異世界を服従して征く俺の物語!!

ネコのうた

文字の大きさ
上 下
37 / 350
- 第二期・各々の立場 -

第37話 東へ

しおりを挟む
『急用か?』

と、聞いてみたところ、蛇のモンスターが、

『なんでも、〝トーキーの同盟国から援軍要請がきた〟とのことで…、〝詳細は城にてお話させて戴きたいので、一度お戻りくださいませんか?〟と、王が申しておるそうでございます。』

と返してきた。


何を隠そう、俺は、[ゴーレムのダンジョン]へ出発する前に、

「もし何かあったらチヨーダ森林の川に行け。“念話”を使える魔物が居るから。」

と、王や宰相に指示しておいたのだ。


『分かった。〝すぐに戻る〟と使者に伝えといてくれ。』

と通信を絶った俺がみなに事情を説明したら、大将軍が、

「成程…。」
「して、如何いたします?!」

と、窺ってきたので、

「まぁ、例の如く俺一人で空を…。」

と発言している途中で、勇者が、

「お待ちください、主様。」
わたくし、何を隠そう、LV.30になった時に、〝瞬間転移〟を収得いたしております!」

と、右手を左胸に添えて、背筋を伸ばし、ドヤ顔してきた。

これに、聖女が、

「それでしたら、私も手に入れております!」
「なので、私の瞬間転移・・・・・・をお使いくださいませ。」

と、微笑んだ。

〝ムッ〟とした勇者が、

「いいえ、主様。私をお選びください。」

と歩み出たら、

「いえいえ、私でございまよねッ。主様♡」

と、聖女が対抗した。

「まぁ待て、お前たち。」
「ダンジョンに潜っている連中がまだいるから、先発隊と後続隊に分けよう。」

と仲裁に入ったところ、

「それであれば、勇者たる私が先発隊です!」

「違います。聖女である私に決まっております!」

「残念ながら、主様は私の方を好いておられますので、お引き下がりを!」

「主様は、私の方を愛してくださっていますので、そちらこそ!」

といった不毛なラリーが勃発した。

俺の右隣にいた【アサシン】でもある二年生の生徒会書記に、

「あいつらって、もともと仲良かったよな?」
「いつから、あんな感じになったんだ??」

と、訊ねてみたら、

「お二人は同年であり、どちらも特殊な存在なので、ライバル心が芽生えたのでございましょう…。〝主様にとっての一番〟を巡って。」

と回答したうえに、

「ちなみに、私は、二番目でも三番目でも構いません。」

と、目を〝キリッ☆〟とした。

俺の左隣にいる【クレリック】の一年生書記が、

「あの…、私も…、何番目であっても大丈夫です♡」

と便乗してデレるのだった。

「ああッ!もうッ! これじゃ埒が明かないわ! “じゃんけん”で決めましょう!」

と、提案した勇者に、聖女が、

「ジャン・ケン??」
「なんですの? それは…。」

と首を傾げる。

この世界には、“くじ引き”はあるものの、“じゃんけん”はないらしい。

勇者が一通り教えてあげたところ、

「良いでしょう。受けて立ちますわ!」

と、ルールを理解した聖女が拳を握る。

「じゃーんッ、けーんッ、ぽんッ!」の結果…。

“チョキ”の勇者が、“パー”を出した聖女に、勝利した。

「くぅ~ッ。」

と、悔しがる聖女を横目に、誇らしげな勇者が、

「それでは先に参りましょう、主様。」

と地面に魔法陣を展開する。

すると、小将軍が、

「姫殿下を一人きりにさせるわけにはいきませんので、私は残ります。」

と、頭を下げた。

「うむ。」
「では…、中将軍や魔法剣士などの、残りのメンバーが1階に上がってきたら、一緒に帰ってこい。」

と許可した俺は、その場に居合わせた約1600人(体?)と共に〝シュンッ!〟と消えた。


城の会議室には、国王/宰相/大将軍/勇者に、ミノタウロスとメスのジャイアントアントが出席した。

人間とじかに話せるようになったミノタウロスが、

「魔物代表として参加させて戴きとうございます!」

と、主張したのだ。

(一理ある)と思った俺だったが、ミノタウロスは割と〝バ〟から始まり、〝カ〟で終わるアレ・・なので、勤勉なタイプのジャイアントアントに参謀役として同席させた。

ちなみに、[バンドウイルカ]ではない。

あしからず…。

「で?」

と促したら、王が、

「かれこれ40年近く同盟関係にある、東の〝バラーキ王国〟が助けを求めておりまして…。」
「立場上、断る訳にもいきませんでしたもので。」

と、口を開いた。

「つまり…、〝どこか別の国に攻め込まれている〟ということか?」

と確認したところ、

「バラーキの東に位置する、通称〝スライムの国〟が相手の模様です。」

との事だった。

「ん? スライムって、そんなに強くないんじゃ??」

と、疑問を呈する俺に、ミノタウロスが、

