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- 第一期・異世界召喚 -
第23話 意外な顛末
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【魔法の盾】を全て解いた“ゴブリンシャーマン”が、巨大なブロンド色の魔法陣を地上に出現させる。
これまた、
(やっべぇーッ!!)
と思った次の瞬間、シャーマンが両手で持った杖の先を地面に突き刺した。
それと同時に、地面が無数に隆起する。
その大きさは、全長1M~10Mと様々だ。
俺のように飛べる連中は上空に避難したが、それが出来ないモンスターたちはダメージを負った。
幸い、命を落とした者はいなかったが、多くがその場に蹲《うずくま》っている。
「にゃろぉおおッ!!」
と、俺は無謀にも突撃した。
相手は、またも左の掌を突き出し、【マジック・シールド】で防ぐ。
ガキィィィィンッ!!
という音と共に、火花が散った。
後方に下がりながら着地した俺は、敵を睨み付ける。
「ふぉッ、ふぉッ、ふぉッ、そんな目をしても無駄じゃ、儂には勝てん。」
「潔く降伏したらどうじゃ?」
「ま、お前だけは殺すがのッ。」
と余裕綽々のゴブリンシャーマンに、
「老いぼれのくせにぃ~ッ。」
と、歯ぎしりする。
だが、フと気になった俺は戦闘中にも関わらず、
「そう言や、何で、俺たちの動向が分かったんだ?」
と質問を投げかけてみた。
「む?時間稼ぎか?」
「…まぁ良い。」
「アサシンたちのなかでもレベルが高い者らは、スキル“隠密行動”を取得しておるからのぉ。」
「魔物の国は、人間の所よりも下剋上が激しい故に、定期的に国内を探らせておるのじゃよ。」
「ん?でも、この国は俺が服従させ…、あ!」
「うむ、そうじゃ。」
「推察通り、お前がまだ従えておらん中央の者たちじゃ。」
…、失敗した。
中央の連中まで【服従】させてしまうと、“ゴブリンロード”たちが即座に異変を察知するだろうと思って後回しにしたのが、仇《あだ》になってしまったようだ。
「て事は…、他の将軍らもそれぞれ?」
「うむ。北・東・西に向かったわい。今頃、全滅させられておるかもしれんのぉ~。」
(こりゃ参った、お手上げだ。)
(どんな攻撃もコイツには効かないとなれば、死を覚悟するっきゃない。)
(“咆哮”や“絶対服従”も無意味だしな~。)
(なんか他にいい攻撃ないか?)
と、頭をフル回転させていたら、
「もう良いかの?」
「それでは先ず、お前から止めを刺してやろう。」
「…いや、お前さえ死滅すれば、他の者たちは元に戻る、と、言ったところかのう?」
などと何やら述べていたようだが、おもいっきり聞き流していた俺は、左の掌を突き出して直径5Mの紫色の魔法陣を展開した。
「むッ!?」
と再び[魔法の盾]を発動して構えるシャーマンに、俺の魔法陣から[猛毒]が噴射する。
紫色の毒霧が、
フシュウゥゥゥ――ッ!
と、敵に迫った。
当然、【魔法の盾】に阻まれ、相手は〝ニヤリ〟としたが、すぐに状況を理解して焦りだす。
“シールド”という障害物にぶつかって気流が変わった霧が、上下左右から回り込んでいき、ゴブリンシャーマンを包んだ。
「ぬおッ!!」
と呻いた次に、
「異常回復!」
と、聞こえてきて、
毒霧が晴れると、
「ゼェハァ、ゼェハァ。」
と片膝ついて呼吸を乱していた。
「おのれッ!」
と、立ち上がったシャーマンはHPが100ポイント減っている。
逆に、ニヤリと口元を緩めた俺は、もう一度[猛毒]を浴びせ掛けた。
ここからは、猛毒→「ふがッ!」とヒットして片膝を着く→[異常回復]して立ち上がる→猛毒→「うごッ!」とヒットして・・・・、が10回ぐらい繰り返されていく。
そもそも、[魔法使い]や[ビショップ]に[狙撃手]は、他のジョブより基本HPが低い。
ビショップから進化した[シャーマン]は、これらの倍はあるものの、合計で1000ポイントのダメージとなり、残りのHPが210となった。
ま、これが〝普通の毒〟であれば30ポイントずつくらいしか減少させていけなかっただろうが、猛毒というのが効果的だったようだ。
「いい加減にせんかぁあ――ッ!!」
と激怒した敵の背後に、いつの間にか接近していたガーゴイルが、所持していた中剣を左から右へと薙ぎ払い、首を刎ねた。
ゴブリンシャーマンの胴体が前のめりに〝ドサッ!〟と倒れて、獣の兜と離れ離れになった頭が〝ポーン!ポンッ!ゴロゴロゴロゴロ~…〟と転がっていく。
まさかの事態に、そのガーゴイル以外の者たちが固まった。
が、2~3秒後には四方八方から、
「ええええ~~~~??!!」
との声が沸き起こった。
それに、〝ハッ!〟としたガーゴイルが地面に正座して、
「大変、失礼いたしましたぁッ!!」
「後ろから見ていて、〝コイツ、なんか無防備だなぁ~〟と思ったら、体が動いておりまして…。」
「ご主君を差し置いて首級を挙げるなど以ての外!」
「どうか罰してくださいませぇッ!!」
と、額を地に擦り付ける。
平に謝るガーゴイルに、
「いや、いい。寧ろ良くやった!」
〝グッジョブ!〟と俺は左の親指を立てたのだった―。
これまた、
(やっべぇーッ!!)
