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Chapter 1/最初の国
№64 玉響①
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翌日のAM08:55過ぎ――。
ヤトが“ログイン”してきた。
フラルン帝都の[サークルスクエア]にて、
「あ。」
ヤトの視界に入ったのは、シューラの右側面である。
互いの距離は10Mあたりだろう。
どちらのパーティーメンバーも、まだ、訪れていない。
こうした状況で、
(どうする??)
(声、かけてみるか?)
(でも、何を喋ればいいんだ??)
ヤトの心臓が〝バクバク〟しだす。
(えぇ~いッ!! ビビッてんじゃねぇよ俺!)
(度胸、出せって!!)
覚悟を決め、〝すぅ― はぁ―〟と呼吸したヤトが、シューラへと歩きだした。
その表情からは明らかに緊張の色が窺える。
「あの…。」
「おは、よう。」
どうにか挨拶した彼に、正面を向いたシューラが、
「……、誰?」
首を傾げる。
「あ、その…、俺、ヤトっていうんだけど、君は??」
“少年武士”が勇気をもって尋ねたところ、
「……、シューラ。」
このように返す“少女剣士”だった。
そこへ、
「シューラちゃぁ~ん。」
女性に呼ばれ、“金髪セミロングに碧眼の女子”が首を左に動かす。
「あら?」
「知り合いぃ??」
こう質問したのは、“白魔術士のセイラン”であった。
「ううん、初対面。」
そのように答えたシューラが、
「皆は?」
逆に訊ねる。
「殆ど集まってるわよぉ、ほらぁ。」
“茶髪ゆるふわセミロング”の彼女が後ろに視線を送り、これにシューラが続く。
15Mほど離れた位置には[Team S]の多くが見受けられた。
このグループの近くに【テレポート】してきたのは、“男性騎士のサーガ”と“少年黒魔術士のソソ”だった。
「あれで、全員、揃ったわねぇ。」
そう述べたセイランに、無言で頷いたシューラが、
「じゃあ、私、もう行くから。」
ヤトに別れを告げて、仲間へと進みだす。
「あ~、もしかしてぇ、お邪魔しちゃったかしらぁ??」
「ごめんなさいねぇ。」
少なからず申し訳なさそうにしたセイランは、
「それじゃぁねぇ~。」
ヤトに手を振り、小走りでシューラを追い掛ける。
いささかフリーズしていた“中学生男子”が、
(シューラっていうのか…。)
(やっぱ、可愛かったなぁ~。)
(ちょっとだけだったけど会話もできたし……、よっしゃぁッ!)
両手で軽くガッツポーズした。
こうした彼の背後より、
「ヤトぉ―。」
声を掛けてきたのは、クマッシーである。
その右隣にはニケがいた。
「お、おう。」
どこか素っ気なく応えたヤトに、
「さっきの子か?」
「昨日、宿屋で言ってたのは??」
ニケが核心を突く。
「うッ?!!」
「見てたのか??」
ヤトが眉間にシワを寄せたタイミングで、
「おぉ~い!」
[イッチューズ]の女子三人組が、カリンを先頭に駆けてきた。
合流するなり、ふと勘づいたらしいカリンが、
「何かあった?」
素朴な疑問を投げかける。
“謎の少女”に恋していることがバレたくないがため、
「べ、別に??」
「ただ単に、これからの動きを相談してたとこだけど?」
いささか焦りつつ、
「な??」
同意を求めたヤトを、
「あー、うん。」
クマッシーと、
「まぁ、な。」
ニケが、揃って助けてあげた。
これらの態度に、どこか釈然としないながらも〝ふぅ~ん〟と理解を示したカリンである。
いずれにしろ。
「それで?」
「とりあえず、どうするの??」
そう聞いてきたセブンに、
「まずは、昨日の討伐クエストで獲得したジュエルとかを、売却しようぜ。」
このように提案するヤトであった…。
▽
“シールダーのシリウス”が、
「あれから、入手したアイテム類をチェックしたんだけど……。」
[画面]を操作して、
「サキ。」
「“契約の書”を一つゲットしてたみたいだから、渡しとく。」
こう伝えたのである。
受け取った用紙を確認し、
「キラービー。」
「“メスの蜂”だね。」
“女性召喚士”が簡略的に説明したところで、皆がシューラに注目しだす。
既に、右手を顎に添えて、何やら〝ブツブツ〟と口にしていた本人は、
「“メラービ”で、どう??」
どこか楽しげに窺ったのである。
今回もまた反対する者がいなかったので、そのように決定したのだった―。
ヤトが“ログイン”してきた。
フラルン帝都の[サークルスクエア]にて、
「あ。」
ヤトの視界に入ったのは、シューラの右側面である。
互いの距離は10Mあたりだろう。
どちらのパーティーメンバーも、まだ、訪れていない。
こうした状況で、
(どうする??)
