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- 第二期・各々の立場 -
第41話 希望的観測
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俺たちは、[スライムの国]を目指して進軍している。
地面から3M程の高さを飛行する俺が、ほぼ真下にいるLV.102のスライムに、
「お前たちの国からの増援はないのか?」
と、訊ねてみたら、
「〝まずは、バラーキ王国の東方領を奪取して、地盤固めが済み次第、残りの領土を一つずつ確実に制圧していこう〟というのが、二将軍の策でございます。」
と答えた。
「それはまた、念入りだな。」
と、言ったところ、
「私どもスライムは、そもそも“最弱”がため、生まれつき慎重なのでございます。」
と解説した。
「成程な。」
と、得心していたら、国境付近に到着し、
「そう言や、ロード級は“気”を感じ取れるんだったな。」
と少なからず警戒する俺に、ジャイアントアントが、
「察知できるにしても、その範囲は“都一つ分”が限界の筈でございます。」
「魔王で“国一コ分”の規模かと…。」
と、説明した。
(どうやら、“カ○ロット”たちのように、世界中だとか、遠く離れた惑星だとかの〝気〟までは、キャッチできないようだな。)
(それならば、“ゴブリンの国”の時みたいな失敗を繰り返さずに済みそうだ。)
と肩の力を抜いた俺は、[スライムの国]を【絶対服従】させたのだ。
入国後――。
昼食休憩中に、
「“メタル系”って、この国にのみ生息しているのか?」
と、スライムの[西方領主]に聞いてみたところ、
「いえ。確か…、1~2体ほどではないかと…。」
「あまり目撃情報がございませんので、もしかしたら、ロード以外のメタル系は既に他国に移り住んだかも知れません。」
との事だった。
(もしも、某RPGと同じように、メタル系のスライムたちが“経験値”を多く所有していれば、レベルアップが可能だろう。)
と秘かに期待を寄せた俺は、この国の者たちに、『メタル系を探し出すように』と【伝言】した。
その際に、ロードと二将軍に動きを悟られぬよう、王都には“通常運転”を命じて。
5~6分が経った頃に、『南方領土内に在る“渓谷”に1体おります。』との情報が入ったので、そちらに向けて出発することにした。
さすがに、この大軍では動き辛いので、殆どを待機させる。
バラーキの王子たちは、
「我々が足手まといなのは承知しております。」
「ただ単に、〝バラーキの王族が敵討ちに乗り出した〟というのが、我らの国内に広まれば、それだけで充分なのでございます。」
と、述べた。
「ん?」
と首を傾げる俺に、トーキーの中将軍が、
「要は、“体裁を保つ”のが目的かと…。」
「そういう意味では、我らも同じです。〝同盟国と共に攻め込んだ〟という“義勇”を内外に示せれば、それで構いません。」
と、本音を吐露する。
これを受けてか、[トーキー魔物チーム]の参謀役であるジャイアントアントが、
「今は未だ、現魔王に目を付けられないよう、主様のことを伏せておくのであれば、これはこれで望ましい状態かと…。」
「〝勇者を筆頭にトーキー軍とバラーキ軍が奮起した〟とすれば、欺けるのではないでしょうか?」
と考えを表した。
(“カモフラージュ”か…。決して悪くはないな。)
「ならば。」
と、俺は、数を絞る。
勇者一行/魔法剣士/トーキーのモンスターたち/スライムの国におけるLV.80以上の魔物たち
に、したのだが…。
聖女と、トーキーの将軍たちが、納得せず、「我々もご一緒します!」と主張する。
「いや、聖女は一国の姫だし…、将軍どもは、自国の兵の面倒を見なきゃいけないだろ。」
と諭すも、
「私の身分は、お忘れください!」
「各隊長に任せれば問題ありません!!」
と、一歩も引かなかったので、連れていく事にした。
「全くもって、〝やれや○だぜ〟…。」
俺たちの野営地から北東へ小1時間ぐらいの距離に、その渓谷は存在している。
俺たちを出迎えたのは、5体の“リス型モンスター”だった。
身長は50㎝前後で、額に30㎝くらいの細い一本角が生えており、その角も体毛も緑色だが、瞳だけは紫色である。
なんでも、[ラタトスク]という種族らしい。
リーダー格が、
「お待ちしておりました、ご主君。」
と頭を下げ、他の者たちもそれに続いた。
「状況は?」
「はッ。我らの同族や、マタンゴ(キノコ)達や、ハニービー(蜂)たちなどが、見張っております。」
「いつでも御案内できますが、すぐに赴かれますか?」
「ああ。」
と、頷き、俺たちは渓谷へと足を踏み入れた。
まるで秘境のような、その風景には、「一狩り○こうぜ!」のフレーズが良く似合う。