と思った次の瞬間、シャーマンが両手で持った杖の先を地面に突き刺した。
それと同時に、地面が無数に隆起する。
その大きさは、全長1M~10Mと様々だ。
俺のように飛べる連中は上空に避難したが、それが出来ないモンスターたちはダメージを負った。
幸い、命を落とした者はいなかったが、多くがその場に蹲《うずくま》っている。
「にゃろぉおおッ!!」
と、俺は無謀にも突撃した。
相手は、またも左の掌を突き出し、【マジック・シールド】で防ぐ。
ガキィィィィンッ!!
という音と共に、火花が散った。
後方に下がりながら着地した俺は、敵を睨み付ける。
「ふぉッ、ふぉッ、ふぉッ、そんな目をしても無駄じゃ、儂には勝てん。」
「潔く降伏したらどうじゃ?」
「ま、お前だけは殺すがのッ。」
と余裕綽々のゴブリンシャーマンに、
「老いぼれのくせにぃ~ッ。」
と、歯ぎしりする。
だが、フと気になった俺は戦闘中にも関わらず、
「そう言や、何で、俺たちの動向が分かったんだ?」
と質問を投げかけてみた。
「む?時間稼ぎか?」
「…まぁ良い。」
「アサシンたちのなかでもレベルが高い者らは、スキル“隠密行動”を取得しておるからのぉ。」
「魔物の国は、人間の所よりも下剋上が激しい故に、定期的に国内を探らせておるのじゃよ。」
「ん?でも、この国は俺が服従させ…、あ!」
「うむ、そうじゃ。」
「推察通り、お前がまだ従えておらん中央の者たちじゃ。」
…、失敗した。
中央の連中まで【服従】させてしまうと、“ゴブリンロード”たちが即座に異変を察知するだろうと思って後回しにしたのが、仇《あだ》になってしまったようだ。
「て事は…、他の将軍らもそれぞれ?」
「うむ。北・東・西に向かったわい。今頃、全滅させられておるかもしれんのぉ~。」
(こりゃ参った、お手上げだ。)
(どんな攻撃もコイツには効かないとなれば、死を覚悟するっきゃない。)
(“咆哮”や“絶対服従”も無意味だしな~。)
(なんか他にいい攻撃ないか?)
と、頭をフル回転させていたら、
「もう良いかの?」
「それでは先ず、お前から止めを刺してやろう。」
「…いや、お前さえ死滅すれば、他の者たちは元に戻る、と、言ったところかのう?」
などと何やら述べていたようだが、おもいっきり聞き流していた俺は、左の掌を突き出して直径5Mの紫色の魔法陣を展開した。
「むッ!?」
と再び[魔法の盾]を発動して構えるシャーマンに、俺の魔法陣から[猛毒]が噴射する。
紫色の毒霧が、
フシュウゥゥゥ――ッ!
と、敵に迫った。
当然、【魔法の盾】に阻まれ、相手は〝ニヤリ〟としたが、すぐに状況を理解して焦りだす。
“シールド”という障害物にぶつかって気流が変わった霧が、上下左右から回り込んでいき、ゴブリンシャーマンを包んだ。
「ぬおッ!!」
と呻いた次に、
「異常回復!」
と、聞こえてきて、
毒霧が晴れると、
「ゼェハァ、ゼェハァ。」
と片膝ついて呼吸を乱していた。
「おのれッ!」
と、立ち上がったシャーマンはHPが100ポイント減っている。
逆に、ニヤリと口元を緩めた俺は、もう一度[猛毒]を浴びせ掛けた。
ここからは、猛毒→「ふがッ!」とヒットして片膝を着く→[異常回復]して立ち上がる→猛毒→「うごッ!」とヒットして・・・・、が10回ぐらい繰り返されていく。
そもそも、[魔法使い]や[ビショップ]に[狙撃手]は、他のジョブより基本HPが低い。
ビショップから進化した[シャーマン]は、これらの倍はあるものの、合計で1000ポイントのダメージとなり、残りのHPが210となった。
ま、これが〝普通の毒〟であれば30ポイントずつくらいしか減少させていけなかっただろうが、猛毒というのが効果的だったようだ。
「いい加減にせんかぁあ――ッ!!」
と激怒した敵の背後に、いつの間にか接近していたガーゴイルが、所持していた中剣を左から右へと薙ぎ払い、首を刎ねた。
ゴブリンシャーマンの胴体が前のめりに〝ドサッ!〟と倒れて、獣の兜と離れ離れになった頭が〝ポーン!ポンッ!ゴロゴロゴロゴロ~…〟と転がっていく。
まさかの事態に、そのガーゴイル以外の者たちが固まった。
が、2~3秒後には四方八方から、
「ええええ~~~~??!!」
との声が沸き起こった。
それに、〝ハッ!〟としたガーゴイルが地面に正座して、
「大変、失礼いたしましたぁッ!!」
「後ろから見ていて、〝コイツ、なんか無防備だなぁ~〟と思ったら、体が動いておりまして…。」
「ご主君を差し置いて首級を挙げるなど以ての外!」
「どうか罰してくださいませぇッ!!」
と、額を地に擦り付ける。
平に謝るガーゴイルに、
「いや、いい。寧ろ良くやった!」
〝グッジョブ!〟と俺は左の親指を立てたのだった―。
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