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- 第一期・異世界召喚 -
第15話 爆撃
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やっちまった。
RPGと同じくHPやMPを回復させる手段の一つとして〝睡眠〟があるのだが…、この世界では7~8時間ぐらい眠らないとフル充電されない仕組みとなっている。
要塞都市の指揮官とハッスルした所為で、2~3時間ほどしか寝ていない俺のマジックポイントは、今現在、494となっている。
屋敷の外にある喫煙所で一服しながら、陽光の眩しさを感じていると、
『主様!』
とコンタクトを取ってくる者があった。
王城から一緒に来ていたメスの鳥型モンスターだ。
『どうした?』
と、返したところ、
『はッ、早朝より、空を飛べる者たちで見回りしていましたところ、敵の第二陣が国境に迫っているのを確認できました。』
との事だったので、
『分かった、直ぐに向かう。』
『皆は攻撃される前に引き上げろ。』
と、命令した。
【念話】によって3ポイント消費したので、心許なくなった俺は、アイテムBOXから〝MP回復ポーション〟を取り出して、一気に飲み干す。
これ(+20)でMPが511となった。
付け焼き刃だが仕方ない。
今にしてみれば、各種ポーションを補充していなかったのが悔やまれる。
背中から翼を出現させた俺は、国境へと飛び立った。
途中ですれ違った魔物たちがお辞儀したので、それに対して「うむ」と頷き、現場へと急ぐ。
ほどなくして、既に国境を越えていたサータの第二陣およそ200万を目視できた。
上空30M程の位置で、
「侵入者どもよ、今すぐ引き返せ!」
「さすれば命までは奪わん!」
と警告する。
軍勢が行進を止めたので、退却するかと様子を見守っていたら、最後尾から、
「魔法隊および狙撃隊、構えいッ!!」
と聞こえてきた。
(どうやら応じる気はなさそうだ。)
と、敵の戦意を受け止めた俺は、両の掌を下向きで突き出す。
これに伴い、敵軍の前方に居る50万人の歩兵が収まるぐらい大きな魔法陣が地面に現れた。
ちなみに、この魔法陣は、白とオレンジが入り混じった暖色系である。
内側に向けた左右の手を、スーッと自身の胸元あたりまで上げていく。
すると、魔法陣の中心から野球ボールくらいの光の玉が浮き出てきた。
やはり白とオレンジが入り混じったこの玉は、敵の腰ほどの高さでピタッと静止する。
「せめてもの情けだ、苦しまずに旅立つが良い。」
と言葉を掛けた俺は、手の平をパチン!と叩き合わせると共に、全ての指を組んだ。
これに共鳴したかのように〝ブゥゥゥゥン〟と音を発した光の玉が、見る見るうちに巨大化していき、ドーム型に変貌を遂げた。
最大値にまで膨れ上がると、
ズッドオオオオォォォォンッ!!!!
と爆発して、〝ビリビリビリビリッ〟と大気を震わせる。
当然のように50万の兵は跡形も残らず消え去っていた。
何はともあれ、これによって500ポイントのMPを使用してしまったらしい。
万全であれば1000ポイントを消費して、倍の敵を屠れただろう…。
人も馬もパニックに陥り、各々に喚き散らしながら逃げ惑う。
もし反撃されていたら対応しきれなかったかもしれないだけに、ホッと安堵した。
全員が心折れただろうと満足気になった俺に反発するかのように、白馬に乗った銀騎士ただ一人だけが、
「なにをしとる!?」
「勝手に退却するでない!」
「敵前逃亡は恥と知れいッ!!」
と、叱咤激励している。
中世ヨーロッパ風の、銀色の甲冑&白マントに、ランスを装備しているようだ。
俺は、この気骨の持ち主に近づいていく―。
RPGと同じくHPやMPを回復させる手段の一つとして〝睡眠〟があるのだが…、この世界では7~8時間ぐらい眠らないとフル充電されない仕組みとなっている。
要塞都市の指揮官とハッスルした所為で、2~3時間ほどしか寝ていない俺のマジックポイントは、今現在、494となっている。
屋敷の外にある喫煙所で一服しながら、陽光の眩しさを感じていると、
『主様!』
とコンタクトを取ってくる者があった。
王城から一緒に来ていたメスの鳥型モンスターだ。
『どうした?』
と、返したところ、
『はッ、早朝より、空を飛べる者たちで見回りしていましたところ、敵の第二陣が国境に迫っているのを確認できました。』
との事だったので、
『分かった、直ぐに向かう。』
『皆は攻撃される前に引き上げろ。』
と、命令した。
【念話】によって3ポイント消費したので、心許なくなった俺は、アイテムBOXから〝MP回復ポーション〟を取り出して、一気に飲み干す。
これ(+20)でMPが511となった。
付け焼き刃だが仕方ない。
今にしてみれば、各種ポーションを補充していなかったのが悔やまれる。
背中から翼を出現させた俺は、国境へと飛び立った。
途中ですれ違った魔物たちがお辞儀したので、それに対して「うむ」と頷き、現場へと急ぐ。
ほどなくして、既に国境を越えていたサータの第二陣およそ200万を目視できた。
上空30M程の位置で、
「侵入者どもよ、今すぐ引き返せ!」
「さすれば命までは奪わん!」
と警告する。
軍勢が行進を止めたので、退却するかと様子を見守っていたら、最後尾から、
「魔法隊および狙撃隊、構えいッ!!」
と聞こえてきた。
(どうやら応じる気はなさそうだ。)
と、敵の戦意を受け止めた俺は、両の掌を下向きで突き出す。
これに伴い、敵軍の前方に居る50万人の歩兵が収まるぐらい大きな魔法陣が地面に現れた。
ちなみに、この魔法陣は、白とオレンジが入り混じった暖色系である。
内側に向けた左右の手を、スーッと自身の胸元あたりまで上げていく。
すると、魔法陣の中心から野球ボールくらいの光の玉が浮き出てきた。
やはり白とオレンジが入り混じったこの玉は、敵の腰ほどの高さでピタッと静止する。
「せめてもの情けだ、苦しまずに旅立つが良い。」
と言葉を掛けた俺は、手の平をパチン!と叩き合わせると共に、全ての指を組んだ。
これに共鳴したかのように〝ブゥゥゥゥン〟と音を発した光の玉が、見る見るうちに巨大化していき、ドーム型に変貌を遂げた。
最大値にまで膨れ上がると、
ズッドオオオオォォォォンッ!!!!
と爆発して、〝ビリビリビリビリッ〟と大気を震わせる。
当然のように50万の兵は跡形も残らず消え去っていた。
何はともあれ、これによって500ポイントのMPを使用してしまったらしい。
万全であれば1000ポイントを消費して、倍の敵を屠れただろう…。
人も馬もパニックに陥り、各々に喚き散らしながら逃げ惑う。
もし反撃されていたら対応しきれなかったかもしれないだけに、ホッと安堵した。
全員が心折れただろうと満足気になった俺に反発するかのように、白馬に乗った銀騎士ただ一人だけが、
「なにをしとる!?」
「勝手に退却するでない!」
「敵前逃亡は恥と知れいッ!!」
と、叱咤激励している。
中世ヨーロッパ風の、銀色の甲冑&白マントに、ランスを装備しているようだ。
俺は、この気骨の持ち主に近づいていく―。
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