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Chapter 1/最初の国
№53 WWにおける設定⑩
しおりを挟む「飛行機で来たらあかんよ。新幹線にしとき!!飛行機に乗ったらあかん!!」
大阪のおばあちゃんが、また電話をかけてきました。
―その夏、東京に住むKさん一家は、お父さんの実家がある大阪に帰省する予定でした。
いつもは新幹線で帰るのですが、その時はKさんのたっての希望で飛行機のチケットを取っていました。
ちなみに、Kさんとは、私の会社と取引のある保険会社の担当者。
当時はまだ小学校にあがったばかりだったそうです。
Kさんは飛行機に乗るのは初めてで、それはそれは楽しみにしておりました。
しかし、おばあちゃんが余りにしつこく言うので、仕方なくお父さんは飛行機をキャンセルし、
新幹線を取り直しました。
Kさんは泣いて駄々を捏ねましたが「来年は必ず飛行機にするから」と宥めすかされてしまいました。
そして当日。大阪のおばあちゃんの家に着き、おばあちゃんの手料理で夕食を食べていると、TV
に臨時ニュースが流れました。
『日航ジャンボ機が行方不明。墜落した模様…』
それは、正に、自分達が乗る筈だった、東京発大阪行き日航123便。
昭和60年8月12日夕方の出来事でした。
ニュースの続報では、事故がどんどん大惨事になっていく。
Kさんは子供心に「もしかしたら、おとうさんもおかあさんも、ぼくも死んでたかもしれない」と
思うと、心底ぞ~っとしました。
お父さんもお母さんも「おばあちゃんが止めてくれなかったら…」と絶句。
おばあちゃんは「死んだじいちゃんが夢枕に立って『飛行機に乗せたらあかん』と言うとったから。
じいちゃんに感謝せなあかんよ」と言ったそうです。
明石家さんまさんや稲川淳二さんも、この123便に乗る予定であったことは有名ですね。
私の知り合いにニューヨーク在住のKさんという女性がいるのですが、
彼女が、偶然にも夫の命を救うという奇跡を成し遂げました。
彼女は、ちょうどニューヨークでテロのあった前日の九月十日、突然、目の前でもくもくと黒いもやのようなものがうごめいているのに気づきました。
少し症状は違いますが、網膜はく離などを患うと、目の前に黒いハエのようなものが見え始めるということを知っていた彼女は慌てました。
それで急いでかかりつけの日本人の眼科医に診てもらおうとしたのですが、あいにくその眼科医は休診中だったのです。
そこでやむを得ず翌日に大病院で診てもらうことにしたのですが、そこでは日本語が通じませんから、英語が堪能ではない彼女は、
ご主人に翌日病院に着いて来てもらうように頼み込んだのです。
そのご主人は、第一勧業銀行に勤められており、富士銀行と合併するということで、
例の世界貿易センタービルの八十三階に毎日出勤されていたのでした。
欠勤など一度もしたことのなかったエリートサラリーマンのご主人でしたが、愛妻家の彼は奥さんの異常ということで、初めて会社を休まれたのでした。
そして、翌日の朝、黒木さん夫妻は、訪れた大学病院の待合室で、
煙をもくもくと上げている世界貿易センタービルを目の当たりにするのです。
ビルの中央から立ち上る真っ黒い煙は、昨日Kさんが目の前で見た黒いもやにそっくりだったそうです。
その後黒いもやは精神的なストレスによるものだろうと診断されましたが夫妻はそれを全く信じていません。
なぜならあの黒いもやがなければ夫はあの貿易センタービルの崩壊に巻き込まれて死んでいたことは確実だったからです。
当時いっしょに勤めていた夫の同僚は、結局一人も助かることはなかったのですから……。
大阪のおばあちゃんが、また電話をかけてきました。
―その夏、東京に住むKさん一家は、お父さんの実家がある大阪に帰省する予定でした。
いつもは新幹線で帰るのですが、その時はKさんのたっての希望で飛行機のチケットを取っていました。
ちなみに、Kさんとは、私の会社と取引のある保険会社の担当者。
当時はまだ小学校にあがったばかりだったそうです。
Kさんは飛行機に乗るのは初めてで、それはそれは楽しみにしておりました。
しかし、おばあちゃんが余りにしつこく言うので、仕方なくお父さんは飛行機をキャンセルし、
新幹線を取り直しました。
Kさんは泣いて駄々を捏ねましたが「来年は必ず飛行機にするから」と宥めすかされてしまいました。
そして当日。大阪のおばあちゃんの家に着き、おばあちゃんの手料理で夕食を食べていると、TV
に臨時ニュースが流れました。
『日航ジャンボ機が行方不明。墜落した模様…』
それは、正に、自分達が乗る筈だった、東京発大阪行き日航123便。
昭和60年8月12日夕方の出来事でした。
ニュースの続報では、事故がどんどん大惨事になっていく。
Kさんは子供心に「もしかしたら、おとうさんもおかあさんも、ぼくも死んでたかもしれない」と
思うと、心底ぞ~っとしました。
お父さんもお母さんも「おばあちゃんが止めてくれなかったら…」と絶句。
おばあちゃんは「死んだじいちゃんが夢枕に立って『飛行機に乗せたらあかん』と言うとったから。
じいちゃんに感謝せなあかんよ」と言ったそうです。
明石家さんまさんや稲川淳二さんも、この123便に乗る予定であったことは有名ですね。
私の知り合いにニューヨーク在住のKさんという女性がいるのですが、
彼女が、偶然にも夫の命を救うという奇跡を成し遂げました。
彼女は、ちょうどニューヨークでテロのあった前日の九月十日、突然、目の前でもくもくと黒いもやのようなものがうごめいているのに気づきました。
少し症状は違いますが、網膜はく離などを患うと、目の前に黒いハエのようなものが見え始めるということを知っていた彼女は慌てました。
それで急いでかかりつけの日本人の眼科医に診てもらおうとしたのですが、あいにくその眼科医は休診中だったのです。
そこでやむを得ず翌日に大病院で診てもらうことにしたのですが、そこでは日本語が通じませんから、英語が堪能ではない彼女は、
ご主人に翌日病院に着いて来てもらうように頼み込んだのです。
そのご主人は、第一勧業銀行に勤められており、富士銀行と合併するということで、
例の世界貿易センタービルの八十三階に毎日出勤されていたのでした。
欠勤など一度もしたことのなかったエリートサラリーマンのご主人でしたが、愛妻家の彼は奥さんの異常ということで、初めて会社を休まれたのでした。
そして、翌日の朝、黒木さん夫妻は、訪れた大学病院の待合室で、
煙をもくもくと上げている世界貿易センタービルを目の当たりにするのです。
ビルの中央から立ち上る真っ黒い煙は、昨日Kさんが目の前で見た黒いもやにそっくりだったそうです。
その後黒いもやは精神的なストレスによるものだろうと診断されましたが夫妻はそれを全く信じていません。
なぜならあの黒いもやがなければ夫はあの貿易センタービルの崩壊に巻き込まれて死んでいたことは確実だったからです。
当時いっしょに勤めていた夫の同僚は、結局一人も助かることはなかったのですから……。
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