そう思うなり、[モ○スターハ○ター]のBGMが、勝手に脳内再生されてしまう俺だった―。
地面から3M程の高さを飛行する俺が、ほぼ真下にいるLV.102のスライムに、
「お前たちの国からの増援はないのか?」
と、訊ねてみたら、
「〝まずは、バラーキ王国の東方領を奪取して、地盤固めが済み次第、残りの領土を一つずつ確実に制圧していこう〟というのが、二将軍の策でございます。」
と答えた。
「それはまた、念入りだな。」
と、言ったところ、
「私どもスライムは、そもそも“最弱”がため、生まれつき慎重なのでございます。」
と解説した。
「成程な。」
と、得心していたら、国境付近に到着し、
「そう言や、ロード級は“気”を感じ取れるんだったな。」
と少なからず警戒する俺に、ジャイアントアントが、
「察知できるにしても、その範囲は“都一つ分”が限界の筈でございます。」
「魔王で“国一コ分”の規模かと…。」
と、説明した。
(どうやら、“カ○ロット”たちのように、世界中だとか、遠く離れた惑星だとかの〝気〟までは、キャッチできないようだな。)
(それならば、“ゴブリンの国”の時みたいな失敗を繰り返さずに済みそうだ。)
と肩の力を抜いた俺は、[スライムの国]を【絶対服従】させたのだ。
入国後――。
昼食休憩中に、
「“メタル系”って、この国にのみ生息しているのか?」
と、スライムの[西方領主]に聞いてみたところ、
「いえ。確か…、1~2体ほどではないかと…。」
「あまり目撃情報がございませんので、もしかしたら、ロード以外のメタル系は既に他国に移り住んだかも知れません。」
との事だった。
(もしも、某RPGと同じように、メタル系のスライムたちが“経験値”を多く所有していれば、レベルアップが可能だろう。)
と秘かに期待を寄せた俺は、この国の者たちに、『メタル系を探し出すように』と【伝言】した。
その際に、ロードと二将軍に動きを悟られぬよう、王都には“通常運転”を命じて。
5~6分が経った頃に、『南方領土内に在る“渓谷”に1体おります。』との情報が入ったので、そちらに向けて出発することにした。
さすがに、この大軍では動き辛いので、殆どを待機させる。
バラーキの王子たちは、
「我々が足手まといなのは承知しております。」
「ただ単に、〝バラーキの王族が敵討ちに乗り出した〟というのが、我らの国内に広まれば、それだけで充分なのでございます。」
と、述べた。
「ん?」
と首を傾げる俺に、トーキーの中将軍が、
「要は、“体裁を保つ”のが目的かと…。」
「そういう意味では、我らも同じです。〝同盟国と共に攻め込んだ〟という“義勇”を内外に示せれば、それで構いません。」
と、本音を吐露する。
これを受けてか、[トーキー魔物チーム]の参謀役であるジャイアントアントが、
「今は未だ、現魔王に目を付けられないよう、主様のことを伏せておくのであれば、これはこれで望ましい状態かと…。」
「〝勇者を筆頭にトーキー軍とバラーキ軍が奮起した〟とすれば、欺けるのではないでしょうか?」
と考えを表した。
(“カモフラージュ”か…。決して悪くはないな。)
「ならば。」
と、俺は、数を絞る。
勇者一行/魔法剣士/トーキーのモンスターたち/スライムの国におけるLV.80以上の魔物たち
に、したのだが…。
聖女と、トーキーの将軍たちが、納得せず、「我々もご一緒します!」と主張する。
「いや、聖女は一国の姫だし…、将軍どもは、自国の兵の面倒を見なきゃいけないだろ。」
と諭すも、
「私の身分は、お忘れください!」
「各隊長に任せれば問題ありません!!」
と、一歩も引かなかったので、連れていく事にした。
「全くもって、〝やれや○だぜ〟…。」
俺たちの野営地から北東へ小1時間ぐらいの距離に、その渓谷は存在している。
俺たちを出迎えたのは、5体の“リス型モンスター”だった。
身長は50㎝前後で、額に30㎝くらいの細い一本角が生えており、その角も体毛も緑色だが、瞳だけは紫色である。
なんでも、[ラタトスク]という種族らしい。
リーダー格が、
「お待ちしておりました、ご主君。」
と頭を下げ、他の者たちもそれに続いた。
「状況は?」
「はッ。我らの同族や、マタンゴ(キノコ)達や、ハニービー(蜂)たちなどが、見張っております。」
「いつでも御案内できますが、すぐに赴かれますか?」
「ああ。」
と、頷き、俺たちは渓谷へと足を踏み入れた。
まるで秘境のような、その風景には、「一狩り○こうぜ!」のフレーズが良く似合う。
そう思うなり、[モ○スターハ○ター]のBGMが、勝手に脳内再生されてしまう俺だった―。
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