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- 第一期・異世界召喚 -
第14話 要塞にて
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俺は、屋敷から東に5~6M離れた場所に着地した。
ゾロゾロと集まってきた兵士たちが俺を取り囲むようにして跪く。
ほぼ正面にいる女性が、
「お初にお目にかかります、主様。」
「自分はこの要塞を任されている指揮官にございます。」
と挨拶してきたのである。
「うむ、皆、楽にせよ。」
俺は、その場にいた全員を立たせた。
身長167~168㎝ほどの指揮官は、露出度高めな紫色の甲冑を身に纏い、斧を所持している。
明らかに【戦士】だ。
年齢は27で、健康的な褐色の肌に、鍛え上げられた筋肉と、白く塗っている唇が、目を引く。
青色と黒色が混ざり合わさったような髪は背中あたりまでの長さがあり、アフロっぽい仕上がりになっている。
【可視化】で確認してみたところ、レベルは30だった。
彼女の案内で東砦の軍議室に通される。
全ての砦に軍議室はあるのだが、門は要塞の東と西にしかない。
要するに、東側で戦っていた大将軍と勇者に近い場所を選んでくれたのだ。
テーブルの右列には、その大将軍と勇者が、左列には指揮官と副官が座った。
副官は齢33の優男だ。
肌は白く、腰まである黒髪を背中あたりで一つに束ねている。
こちらは、LV.26の【狙撃手】であるという事が分かった。
【狙撃手】の武器は基本的に弓矢だが、パチンコで石などを敵に飛ばすタイプの者たちもいる。
某・海賊王を目指す麦わらの青年のクルーにいる、長鼻の男みたいに。
「改めて、ご主君に御礼申し上げます。」
「我ら一同をお助けいただき、誠にありがとうございました。」
副官が頭を下げる。
「いや、少なからず到着が遅れてしまったことを詫びよう。」
と、言ったところ、指揮官が、
「滅相もございません。」
「駆け付けてくださったお陰で多くの命が救われたのですから。」
と感謝してくれた。
「どれくらいの者が犠牲になった?」
と、訊ねてみたら、副官が、
「まだ集計中ですが、1万人程が亡くなったかと…。」
と答えた。
これに対し、大将軍が、
「勇敢なる者たちを称え、心からの冥福を祈ろう。」
と、両眼を閉じたのだった…。
その夜は祝勝会が催された。
犠牲者の葬儀は明日以降に執り行うとの事だ。
敵の第二陣に備えて、要塞の北側に移動していた王都からの援軍にも、酒が振る舞われた。
ちなみに、彼らが使用しているテントは、モンゴル人たちの[ゲル]のような感じだが、形は四角錐だ。
3時間ぐらい飲食した後に、俺と大将軍に勇者が、休むために野営地へ移ろうとしたところ、指揮官である女戦士が、
「主様はお残りください。まだ礼を尽くし切れていませんので。」
と俺を引き留める。
これには何かを察した勇者が無言で奥歯を噛みしめていた。
要塞都市に在る屋敷は指揮官である彼女の住処だ。
その寝室にて、一夜を共にした俺たちは、いつの間にか眠りに落ちていたのであった―。
ゾロゾロと集まってきた兵士たちが俺を取り囲むようにして跪く。
ほぼ正面にいる女性が、
「お初にお目にかかります、主様。」
「自分はこの要塞を任されている指揮官にございます。」
と挨拶してきたのである。
「うむ、皆、楽にせよ。」
俺は、その場にいた全員を立たせた。
身長167~168㎝ほどの指揮官は、露出度高めな紫色の甲冑を身に纏い、斧を所持している。
明らかに【戦士】だ。
年齢は27で、健康的な褐色の肌に、鍛え上げられた筋肉と、白く塗っている唇が、目を引く。
青色と黒色が混ざり合わさったような髪は背中あたりまでの長さがあり、アフロっぽい仕上がりになっている。
【可視化】で確認してみたところ、レベルは30だった。
彼女の案内で東砦の軍議室に通される。
全ての砦に軍議室はあるのだが、門は要塞の東と西にしかない。
要するに、東側で戦っていた大将軍と勇者に近い場所を選んでくれたのだ。
テーブルの右列には、その大将軍と勇者が、左列には指揮官と副官が座った。
副官は齢33の優男だ。
肌は白く、腰まである黒髪を背中あたりで一つに束ねている。
こちらは、LV.26の【狙撃手】であるという事が分かった。
【狙撃手】の武器は基本的に弓矢だが、パチンコで石などを敵に飛ばすタイプの者たちもいる。
某・海賊王を目指す麦わらの青年のクルーにいる、長鼻の男みたいに。
「改めて、ご主君に御礼申し上げます。」
「我ら一同をお助けいただき、誠にありがとうございました。」
副官が頭を下げる。
「いや、少なからず到着が遅れてしまったことを詫びよう。」
と、言ったところ、指揮官が、
「滅相もございません。」
「駆け付けてくださったお陰で多くの命が救われたのですから。」
と感謝してくれた。
「どれくらいの者が犠牲になった?」
と、訊ねてみたら、副官が、
「まだ集計中ですが、1万人程が亡くなったかと…。」
と答えた。
これに対し、大将軍が、
「勇敢なる者たちを称え、心からの冥福を祈ろう。」
と、両眼を閉じたのだった…。
その夜は祝勝会が催された。
犠牲者の葬儀は明日以降に執り行うとの事だ。
敵の第二陣に備えて、要塞の北側に移動していた王都からの援軍にも、酒が振る舞われた。
ちなみに、彼らが使用しているテントは、モンゴル人たちの[ゲル]のような感じだが、形は四角錐だ。
3時間ぐらい飲食した後に、俺と大将軍に勇者が、休むために野営地へ移ろうとしたところ、指揮官である女戦士が、
「主様はお残りください。まだ礼を尽くし切れていませんので。」
と俺を引き留める。
これには何かを察した勇者が無言で奥歯を噛みしめていた。
要塞都市に在る屋敷は指揮官である彼女の住処だ。
その寝室にて、一夜を共にした俺たちは、いつの間にか眠りに落ちていたのであった―。
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