(声、かけてみるか?)
(でも、何を喋ればいいんだ??)
ヤトの心臓が〝バクバク〟しだす。
(えぇ~いッ!! ビビッてんじゃねぇよ俺!)
(度胸、出せって!!)
覚悟を決め、〝すぅ― はぁ―〟と呼吸したヤトが、シューラへと歩きだした。
その表情からは明らかに緊張の色が窺える。
「あの…。」
「おは、よう。」
どうにか挨拶した彼に、正面を向いたシューラが、
「……、誰?」
首を傾げる。
「あ、その…、俺、ヤトっていうんだけど、君は??」
“少年武士”が勇気をもって尋ねたところ、
「……、シューラ。」
このように返す“少女剣士”だった。
そこへ、
「シューラちゃぁ~ん。」
女性に呼ばれ、“金髪セミロングに碧眼の女子”が首を左に動かす。
「あら?」
「知り合いぃ??」
こう質問したのは、“白魔術士のセイラン”であった。
「ううん、初対面。」
そのように答えたシューラが、
「皆は?」
逆に訊ねる。
「殆ど集まってるわよぉ、ほらぁ。」
“茶髪ゆるふわセミロング”の彼女が後ろに視線を送り、これにシューラが続く。
15Mほど離れた位置には[Team S]の多くが見受けられた。
このグループの近くに【テレポート】してきたのは、“男性騎士のサーガ”と“少年黒魔術士のソソ”だった。
「あれで、全員、揃ったわねぇ。」
そう述べたセイランに、無言で頷いたシューラが、
「じゃあ、私、もう行くから。」
ヤトに別れを告げて、仲間へと進みだす。
「あ~、もしかしてぇ、お邪魔しちゃったかしらぁ??」
「ごめんなさいねぇ。」
少なからず申し訳なさそうにしたセイランは、
「それじゃぁねぇ~。」
ヤトに手を振り、小走りでシューラを追い掛ける。
いささかフリーズしていた“中学生男子”が、
(シューラっていうのか…。)
(やっぱ、可愛かったなぁ~。)
(ちょっとだけだったけど会話もできたし……、よっしゃぁッ!)
両手で軽くガッツポーズした。
こうした彼の背後より、
「ヤトぉ―。」
声を掛けてきたのは、クマッシーである。
その右隣にはニケがいた。
「お、おう。」
どこか素っ気なく応えたヤトに、
「さっきの子か?」
「昨日、宿屋で言ってたのは??」
ニケが核心を突く。
「うッ?!!」
「見てたのか??」
ヤトが眉間にシワを寄せたタイミングで、
「おぉ~い!」
[イッチューズ]の女子三人組が、カリンを先頭に駆けてきた。
合流するなり、ふと勘づいたらしいカリンが、
「何かあった?」
素朴な疑問を投げかける。
“謎の少女”に恋していることがバレたくないがため、
「べ、別に??」
「ただ単に、これからの動きを相談してたとこだけど?」
いささか焦りつつ、
「な??」
同意を求めたヤトを、
「あー、うん。」
クマッシーと、
「まぁ、な。」
ニケが、揃って助けてあげた。
これらの態度に、どこか釈然としないながらも〝ふぅ~ん〟と理解を示したカリンである。
いずれにしろ。
「それで?」
「とりあえず、どうするの??」
そう聞いてきたセブンに、
「まずは、昨日の討伐クエストで獲得したジュエルとかを、売却しようぜ。」
このように提案するヤトであった…。
▽
“シールダーのシリウス”が、
「あれから、入手したアイテム類をチェックしたんだけど……。」
[画面]を操作して、
「サキ。」
「“契約の書”を一つゲットしてたみたいだから、渡しとく。」
こう伝えたのである。
受け取った用紙を確認し、
「キラービー。」
「“メスの蜂”だね。」
“女性召喚士”が簡略的に説明したところで、皆がシューラに注目しだす。
既に、右手を顎に添えて、何やら〝ブツブツ〟と口にしていた本人は、
「“メラービ”で、どう??」
どこか楽しげに窺ったのである。
今回もまた反対する者がいなかったので、そのように決定したのだった―。
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