「いえ、ご主君。彼奴等きゃつらは伸縮自在が故に、厄介でございます。」

と述べて、ジャイアントアントが、

「まるで、“簀巻すまき”の如く身体の自由を奪ってきたり、“投網”のように絡み付いては、そのまま窒息死させてきます。」

と、補足する。

(ふ~む…。)
(別の異世界に転生した、最強のスライムと言っても差し支えのない、“リ○ル=テン○スト”も、やたらと膨張するしな…。)

と俺は納得した。

更には、〝LV.50以上のスライムたちは、何かしらの[スキル]を得ているうえに、人の姿に[擬態化]できる〟という。

水色のスライムは様々な物を溶かす【溶融ようゆう】を、紫色は【毒】を、黄色は【混乱】を、そして赤色は【麻痺】を扱うのだとも…。

いずれにせよ、この“クエスト”を断ろうものなら、トーキー王国の信頼が失墜するだけでなく、服従させていない国々から俺が舐められかねない。

なので、聖女たちと合流した後に、東へ赴く意向を固めたのだった―。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界成り上がり物語~転生したけど男?!どう言う事!?~

ファンタジー
 高梨洋子(25)は帰り道で車に撥ねられた瞬間、意識は一瞬で別の場所へ…。 見覚えの無い部屋で目が覚め「アレク?!気付いたのか!?」との声に え?ちょっと待て…さっきまで日本に居たのに…。 確か「死んだ」筈・・・アレクって誰!? ズキン・・・と頭に痛みが走ると現在と過去の記憶が一気に流れ込み・・・ 気付けば異世界のイケメンに転生した彼女。 誰も知らない・・・いや彼の母しか知らない秘密が有った!? 女性の記憶に翻弄されながらも成り上がって行く男性の話 保険でR15 タイトル変更の可能性あり

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

魔法の数はステータス!? 転移した先は女性ばかりが魔法を使う世界!

三原みぱぱ
ファンタジー
ある日、剣と魔法のファンタジー世界に放り込まれた竜ヶ峰清人(リュウガミネ キヨト)。 美少女レイティアが嫁として現れる。 しかし、そんな甘い事ばかりではない。 強力な魔法が使えるのは女性のみ! 使える魔法の数がステータス(社会的地位)となる女性が強い世界。 男は守られるべき存在のこの世界で、魔法も剣も使えない主人公。   モンスターと戦えば足手まといと怒られ、街中で暴漢を止めようとするとぼこぼこにされる。 そんな俺Yoeee主人公は、金髪美少女のレイティアに恋人として認められるのか? 師匠である剣豪ムサシマル助けられながら、恋のライバル、アレックスやソフィアを交えて進む、ラブコメファンタジー! 感想、心よりお待ちしております。 完結しました! ノベルアッププラスで「ゼロの転移者」としてリニューアル連載していますよ。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

救世の魔法使い

菅原
ファンタジー
賢者に憧れる少年が、大魔法使いを目指し頑張るお話です。 今後の為に感想、ご意見お待ちしています。 作品について― この作品は、『臆病者の弓使い』と同じ世界観で書いたシリーズ物となります。 あちらを読んでいなくても問題ないように書いたつもりですが、そちらも読んで頂けたら嬉しいです。 ※主人公が不当な扱いを受けます。 苦手な人はご注意ください。 ※全編シリアスでお送りしております。ギャグ回といった物は皆無ですのでご注意ください。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

【完結】ご都合主義で生きてます。-商売の力で世界を変える。カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく-

ジェルミ
ファンタジー
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 その条件として女神に『面白楽しく生活でき、苦労をせずお金を稼いで生きていくスキルがほしい』と無理難題を言うのだった。 困った女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。 この味気ない世界を、創生魔法とカスタマイズ可能なストレージを使い、美味しくなる調味料や料理を作り世界を変えて行く。 はい、ご注文は? 調味料、それとも武器ですか? カスタマイズ可能なストレージで世の中を変えていく。 村を開拓し仲間を集め国を巻き込む産業を起こす。 いずれは世界へ通じる道を繋げるために。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...