魔法陣を発動させた俺は、
「永久に閉ざされよ!」
と地面から、高さ2Mの〝氷の山〟を出現させる。
ビキッ!ビキビキッ!!ビキッ!!!ビッキィ―ンッ!!!!
と、動きを封じた俺は、全員に、
「打ち砕けぇえッ!!」
と号令したのだった―。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
独身おじさんの異世界ライフ~結婚しません、フリーな独身こそ最高です~
さとう
ファンタジー
町の電気工事士であり、なんでも屋でもある織田玄徳は、仕事をそこそこやりつつ自由な暮らしをしていた。
結婚は人生の墓場……父親が嫁さんで苦労しているのを見て育ったため、結婚して子供を作り幸せな家庭を作るという『呪いの言葉』を嫌悪し、生涯独身、自分だけのために稼いだ金を使うと決め、独身生活を満喫。趣味の釣り、バイク、キャンプなどを楽しみつつ、人生を謳歌していた。
そんなある日。電気工事の仕事で感電死……まだまだやりたいことがあったのにと嘆くと、なんと異世界転生していた!!
これは、異世界で工務店の仕事をしながら、異世界で独身生活を満喫するおじさんの物語。
ハーフ&ハーフ
黒蝶
恋愛
ある雨の日、野崎七海が助けたのは中津木葉という男。
そんな木葉から告げられたのは、哀しい事実。
「僕には関わらない方がいいよ。...半分とはいえ、人間じゃないから」
...それから2ヶ月、ふたりは恋人として生きていく選択をしていた。
これは、極々普通?な少女と人間とヴァンパイアのハーフである少年の物語。
転生チートは家族のために~ユニークスキルで、快適な異世界生活を送りたい!~
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
二人の転生伯爵令嬢の比較
紅禰
ファンタジー
中世の考えや方向性が強く残る世界に転生した二人の少女。
同じ家に双子として生まれ、全く同じ教育を受ける二人の違いは容姿や考え方、努力するかしないか。
そして、ゲームの世界だと思い込むか、中世らしき不思議な世界と捉えるか。
片手で足りる違いだけ、後は全く同じ環境で育つ二人が成長と共に周りにどう思われるのか、その比較をご覧ください。
処女作になりますので、おかしなところや拙いところがあるかと思いますが、よろしければご覧になってみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる