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- 第二期・各々の立場 -
第32話 地下室にて
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事を済ませて、互いに着替え終わり、椅子に座った俺が、
「ところで、お前は何でそんなにレベルが高いんだ?」
と、質問してみたところ、床に跪いている【魔法剣士】が、
「暫くの間、ダンジョンに潜っておりましたので。」
と答えた。
「ダンジョン?」
「はい。王都より南西の〝ターカウォ山〟に在るダンジョンでして、そこはゴーレムの巣窟となっており、何階まであるのかは不明ですが…、下層へと進んでいく構造になっています。」
「ふむ?」
「…ゴーレムしかいないのか?」
「正直、分かりかねます、と言うのも、私はB3までしか行けませんでしたので。」
「ただ、土や岩などで造られた人型と動物型のゴーレムが数多く出現しまして…、倒したとて1時間後には復活してしまいます。」
「なに?」
「1つの階層に千体ほどが存在しているため、流石に完全制覇できませんでしたので、どういう仕組みなのか、その謎には辿り付けませんでした。」
(うぅ~む。RPGなんかでも、最下層とかのゴール地点に、何かしらの装置が置いてあったりするしな…。)
(それにしても…、レベルアップできる案件、キタ――――ッ☆!)
と、内心小躍りしながらも冷静さを装う俺は、
「よし、あいつを訪ねてみよう。」
と席を立った。
当たり前だが、王城は広い。
なので、俺の知らない場所は割と沢山ある。
好奇心に駆られたこともあって、探検がてら賢者のいる地下へと赴くことにした俺は、女魔法剣士を伴い、半螺旋状の階段を下りていく。
(地下なだけあって暗いのかな?)と思っていたが、階段にも廊下にも、その壁には縦30㎝×幅20㎝ぐらいの“五角柱のランタン”が規則正しく等間隔に設置されていたので、意外にも明るかった。
地下は、十字路になっており、30室ほどの部屋がある。
[トーキー王国科学開発班]の10人が、1人1部屋を所有しており、なかでも一番大きい部屋は“会議室”として用いているとの事だ。
その会議室に、科学開発班の10人が居て、〝あーでもない、こーでもない〟と、何やら議論していた。
全員が男であり、2人は高校の教師で、7人は生徒だが、もう1人は王宮魔術師だった。
この魔術師は、どうやら、科学に興味を示したらしい。
俺たちに気付いた彼らが、
「あ! ご主君!」
「如何なされました?」
「その女性は誰です?」
「丁度良いところにお越しくださいました。」
「魔銃に何か不備でも?」
と、同時に発言したので、
「いや、待て、分かんねぇよ!」
とツッコんだ。
冷静に話を聞いてみると、次に作るのは〝ピストル型か?〟あるいは〝ビーム砲か?〟で意見が分かれていたとのことだった。
「んー…、兵器も悪くないんだが、乗り物はどうだ?」
と訊ねてみたら、1人の教師が、自身の顎を右手で触りながら、
「乗り物、ですか…。」
と、眉間にシワを寄せる。
身長172~173㎝の、短髪で、無精ひげを生やし、眼鏡を掛けて、白衣を着用している、その彼が、
「この世界では、手に入らない材質や燃料がありますので、難しいかと…。」
と回答した。
「そっか…。」
と、諦めかけた俺だったが、フと(あの女子なら何かしらアイディアをもたらしてくれるかもしれない)と思い直し、
「心当たりがあるから、そっちは暫く待っていてくれ。」
と述べた。
「ところで、賢者は?」
との問いに、魔術師が
「書斎におられます。」
と教えてくれた。
残りの部屋のうち、一室は賢者のプライベートルームで、もう一室は書斎になっている。
そこを訪れてみたら、何やら書物に目を通していた彼が、こちらに気付き、
「これは、ご主君。」
「このような陰気臭い場所までわざわざお出でくださらくとも、呼び付けて戴ければお伺い致しましたのに…。」
と、立ち上がろうとしたので、
「そのままで良い。」
と促し、魔法剣士の体験談を伝えたら、
「なんと?! 本当に実在していたとは…。」
と、目を丸くした。
「あまり知られていないのか? そのダンジョンは。」
「文献には残っておりますが…、山に生息しているモンスター達が割と強いので、頂上に到達する前に亡くなる者が続出したようでございます。」
「頂上?」
と魔法剣士に視線を送ったところ、
「あぁ、はい。」
「山の一番上に遺跡のような建物がありまして…、内部には幾つかの部屋と食堂などが見受けられました。」
「で、そこから、階段を下っていく造りになっており、各階段の真横の床面には大きな魔方陣があって、地上1階へと転送されるようになっていました。」
と、説明した。
これに、賢者が、
「およそ千年前の魔導士たちが、数百人ものドワーフエルフを雇い、魔法と技術にて、遺跡・ダンジョン・ゴーレムを完成させたとか…。」
と口を開く。
更に、
「なんでも、“旧魔王”を屠る目的で、ゴーレムの生産および実験に着手したものの、あの時代における勇者の功労もあって封印に成功したがために、中止されてしまったそうです。」
「まぁ、他にも幾つかの説があるようでして、真実は不明となっておりますが…。」
と、補足した。
魔法剣士に、
「お前は、それを知って、挑んだんだな?」
「つーか、よく山のてっぺんまで登れたな。」
と素朴な疑問を投げかけてみたら、
「はい。諸国を旅して腕を磨いていましたので、ターカウォ山を目指す頃には、確か、LV.45を超えていたかと…。」
と、過去を振り返った―。
「ところで、お前は何でそんなにレベルが高いんだ?」
と、質問してみたところ、床に跪いている【魔法剣士】が、
「暫くの間、ダンジョンに潜っておりましたので。」
と答えた。
「ダンジョン?」
「はい。王都より南西の〝ターカウォ山〟に在るダンジョンでして、そこはゴーレムの巣窟となっており、何階まであるのかは不明ですが…、下層へと進んでいく構造になっています。」
「ふむ?」
「…ゴーレムしかいないのか?」
「正直、分かりかねます、と言うのも、私はB3までしか行けませんでしたので。」
「ただ、土や岩などで造られた人型と動物型のゴーレムが数多く出現しまして…、倒したとて1時間後には復活してしまいます。」
「なに?」
「1つの階層に千体ほどが存在しているため、流石に完全制覇できませんでしたので、どういう仕組みなのか、その謎には辿り付けませんでした。」
(うぅ~む。RPGなんかでも、最下層とかのゴール地点に、何かしらの装置が置いてあったりするしな…。)
(それにしても…、レベルアップできる案件、キタ――――ッ☆!)
と、内心小躍りしながらも冷静さを装う俺は、
「よし、あいつを訪ねてみよう。」
と席を立った。
当たり前だが、王城は広い。
なので、俺の知らない場所は割と沢山ある。
好奇心に駆られたこともあって、探検がてら賢者のいる地下へと赴くことにした俺は、女魔法剣士を伴い、半螺旋状の階段を下りていく。
(地下なだけあって暗いのかな?)と思っていたが、階段にも廊下にも、その壁には縦30㎝×幅20㎝ぐらいの“五角柱のランタン”が規則正しく等間隔に設置されていたので、意外にも明るかった。
地下は、十字路になっており、30室ほどの部屋がある。
[トーキー王国科学開発班]の10人が、1人1部屋を所有しており、なかでも一番大きい部屋は“会議室”として用いているとの事だ。
その会議室に、科学開発班の10人が居て、〝あーでもない、こーでもない〟と、何やら議論していた。
全員が男であり、2人は高校の教師で、7人は生徒だが、もう1人は王宮魔術師だった。
この魔術師は、どうやら、科学に興味を示したらしい。
俺たちに気付いた彼らが、
「あ! ご主君!」
「如何なされました?」
「その女性は誰です?」
「丁度良いところにお越しくださいました。」
「魔銃に何か不備でも?」
と、同時に発言したので、
「いや、待て、分かんねぇよ!」
とツッコんだ。
冷静に話を聞いてみると、次に作るのは〝ピストル型か?〟あるいは〝ビーム砲か?〟で意見が分かれていたとのことだった。
「んー…、兵器も悪くないんだが、乗り物はどうだ?」
と訊ねてみたら、1人の教師が、自身の顎を右手で触りながら、
「乗り物、ですか…。」
と、眉間にシワを寄せる。
身長172~173㎝の、短髪で、無精ひげを生やし、眼鏡を掛けて、白衣を着用している、その彼が、
「この世界では、手に入らない材質や燃料がありますので、難しいかと…。」
と回答した。
「そっか…。」
と、諦めかけた俺だったが、フと(あの女子なら何かしらアイディアをもたらしてくれるかもしれない)と思い直し、
「心当たりがあるから、そっちは暫く待っていてくれ。」
と述べた。
「ところで、賢者は?」
との問いに、魔術師が
「書斎におられます。」
と教えてくれた。
残りの部屋のうち、一室は賢者のプライベートルームで、もう一室は書斎になっている。
そこを訪れてみたら、何やら書物に目を通していた彼が、こちらに気付き、
「これは、ご主君。」
「このような陰気臭い場所までわざわざお出でくださらくとも、呼び付けて戴ければお伺い致しましたのに…。」
と、立ち上がろうとしたので、
「そのままで良い。」
と促し、魔法剣士の体験談を伝えたら、
「なんと?! 本当に実在していたとは…。」
と、目を丸くした。
「あまり知られていないのか? そのダンジョンは。」
「文献には残っておりますが…、山に生息しているモンスター達が割と強いので、頂上に到達する前に亡くなる者が続出したようでございます。」
「頂上?」
と魔法剣士に視線を送ったところ、
「あぁ、はい。」
「山の一番上に遺跡のような建物がありまして…、内部には幾つかの部屋と食堂などが見受けられました。」
「で、そこから、階段を下っていく造りになっており、各階段の真横の床面には大きな魔方陣があって、地上1階へと転送されるようになっていました。」
と、説明した。
これに、賢者が、
「およそ千年前の魔導士たちが、数百人ものドワーフエルフを雇い、魔法と技術にて、遺跡・ダンジョン・ゴーレムを完成させたとか…。」
と口を開く。
更に、
「なんでも、“旧魔王”を屠る目的で、ゴーレムの生産および実験に着手したものの、あの時代における勇者の功労もあって封印に成功したがために、中止されてしまったそうです。」
「まぁ、他にも幾つかの説があるようでして、真実は不明となっておりますが…。」
と、補足した。
魔法剣士に、
「お前は、それを知って、挑んだんだな?」
「つーか、よく山のてっぺんまで登れたな。」
と素朴な疑問を投げかけてみたら、
「はい。諸国を旅して腕を磨いていましたので、ターカウォ山を目指す頃には、確か、LV.45を超えていたかと…。」
と、過去を振り返った―。
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